この世界で生きていくために、手を組みませんか。
こんばんは、けいです。
先日、大ヒット上映中の「正欲」という映画を観てきたので、その感想を書いてみます。
なるべくネタバレがないように語りますが、どうしても触れたい部分があるので、読むのは自己責任でお願いしますね。
映画を観たいけどまだ観れていない人は、ブラウザバックを推奨します。
私の他の記事でも読んでいただけると幸いです笑
本作品は朝井リョウさんが令和3年3月に刊行された長編小説を映画化したものです。
今では累計40万部を越えているそうです。
私は原作は未読で、予告映像だけ観てました。
あらすじも知らない状態で、唐突にレイトショーを観たくなって、本作品を観ました。
率直な感想は、、、
「難しい」
でした。
何が難しいのかご説明したいので、
ここで本作品の内容に触れていきます。
稲垣吾郎さん演じる「寺井啓喜」は検察官で、普通であること、道から外れないことを重んじている、いわゆるマジョリティ側の人間として。
新垣結衣さん演じる「桐生夏月」と、磯村勇斗さん演じる「佐々木佳道」は、水に性的興奮を覚えている、いわゆるマイノリティ側の人間として描かれています。
他にも登場人物はいるのですが、本作品は彼らがとある事件をきっかけに少しずつ関わっていく、というストーリーです。
まず、私は、「水(飛沫や水溜まりなど、状態の好みは様々)に性的興奮を覚えている人がいる」ということを知らなかったので、設定を知った時はかなり衝撃を受けました。
こんな人たちもいるのか、と。
彼らは、他の人達に分かってもらえることはなく、この癖に関しても言い出せることもなく、誰にもわかって貰えず、ひたすら孤独に生きて来たんだと思います。
作中の表現を借りると、彼らは
「地球に留学しに来ているような感覚」
なのだといいます。
分かって欲しいとは思わない。
分かり合えるとも思っていない。
でも、周りの人達は干渉してくる。
そんな毎日に嫌気がさす。
私達は私達で何とか生きていくから。
普通の人間のフリをして、無難に暮らすから。
だから誰も私達に押し付けてこないで。
そういうことを訴えているように感じました。
苦しかったです。
物語の中盤以降、生きづらさを抱えた「桐生夏月」と「佐々木佳道」は共に手を取り合って、夫婦のフリをして一緒に暮らすようになります。
その共同生活をする前に、
佳道が夏月に言ったセリフが、こちら。
この世界で生きていくために、
手を組みませんか。
おいおい。。。
こんなセリフがあっていいのか。。。
良すぎるだろ。。。
切ねぇ。。。
誰にもわかって貰えなかった2人が手を取り合って、何とか死なずに生きていこうじゃないか、と会話を重ねるシーンは、どこを切り取っても綺麗で、とても素敵でした。
しかし、とある事件をきっかけに、彼らの日常に亀裂が走ります。
夫(あくまで偽装)である佳道が、冤罪を着せられてしまい、検問にかけられてしまいます。
その検問相手が、なんと、本作品もう1人の主人公、普通代表の「寺井啓喜」です。
その後に、夏月も寺井に検問を受けるのですが、そこで自分達の癖に関して、「ありえない」と一蹴されてしまいます。
ここまで丁寧に描かれてきたからこそ、このシーンの夏月の憤りがとてもリアルに感じられるし、逆に寺井の考えも、手に取るように実感できました。
多様性ってなんなんだろう。。。?
普通ってなんなんだろう。。。?
自分が夏月の立場だったら?
寺井の立場だったなら、どうしただろうか?
あまりにも難しい問いを投げられてしまいました。だから「難しい」です。
考え出したらキリがありませんが、私はこれらのテーマについて考え続けたいと思いました。
マイノリティ側の彼らが救われることはないのだろうか?
逆にマジョリティ側に対して「多様性を受け入れよう」と言うことは、強要ではなかろうか?
そもそも受け入れることが正しいことなのか?
その前提すら間違っていたらどうする?
これまでにも自分の周りに、彼らのように孤独を感じていた人がいたのではないか?
自分は彼らにどのような態度をとっていたんだ?
押し付けてはいなかっただろうか?
自分で言うのもおかしいことですが、
私はおそらく周りの人よりも、
相手の立場にたって物事を考えることを意識して(なんなら習慣にして)生きてきました。
就活してた頃の「ガクチカ」にも書いてました。
そんな私でも、少し自信を無くしてしまうくらいの新しい視点を、本作品は与えてくれました。
マジョリティ側の人も、マイノリティ側の人も、考えさせられることが多い作品です。
自分がどちらにいたとしても、
互いの考えや嗜好を理解できなくても、
たとえ相手が受け入れて欲しくないとしても、
受け止めることが大切なんじゃないか。
そんなふうに思いました。
これが今の私の、1つの答えです。
最後に、本作品を観て感じたことを、
あと2つだけご紹介します。
この作品に救われる人は多いだろうな。
私も誰かを救えるかもしれない作品を作りたい。
おこがましいかもしれないけれど、
傲慢だと思われるかもしれないけれど、
こんな人達もいるのか、で終わらせたくないです。
彼らのためにも、私たちのためにも、自分にできることを考え続け、行動していきたい。
もっと活き活きと生きていける人を
1人でも多く増やしたいです。
今回のnoteは以上になります。
感想を書いていたつもりが、
いつの間にか決意表明みたいになってしまいました笑
レイトショー観終わった勢いで原作小説も購入したので、原作も合わせて楽しみたいと思います!
皆さんも良ければ劇場へ、足を運んでみてください。
ではまた。