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あんぽん 孫正義伝 - 感想・引用

著者プロフィール: 佐野眞一
1947年、東京生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。97年『旅する巨人宮本常一と渋沢敬三』で第28回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。09年『甘粕正彦 乱心の曠野』で第31回講談社ノンフィクション賞を受賞。

あんぽん 孫正義伝 (小学館文庫) Kindle版

今回の記事は、孫正義という異端経営者の原点についての本です。在日三世として生まれ、激しい貧乏と民族差別を受けてきた中で、どのように身を起こし、国を愛するようになったのかについて書かれています。

この記事では、本の要約をするのではなく、輪読会を行うにあたり、私が読んだ感想や本からの学び、一部引用を紹介するものです。輪読会用のメモなので、一般的な記事のようにきちんと整理されているわけではないのでご了承ください。

感想

  • 衝撃的な本だと思った。

    • 孫さんの出生やバークレー、起業後、携帯電話業界への参入など、経歴やすごいストーリーは知っていたが、出生と祖先をここまで取材して書いてるのは読んだことなかった。

    • 一番印象的なのは、祖先や自身の差別の歴史、家庭環境の悪さ、両親ともに一筋縄では行かない人物であるなど、出自が孫さんに強い影響を与えているという点。この親にしてこの子あり。

    • 改めて、幼少期・思春期にどんな経験をするか、影響を受けるかというのがいかに人生に影響を与えるかというのを認識させられた。


  • 三憲もかなり強烈なキャラクター

    • Big mouth、大袈裟に語るところは孫さんも引いている特徴。

    • 密造酒を何度も摘発されても、ずっとやり続ける点など。


  • 母もDVがあっても、愛人がいても三憲と別れず、独自の哲学を持っている。

    • 我慢強さが並大抵ではない。

    • 教育にお金をかけるというのも哲学を持っているんだろうなとは感じた。そうすることでしか生き残れないというのもあったと思うが。


  • 教師になりたい。うちの祖先も教師だったらしいので、そこは親近感があった。

    • こっちの世界線も見てみたかった


  • おばあちゃんに口答えしてはいけないの時、父親を追いかけ回す。エピソードが衝撃的。

    • 父親は社会の子だと思った。

    • そうして育てて行ったのもすごい。


  • 佐々木さんに一億円の保証人になってもらうなど、それほど見込みがあるというのがすごいと思うし、それだけ行動していたから賭けてみようと思ってもらえたのだと思う。


  • 竜馬が行く』など結構本に影響されているところも親近感が湧いた。

    • 入院中に3000冊読んだという、大量にやるところも孫さんらしい。


  • 小学4年生ぐらいの時から熱心に勉強する、それが差別を克服するというのがすごい。

    • グレる、非行に走る、諦めるとなっても全然不思議ではないのに。


  • 涙に関する詩が印象的。以下に引用。


  • 志の高さが他の経営者とは全然違う。江副さんやホリエモンとかと違って、没落していかなかったのはそこから来ているのかなと。


  • 孫さん個人は、すごい方だし、愛国心も情熱もあるように見える。

    • 本心の本心で何を考えているかわからない怖さがある。

    • 優しいのかも知れないが、本質的には温かいのかどうかがわからない。それでも人を魅了できるというのはすごいが。

    • 隙がなく、本心から出てくる感じではないからなのか。

      • 小学校ぐらいの時から、付き合うのは自分に利益がある人だけだったなど。

    • いかがわしさは何というか、こういうところから来ている気がする。


  • ちょっと著者の偏見が気になる。常識を押し付ける感。

    • 大森さんが50歳になってから、新しい業界に飛び込んだのを無謀だと言ったり。

引用

〈君は、涙をながしたことが
あるかい。「あなたは。」
「おまえは。」
涙とは、
どんなに、たいせつなものかわかるかい。
それは、人間としての
感情を、あらわすたいせつなものだ。
「涙。」
涙なんて、
流したらはずかしいかい。
でも、みんなは、涙をなが
したくてながしては、
いないよ。
「じゅん白の、しんじゅ。」
それは、人間として、
とうといものなのだ。
「とうとい物なん
だよ」
それでも、君は、はずかしい
のかい。
「苦しい時」
「かなしい時」
そして、
「くやしい時」
君の涙は、自然と、あふれ
出るものだろ。
それでも、君は、はづかしい
のかい。
中には、とてもざんこくな、
涙もあるのだよ。
それは、
「原ばくにひげきの苦しみを、
あびせられた時の涙」
「黒人差別の、いかりの涙」
「ソンミ村の、大ぎゃくさつ」
世界中の、人々は、今も、そして、
未らいも、泣きつづけるだろう。
こんなひげきをうったえる
ためにも、涙はぜったいに欠
かせないものだ。
それでも君は、はづかしいの
かい。
「涙とは、とうといものだぞ。」〉

〈世の中は権力を笠に着なければ生きられないつまらない人間ばかりがいるわけではない。自分の信ずる世界に向かってひたむきに努力を続ける立派な人間も、またいる。こうした名もなき人びとの仕事こそ、黙っていても尊敬できる。

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