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しばいぬのつぶやき〜僕の場合〜

パパは言う、「あのね、普通の犬は後ろ足とか前足で自分で掻くの」。

僕はかゆい時、パパに掻いてもらう。パパのところに行って、パパの手に手をかけて「ねぇねぇ」ってやる。そうするとパパが大きな手で抱きかかえて、「かいかいかい」って胸のところやお腹のところを掻いてくれる。僕はそれがたまらなく気持ち良くて目も鼻も口もトロ〜ンとなってしまう。それを見てママは「優越感に浸ったすごい甘ったれの顔」といつも言う。

もちろんママにも掻いてってお願いすることもある。パパがいない時は・・・。

でもママの「かいかい」はどうも力が弱くて、パパにやってもらう時の「そこそこそこ」っていうあの気持ち良さはない。そう、ママのは「かいかい」じゃなくて、「こしょこしょ」だ。でも、これはこれで別の気持ち良さがあって、僕は好きだ。特に耳の周りから首にかけてこしょこしょされるとついつい力が抜けて首がどんどん傾いちゃう。それにママは家にいてもいつも何かやっていて、2人きりなのにべったりはできない。だから「こしょこしょ」の時間は僕にとってかなり貴重なのだ。

僕は、と言うと、ちゃんとお返しをする。それは毛繕い。だいたい朝、パパがそろそろ起きるという時にやってあげる。なぜならパパが寝ていて僕が乗っかりやすいから。

まず、奥歯でパパのあごをガシガシってやる。そして、パパのあごに生えているとげとげを柔らかくする。ある程度ガシガシやったら、今度は前歯でチョチョってつまんでみる。それからもう一度ガシガシってやる。そしてまたチョチョってやる。ガシガシ、チョチョ、の繰り返し。

しばらくするとパパは「うん、ありがとう。もういいよ」って言う。でも僕はもっとやってあげるんだ。ガシガシ、チョチョ。そのうちにパパは「さ、起きるぞ」と言って、起き上がる。そこで僕の毛繕いはおしまい。もうパパのとげとげに届かない。

ママにはとげとげがない。だから代わりに、かかとをガシガシやってあげる。この場合はチョチョではなく、ペロペロだ。ペロペロすると硬いのが柔らかくなる。ガシガシ、ペロペロ、ガシガシ、ペロペロ。

しばらくするとママも「はい、ありがとう。もういいよ」って言う。そんな遠慮しないで、僕もっとやってあげるよ。さっきこしょこしょしてくれたお返しだから。

それにしても、パパもママも、すぐに「もういいよ」って言うけど、そんなに僕が大変だと思っているのかなぁ。僕はずーっとずーっと、この先もずーっと永遠に、かいかいとこしょこしょをして欲しいんだな。


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