初のスノボ 挑戦と失敗と成長 #2
リフトまでの道のり
ブーツをボードに取り付けるのは、思いの外難しかった。
振り返ると、何にそんなに苦戦したのか覚えていないけれど、かれこれ10分ぐらい戦っていた。
その間、自分たちのそばを何人もの人たちが横切っていった。
(ここで苦戦しているのは、自分たちだけだろうな…)と少し場違いにも感じた。
それでも、色々試しているうちに、なんとかボードを取り付けられた。
そして、ようやくリフトに向かった。
しかし、全く思ったように動けない…1メートルぐらい進んだら、すぐに転ぶ。
(この感じで今日一日大丈夫かな)と少し不安になった。
それでも、なんとかリフトまでたどり着いた。でも、そこである失敗をしていることに気がつく。
皆んな、ボードには片足しか取り付けていない!
リフトに向かう人たちは、片足で地面を蹴ってボードを動かし、その勢いでリフトまで滑っていっていた。
(なるほど、こうやって移動するのか)と学んだ。
係員に怒られる
僕たちは片足をボードから外し、見様見真似でリフトに乗ろうとした。
スムーズにいかない可能性があったので、周りに人がいなくなるのを待った。
友人が先にリフトに乗りに行った。
バランスを崩しながらも、リフトにつかまりながら、何とか座ることが出来た。その時、リフトの係員のおばちゃんが叫んだ。
「ストラップ!ストラップ付けて!」
……………?
自分たちは何のことかわからずに、友人はきょとんとした顔をしていた。
「ボードにストラップが付いてるでしょ!それを足に付けないと、ボードが外れた時に危ないから!」
よく見ると、ボードにストラップが付いていた。
おそらく、ボードが外れた時に、リフトからボードが落下するのを防ぐため。
それと、滑っている時にボードが外れたら、ボードが飛んでいって危険だからだと思う。
ブーツを取り付けてることに必死になっていた僕たちは、その瞬間までストラップがあることすら気付いていなかった。
友人はリフトに乗りながら、僕はリフトの手前で急いでストラップを付けた。
高所恐怖症
立てるようになったばかりの赤ちゃんのようにフラフラしながら、僕も何とかリフトに乗ることが出来た。
実は、僕はもともと高所恐怖症だ。
これも、スノボをためらっていた理由の一つ。スノボはリフトに乗らなければいけない。
今では少し克服できている。
ぼろぼろの吊り橋を渡るのは怖いけれども、スカイツリーのように安定性があって、安全だと思えれば問題ない。
人生を重ねると、こういう風に自分のことが少しずつわかってくる。
正直、リフトは揺れるし古そうだったので、少し怖かった…
でも、(高さはそんなにないし、下は雪だから落ちても大丈夫)と考えると、そんなに気にならなくなった。
リフトでの時間
リフトに乗るのは、案外気持ちよかった。
雪で覆われたゲレンデや周りの山々を見ると心が落ち着いた。風も気持ちよかった。
一つ覚えているのは、足が痛かったこと。
ボードは片足だけにしか取り付けていない。ボードは高足だけで支えるには重かった。
あと、足が固定されていない方に重心が傾いてしまうので、偏った方向に負担がかかっていた…
誰か知っている人がいたら、痛くならない方法を教えてほしい。(笑)
いよいよ、頂上付近に来た。前方に注目した。
どうやって降りるかわからないし、降り口がどうなっているのか知りたかったからだ。
幸運なことに、降り付近に人影は見当たらなかった。
(よしっ、これで転んでも恥ずかしくないし、友達に見られたら笑いを取れる!)と思った。
僕は、その辺はもともと芸人気質だ。(笑)
運命の瞬間
一つ前のリフトに乗っていた友人に注目した。
リフトからは無事に降りられていたが、その後はしっかり転んでいた。お手本のような転び方だった。
彼は根っからのお笑い好きだ。
心の中では(めっちゃおいしいー。なんなら、周りにもっと人いてくれたら良かった)と思っていたかもしれない。
次は自分の番。上手く着地できるかの運命の瞬間だ。
そこで、一つの思いが頭をよぎった。
右足と左足どっちが前で行こう…
そんなことも考えていないレベルだったけれども、ゆっくり考えている時間はなかった。
今では、どっちで行ったかも覚えていない。
降りる時は、リフトの勢いに押されて、思ったより早いスピードが出て怖かった。
何とかリフト付近から離れて、周りに迷惑がかからない所で転ぶことが出来た。
友人は自分のことに必死で僕が転んだ所をちゃんと見てはいなかったけれど、何も出来ない状態にしては上出来だ!
何をどうすればどう動くかが、全くわからない状態でリフトから降りるのは、本当に怖かった…
こうして、ようやく滑り始められる所まで来た。
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