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29 日曜日、山のあと 2/4 友達の友達
「そうだったの? 今朝の子? 私はてっきり」
言いかけて気づいた。
「やっちゃった。寝させてしまった。今晩寝てくれるかな」
ジョン=マチスが
「三か月くらいだろ、朝寝るくらいは大丈夫じゃないか」
何だか返事に手慣れた感触がある。
「…ジョン=マチス子供いるの?」
目を剥かれた。
いないみたい。
「社内で聞くんだ。
産休明けの定番がどこに預けてるのかと寝るようになったか。あとは誰が夜起きる。でたいがい男が悪者扱いされる。全然寝られなかったところに『赤ん坊夜寝てくれたな』とか口走って。
よく寝る子供は男より女だとかも言うし。女はどうしてあんなにしゃべれるんだよ」
私に聞くな。
「男の子だと思ったけど、違うかな。名前聞かなかったや」
「何の?」
「キムの友達の赤ちゃん」
言いながら問題はそこじゃない気がした。
「男のはずだ。マㇽシャルだから」
ジョン=マチスが言った。
「え?」
「赤ん坊の名前がマㇽシャル」
「ふうん」
なんか詳しそう。どこから聞いてるんだ?
でもポイントはそれでもなく。
「キムたちがベビーシッターに入ってるてことは働いてるの? でも産休って言ってたし」
「キムがシッターをしてるのは母親のほうかもしれん。赤ん坊も生まれてただでさえ生活が変わったところに、来週末までにアパートと車と預け先を探すとか言う話だ」
「私みたいにやりたくないことをすべて後回しにしてケツに火、じゃなくて最後になって慌ててるって状態?」
「子供産んでる最中に男が他の女を連れ込んで、そのまま一緒に逃げたって状態」
さ・い・て・い
「アパートと車くらい置いて行けよ、預け先くらい探してやれよ、男だろ」自分の口調が飾れなくなってくる。
「ハルヒは好きな男が他所の女と仲良くやり暮らした家に戻れるのか」
「そんな目に遭ったことがないもん、そんなの………、嫌だろうな」
「俺は無理矢理引越しさせられたよ」
沈黙が流れる。
今お題をいただいた。
「 モン・シェーㇽ・エクス=ボウ=フレーㇽ(私の親愛なる元義理弟よ)、キミは」
言いかけて気がついた。
「キムの友達、仕事なにしてるの?」
「ロクサーヌ。アパレル店員だったかな、経理やってたけど取引先の店長とできて店任された、センスがいいから売り上げ伸びて、監査とか税務関係も企業の経理からしたら簡単だから人生順調と思ってた矢先の話だとか聞いた。
キム経由の自己申請だから話半分で聞くことを勧めるよ」
キミだってよくしゃべる。話が戻ってほっとしているのがよくわかります。
「キミのプライベートにも興味があるけど、今は思い出したことを先に言う。
ユースの近くの工業団地にあるBPペンキィが倉庫の秘書さんの産休代理を探している。先週の木曜の時点ではまだいい人が見つかってなかった。今の人の産休予定が二月中旬、だったかな?
あそこがもう埋まってても、短期の求人ならあっちこっちの工場でひんぱんに出るらしい。
地元のことやこういう事情はキムやロクサーヌが詳しいと思うんだけど、多少の通勤圏内だったらそんなのがあるよって話」
「サービスエリアかどこかで車停めていいかな」
ジョン=マチスは外側の車線を目指しはじめた。
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