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ウーバー戦記:いかにして台頭し席巻し社会から憎まれたか - 感想・引用
著者プロフィール: マイク・アイザック
「ニューヨーク・タイムズ」のテクノロジー担当レポーター。カリフォルニア大学バークレー校卒。「フォーブス」などの記者・編集者を経て2014年から現職。ウーバー、フェイスブックなどのシリコンバレーの巨大テックをカバーし、CNBCやMSNBCなどにもたびたび出演している。「ニューヨーク・タイムズ」に掲載されたウーバーに関する一連の記事で2018年にジェラルド・ローブ賞を受賞。サンフランシスコ在住。
今回の記事は、Uber創業者トラビス・カラニックの手段を選ばない闘いの軌跡について書かれた本です。好戦的な性格で、会社を急成長させたトラビスでしたが、各都市やアップル・グーグルなど、様々な場所・相手とトラブルを起こしました。そして、最終的にVCの反旗によりトラビスはCEOの座を下ろされます。
この記事では、本の要約をするのではなく、輪読会を行うにあたり、私が読んだ感想や本からの学び、一部引用を紹介するものです。輪読会用のメモなので、一般的な要約記事のようにきちんと整理されているわけではないのでご了承ください。
感想
UberのFounding storyはある程度読んで知っていたけど、これは中身の濃さが違った。とても面白い。
ラリーペイジやベンチマーク、ティム・クックなど、シリコンバレーの大物が出てきて、本当に中心で戦っているんだなと。
トラヴィスの性格が本当によく出ている。
尊大で、倫理観がなく、女性蔑視、男性優位、体育会系など、本当に悪いところだけを集めたような人物。それでいて、人を惹きつける魅力があるというのは主人公。
考えさせられる点
プライバシーも法令遵守もコンプライアンスもない。
そりゃどこかで問題が起きる。
ノブレス・オブリージュ
大いなる力には大いなる責任。
『起業の天才』を思い出した。
あの本を読んでも思ったのだが、こういうやり方は長い目で見ると成功しない。
一方で、旧態依然としている業界と戦うにはこういう人物が必要。
カリスマ性のあるトップが会社を率いている場合、15年以上に渡って成長し続ける例はない。
トラヴィスは起業家ではあるけど、経営者ではないと思う。
3フェーズの経営者
起業家
?
経営者
トラヴィスは間違いなく、起業家タイプ。
攻め続けるというのは大事
Uberはそういう人たちが集まった集団なのだと思う。
自分はPublisher業界とは共存・共栄できればと思っているので、タクシー業界を潰すみたいな考え方はあまり好きではないけど。
会社の文化による。マッチョで体育会系の人が多い会社で、ガツガツやっていく場合は、そういう人を集めなければならない。
VCとの関係性には気を付ける
交渉力をこちらが持てるようにしないといけない。
ユーザー数とマネタイズは本当に大事。
無意味にお金を使わないというのも大事。
メディアは敵にしちゃいかん
PRの人と話していても言われたことだが、アメリカのメディアは世界一強い。
国によって力関係がある。アメリカは特にメディアの人、レポーター、ライターが強い国。
Glaspもメディアを扱っている事業だけに、ここは特に気をつけたいところだと思った。
プライバシーも気を付ける。
人の特徴がとても良く描写されていて、それが組み合わさることで、物語に複雑性と面白み、納得感を生み出していると思う。
App Storeの開放とスティーブ・ジョブズの勘違いの点が述べられていた。
App Storeの経済学的補完関係のことが書かれていた。
App Storeを開放し、アプリの数が増えれば、iPhoneの需要を押し上げる。
引用
ガーリーの投資はほぼ例外なくひとつの方針に基づいていた。既存のリアルな世界で生きる人間に対して、彼らが求めている経験や場所、物に対する願望を満たせる能力が、インターネットで高まるのかどうかだ。
変化はそれだけにとどまらなかった。創業者たちは自分が握っている主導権の心地よさに気づいたのだ。彼らはあれこれ口を出してくる株主や投資家、世間の人びとなどの外部の人間から自由になりたかった。
グーグルの創業者は世界を変えることに胸を躍らせていたが、投資家たちの思惑にしたがって決断はしたくなかった。「邪悪になるな*」というモットーは創業者と彼らの取り組み方の代名詞になり、そこには「成熟した企業に成長していこうとも、金のためにひどいことをするつもりはない」というメッセージが込められていた。
二〇〇四年、グーグルがIPO(株式公開) を実施したとき、彼らは「複数議決権株式」を発行して物議を醸した(8)。一般投資家には「クラスA」という株式を売り、社内の創業者は「クラスB」の株式を保有していた。株式としての価値はAもBも同じだが、Bには特別な権利が付与されていた。クラスBの株式はいずれも一株当たり〝一〇票〟の議決権を持っていた。つまり、経営判断に対する「イエス」「ノー」に対して、創業者たちは一〇人分の発言権を持っていたのだ。これに対してクラスAの株式は、一株一議決権でしかなかった。ペイジとブリンの二人は、これ以降、過半数支配を維持するために必要な自社株を確実に保持しつづけてきた。さらに見逃せないのは、この目的を果たすため、IPO時に十分なクラスBの株式を発行していた点である。
ある投資家の話では、ペイジとブリンの二人がグーグルの株式公開に同意したのは、ビジネス界の伝説の大御所ウォーレン・バフェットと面談した直後だったという。バフェットが二人の若き創業者に複数議決権株式について知恵を授けたのだ。
アイフォーンが本当の意味で波に乗るのは、 外部から隔離された領域に〝クソみたいなアプリ〟の波が押し寄せるのをジョブズが許可する決断をくだしたときだった。
「これは無視する」とカラニックは繰り返し、そして「ウーバーキャブから『キャブ』の文字をなくす」と、まるで弁護士が虚偽広告でどこかの企業を訴えるかのように宣言した。この決定でウーバーキャブは新たに「ウーバー」として知られるようになり、停止することなくそのまま事業を継続していく。
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