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桂子。
2024年6月30日 18:08
「おお、おかえり」そう言って玄関の扉を開けてくれたのは、半年ぶりに会った父親だった。もう長い間聴いていなかった「おかえり」にびっくりして、ただいまとはうまく言えず「やぁやぁ、久しぶりだね」と言った。照れ隠しだった。久しぶりの「おかえり」はなんだかやさしくて、少し泣きそうになった。生まれ育った街にある私の家は、今は他の誰かに貸している。だから、私にとっての「帰省」は父方の実家か母方の実家のど