問題解決のステップ1:問題の設定
問題解決で大切なことは何でしょうか?
問題の分析や、解決アイデアを考えることでしょうか?
それらも大切です。でも、その前に行っておくべきことがあります。
問題解決の4ステップ
問題解決のコンサルティングは、次の4ステップで行っています。
ステップ1:問題の設定
ステップ2:問題の分析
ステップ3:アイデアつくり
ステップ4:アイデアの評価
問題解決というと、ステップ3「アイデアつくり」での、解決アイデアを考えることをイメージされるかもしれません。
でも、解決アイデアを考えるためには、問題の原因を知る必要があります。
原因を知るためには、ステップ2「問題の分析」が必要です。
さらにその前に、ステップ1「問題の設定」が必要です。
せっかく考えた解決アイデアを、的外れなアイデアにしないためです。
問題解決では、ステップ1「問題の設定」は大切なステップになります。
ステップ1:問題の設定
問題解決では「問題の分析」や「アイデアつくり」の前に、次の点を見定めることが大切です。
何が問題か?
解決すべき問題は何か?
これらの点を見定めて、解決すべき問題を定めることを問題の設定と呼びます。
問題の設定をきちんと行ったうえで、問題を分析したり、解決アイデアを考えることが大切です。
解決すべき問題を正しく定めなければ、せっかく考えたアイデアが的外れになる可能性があります。
その理由を例を使って説明します。
問題には階層がある
次の問題を取り上げます。
問題:自動車の乗り心地が悪い
解決アイデアを考えるためには、問題の原因を知る必要があるので、分析を行います。
問題の原因を分析するときは、「なぜ?→なぜ?」を繰り返すと、より本質的な原因を見つけることができます。
まず1回目の「なぜ?」を考えます。
1回目の「なぜ?」では「自動車の乗り心地が悪い」ことの原因は、座席の座り心地が悪いことだと考えました。
その原因に対して、さらに「なぜ?」を繰り返します。
「座席の座り心地が悪いこと」の原因は、座席シートが硬いことだと考えました。
2回目の「なぜ?」の結果、より本質的な原因は「座席シートが硬いこと」という結論になりました。
このような手順で、本質的な原因を見つけていきます。
そして本質的な原因に対して、その改善アイデアを考えます。
問題には階層があります。
「なぜ?→なぜ?」を繰り返すことで、より本質的な原因を見つけます。
本質的な原因の改善アイデアを考えることで、的外れなアイデアになることを防ぐことができます。
これで十分でしょうか?
的外れなアイデアを防ぐために、「解決すべき問題は何か」を十分に見定めることができるでしょうか?
残念ながら、これだけでは十分ではありません。
問題の原因は1つとは限らないからです。
問題の原因は1つとは限らない
「自動車の乗り心地が悪い」原因は、次の図に示すように、他にもあります。
「自動車の乗り心地が悪い」原因として、①「座席の座り心地が悪い」以外にも、②「自動車の振動が大きい」③「路面がデコボコである」などが考えられます。
問題の原因分析は、垂直方向だけでなく、水平方向にも展開する必要があります。
②と③についても「なぜ?→なぜ?」の分析を進めると、次の図のようになります。
それぞれの本質的な原因がわかれば、その改善アイデアを考えることができます。
上図のように、問題の原因が異なれば、全く異なる改善アイデアにつながります。
どの原因を解決すべきか?
「自動車の乗り心地が悪い」と言っている顧客のニーズを考えてみましょう。
ここでは、顧客の困りごととして考えます。
まず顧客の困りごとが、②の「自動車の振動が大きい」という場合には、どうなるでしょうか?
顧客の困りごとが②の「自動車の振動が大きい」場合には、①での「座席シートの改善アイデア」は、残念ながら的外れになってしまいます。
この場合の解決すべき問題の原因は「路面のデコボコによる衝撃が吸収できていない」になります。
そのため(自動車の足回りの)サスペンションの改善アイデアが的を射たアイデアになります。
次は顧客の困りごとが、③の「路面がデコボコである」場合です。
顧客の困りごとが、③の「路面がデコボコである」場合は、自社では対応不可になってしまいます。
そのような場合には、「サスペンションの改善アイデア」や「座席シートの改善アイデア」を考え出しても、顧客の困りごとに直接応えることは難しくなります。
そうすると、せっかくのアイデアが無駄になってしまいます。
頑張ってアイデアを考えた後で、上記のような状況になると困りますね。
「問題の設定」は大切
上記の例では、わかりやすくするために極端な例を取り上げました。
でも似たようなケースは、他の製品開発でも生じる可能性があります。
せっかくのアイデアを的外れにしないためには、アイデアを考える前に次の点を見定めることが大切です。
何が問題か?
解決すべき問題は何か?
問題の設定をきちんと行ったうえで、問題の解決アイデアを考えることが大切です。
次回は「問題解決のステップ2:問題の分析」です。
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