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【詩】昔話

お菓子のパッケージや 文房具に ごく稀に 稚拙な手で描かれた キャラクターの絵を みつけると そのキャラクターが たまらなく いとおしくなって 涙が溢れそうになる その理由が 今になって ようやく 解った

まだ若い頃 私は 何の因果か 美しい人ばかりの 集団に 偶然 紛れ込んでしまった その中で 自分一人が 周囲から浮いていることが 苦しくなって そこに い続けることに とても 耐えられなくなって だんだん 動悸が 激しくなって ついには 狂い出し そこから 逃げ出してしまった

本来なら 売り物にならないような 不格好な キャラクターの絵を見ると まるで 昔の私のようで 「あの頃は つらかったね」と 話しかけたくなる 私も もうすぐ 干支が一巡するほど 長く生きて そんな 辛い日々のことも 昔話に なった

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