日経トレンディが、ラジオの今とこれからを考える(Fm yokohama『FUTURESCAPE』書き起こし)
コンビニの雑誌棚で目にした「すごいラジオ大研究」の文字。
おっと思って見てみると、10月4日発売の『日経トレンディ』。2020年11月号の特集はラジオに関するものでした。
購入後の現在、読みたい本がたまっていてまだ目を通していない状態。そんな中、たまたま聴いていたラジオ番組で、日経トレンディの今号について話を聞くコーナーが!
今日の午前に放送されたFm yokohama『FUTURESCAPE』(小山薫堂さん・柳井麻希さん)。小山薫堂さんのことが大好きなので、土曜の朝は時間があれば聴いています。
『FUTURESCAPE』もこのラジオ特集に取り上げられたことから、日経トレンディの編集長・三谷弘美さんを迎え、特集の経緯やラジオの今後についてお話されていました。
すごく面白い話だったので、その内容を書き起こします。
(以下、小山薫堂さん:「小山」、柳井麻希さん:「柳井」、三谷弘美さん:「三谷」)
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日経トレンディがラジオ特集をした経緯
柳井:先週も話題になりましたけれども、今月号の日経トレンディです。特集が、「実は成長市場!すごいラジオ大研究」となっております。この中で、なんと『FUTURESCAPE』もご紹介いただいているということで、我々。小躍りどころかホント!!みたいな。なんで!!とか言って。
薫堂:誰も知らなかったですよね。
柳井:なので、なぜ、掲載していただけたのか。直接お伺いいたしましょう。お礼も兼ねて。今日は編集長・三谷弘美さんにお越しいただきました。おはようございます。
三谷:おはようございます。
薫堂・柳井:よろしくお願いいたします。
柳井:今回は取り上げていただいて、ありがとうございました!
三谷:こちらこそ、読んでくださってありがとうございます。
薫堂:よく(出演を)先週お願いして今週ですよね。今週お願いして今週ですか。
柳井:すいません、お忙しいのに。
薫堂:よくこんな土曜日にありがとうございます。
三谷:いや、こちらこそです。
薫堂:そもそもまず聞きたいんですけど、なぜこのラジオ特集を、日経トレンディともあろう雑誌がやられたんですか?
三谷:日経トレンディはいろいろな業界で特に変化が激しい、いろいろな成長を遂げているというような業界だったり、いろんな分野に注目して。これが今トレンドですよ、ということをお伝えしているんですけども。コロナの影響で、ラジオを聴く人がすごく増えているということがありまして。ラジオの特集をやろうということになった。ということになっているんですけども、実は私コロナがくるずっと前、去年からラジオ特集をやりたいと言い続けてきたんです。
薫堂・柳井:そうなんですか!それはなぜですか?
三谷:コロナの前はほんと肌感というか、周りで感じていたことだったんですけど。若い人が「ラジオ聴いてるよ」とか「radikoでこれ聴いたよ」という声をすごく聞くようになったんです。編集部でも若い20代の編集部員が2人いるんですけども、2人ともラジオにとても親和性があって。「あ、これは新しい層が入ってきている、面白い動きだな」という風に思って一度研究してみたいなと思っていたんです。
そこにコロナがきて、ふたを開けてみるとradikoがすごく伸びていると。あ、これは今しかない。今だったら出来るな。ということでやってみた特集です。
薫堂:なるほど!
柳井:確かに聴き方としては、いきなり今回の日経トレンディさんでも特集始まってすぐに「radiko利用者急増」っていうところからスタートしてますので。今までのラジオの聴き方とは、明らかに変わってきてるっていうことなんですね。
三谷:そうですね。
薫堂:これはラジオ局の人たちは喜んだでしょうね。これ持ってまたいろんなところに営業に行ってそうな感じの。
三谷:もう、ありがたいことです。
柳井:ほんとにね、こちらこそありがたい感じがしますよ。
薫堂:分かります。ではなぜこの番組が掲載され・・・・・・たぶん編集長は知らないというかご存じないと思うんですがそこまで。そこまで細かな理由とかね。「あ、そうなんだ」くらいの感じですよねきっと。
三谷:はい、実は今回の特集をやるにあたってアンケートを採りまして、2500人くらいの方に。webで答えてくださったんですけども。好きな番組はなんですかと、その理由というのをフリーアンサー形式で聞いていまして。その結果を集計してランキング化したりもしたんですが、実はそれ以外にも沢山のお声をいただいていて、みなさんすごく熱く答えてくださったんですね。
その中で『FUTURESCAPE』を答えてくださっている方がすごく多かったんです。
薫堂:本当ですか!じゃあ今聴いてらっしゃるリスナーのおかげということですね。
三谷:そうですね。「土曜の朝のゆるい雰囲気に合っているから」という意見ですとか、「自分の知らない話題を取り上げてくれるので」という意見ですとか。「知的な雰囲気がするのに全然ゆるゆるな感じ」とか。
柳井:相反してる(笑)
三谷:これはすごく人気なんだなと思ったのと、そうやって沢山お声をいただいた中でも、担当した20代の編集部員が高校受験のときにずっと聴いていたからという個人的な思いもあって、掲載させていただきました。
薫堂・柳井:へぇー!!
薫堂:これはその方にお土産か何かを・・・・・・(笑)
ラジオの人気・聴き方の傾向
柳井:いろいろな番組を取り上げられていますけど、例えばすごく楽しいものとか、今おっしゃってたようにゆるく楽しめるとか、リラックスしたいときに聴くとか。いろいろな聴き方がみなさんあるんだなというのも、いろいろバラエティに富んでるんだなというのも分かりますけど。
今圧倒的に人気がある番組の傾向としては、若い方のリスナーの支持が厚いということが大きいんですかね?
三谷:はい、若い方が聴くということは、それはTwitterで「これ聴いたよ」「これすごいじゃん」ということを広めてくれるということでもあるわけです。というので、今SNSとラジオの関係がすごく密接で、SNSでバズるとradikoでまたタイムフリーで他の人も聴くという流れができているそうで、その発信源となっているのが若い方、ということは言えるかと思います。
柳井:なるほどねー。今タイムフリーがあるからね。あれ面白かったっていう時に聴き直せるっていうところが。
三谷:「あ、じゃあ聴いてみる」ということが出来てしまうというのが、今の聴き方かなと思います。
薫堂:僕今ここにね、「好きなラジオ番組ランキング」って書いてあるわけです、2751人に聞いた。これを見てふと思ったんですけど、聴取率はビデオリサーチから出てるわけじゃないですか。で、その数字ってこう・・・・・・あんまり言わないほうがいいかな(笑)、どこまでがリアルかがよく分からないと思うんです。
柳井:はぁー、なるほど。
薫堂:で、これで見て、『山下達郎のサンデーソングブック』が5位に入ってて、「いや入るよな、人気だもん」と思って、数字見るとそんなに高くなかったりするんですよ。
その手ごたえ感みたいなものがすごいリアルだから、僕が思ったのは、日経トレンディはビデオリサーチ的な指標をビジネスにしたほうが儲かるんじゃないかなと思いました。
三谷:あぁ!いいアイデアをくださってありがとうございます。
薫堂:雑誌を売ることは、雑誌でブランドを作りながら、そっちのデータビジネスをもうちょっとやられたほうが、いいんじゃないかなっていう気がしたんですけど。
三谷:なるほど!ちょっと持ち帰って企画書にしてみます。
柳井:でも確かに日経トレンディさんに載っているものって「そうなんだな」って説得力がありますから。
薫堂:コンビニのPOSデータとかもあるけれども、あれは全部数だけなんですよ。聴取率も数だけですけど、ここには数だけではない、購入者の、消費者の思いが入ったランキングになるような気がしますけどね。
柳井:裏づけされた、そうですね。
薫堂:そっちの方が、受け入れられるんじゃないかなっていう。メーカーからすると。
「音声コンテンツ」のこれから
柳井:なるほど。例えば今回だったら元々ラジオが好きな方にとってのランキングだったりもするわけじゃないですか。そうすると「あ、ラジオ好きな方はこれ面白いっていう風におっしゃるってことは、ちょっと聴いてみようかな」っていう説得力が、すごく生まれてる感じがしますもんね。聴いてみようかなっていう。なるほど。
これでもどうなんですかね?今まぁラジオ以外にも、薫堂さんもやってますけどね、『Artistspoken』とか。音声のコンテンツって、今まではラジオが中心でしたけど、実は増えてたりするじゃないですか。
三谷:今、目で観る映像ですとか、目のコンテンツっていうのはこれ以上増やすことができないというか、隙間がないんですよね。みなさん、もうこれ以上観ることができないよと。ところが耳は空いていると。
今回テレワークをする方が増えて、なんとなく仕事をしているから忙しいことは忙しいんだけども、ちょっと情報を取りたいなというときに、耳だけは空いているということがあると思うんですよね。
柳井:はい。
三谷:そういった時に、まだ耳を争うというか、耳を取り巻く現状としては、まだそこがブルーオーシャンである。ということで、実はラジオ局以外から、ものすごく沢山のプレイヤーが音声コンテンツに参入しようとしているということです。
薫堂:そう考えるとラジオ局は、もっとできますよね。
三谷:そうですね。もともと強いという、ど真ん中にいるかたちですから。
柳井:どうしたらいい・・・・・・?
薫堂:とりあえず『裏FUTURE』を・・・・・・。この番組でポッドキャストやってまして、この2時間やった後に、しゃべり足りない分をしゃべってるんですよ。それでも1万人くらいはいますから、DL数はね。そうするとなんかそこをビジネスにした方が本来はいいですよね。
三谷:まさに。
薫堂:でもビジネスにしたらつまらないんだろうね(笑)
柳井:ここが難しい。
三谷:ビジネスじゃないからこそ1万人の方が聴いてくださるということはあるかもしれないですね。
柳井:そうですね、そこは難しいところですね。
薫堂:そこは難しいところですけど、ただ僕は、やっぱり音声というのは、三谷さんがおっしゃったみたいに、耳が空いてるっていうこともありますし、あと目ってどうしても偽るというか、自分を良く見せようとするじゃないですか。基本的にSNSの画像は素よりもいい自分を見せたい。
柳井:たしかにちょっと盛りたい!盛りたい気分が出てくる。
薫堂:でも音声って、素が見えると思うんですよ。
三谷:そうなんですよね。なので、ラジオを聴くという若い方が増えているというのも、好きなアーティストとか好きな芸能人の、素の声が聴きたいからということがすごくあると思うんですよね。
柳井:そうですね。たしかにやっぱりちょっと端々に出てしまうっていう、ポロッとね。その感はすごくありますよね。やっぱりそこなのかな。
薫堂:たぶんそこが面白いんじゃないですかね。その盛りすぎた食材よりも、素の食材をみんな食べてみたいんじゃないんですか?素焼きで塩ふって食べるのが一番いいみたいな。
三谷:まさに凝りすぎた料理ではなく、ということですよね。
柳井:でもそうなってくると、今後どうなんですかね?こういう音声でのコンテンツっていうのは、今いろいろ出てきてますけど、どんな風に進化していくっていう風に、三谷さんは思いますか?
三谷:ますますいろんなプレイヤーが増えていくんだろうなと思うんですけれども、ひとつ盛り上がりそうだなと思っているのが、先ほどのSNSと直接組み合わさったものが出てくるのではないかなと思っています。
今は、音声を聴いたものを自分でTwitterのアカウントから投稿して、みんなに「こんなのやってて面白いよ」と伝えるというのが、セットになっていたらそこでまた盛り上がって、双方向でそれに対して質問に答えるとか。
SNS機能がついている音声メディアというのが出てくれば盛り上がるのではないかなということをちょっと予想しています。
薫堂:まだそういうものはないんですか?
三谷:今ちょっと出始めていて、まだそれほど認知度が高くなくというところだと思うんですけれども、ちょっと今これについては今回ラジオ特集でやっていなくて。
12月号恒例の日経トレンディがまとめる今年のヒットランキングというのをまとめているところなんですけども、そういった時にいろんなトレンドをもう一度洗いなおすということがあって、その話題の一つに上がってきています。
薫堂・柳井:へぇー!
来年のヒット予測ランキング・終わりに
薫堂:僕DIMEの審査員やっているんですけれども(笑)。DIMEと日経トレンディで一回一緒に発表するとか、そういうのどうなんですかね。
三谷:あぁ!いいかもしれないですね。
薫堂:ちょっと時期がずれてたりするんで。
三谷:日経トレンディの方がちょっと早いですよね。雑誌でもちょっと違うと思うんですけど。
薫堂:なんかこう、二誌がそれぞれ発表した後にですよ。お互いの編集部が集まって、さらに大きな幹として世の中に発信されて。
柳井:最強ランキングみたいな(笑)
三谷:私たち交流はないんですけど、おそらくお互いに、「お互い頑張ろう」って思ってると思います(笑)
薫堂・柳井:(笑)
薫堂:去年でも、日経トレンディ2020年のヒット予測1位、「応援村」にしていただいて。
三谷:あ、ありがとうございます!読んでくださって。
薫堂:僕応援村の実行委員をやっているものですから、それでみんなめちゃくちゃ盛り上がったんですよ。嵐が2位でしたからね。嵐が2位で。
柳井:嵐をおさえて(笑)
薫堂:その時に僕はほんと、言いましたけど、日経トレンディが心配になりましたもん。応援村、これ1位でいいのかなっていう。
柳井:(笑)
薫堂:ひいてはその、日経の信頼性ちょっと大丈夫かなって思うくらい嬉しかったです。
柳井:どんな喜び方ですか(笑)
薫堂:あれでも、ああいうのが必要でしたもんね。まぁオリンピックがちょっと延期になったりして。
三谷:そうなんですよ。全て覆ってしまったんですけれども、ヒット予測のランキングというのも本当に流行るというものをもちろん見つけたいというのがあるんですが。私たちの気持ちとして「これが来年流行るような年であってほしい」という気持ちも表れていますので、嵐よりも上にと(笑)
薫堂・柳井:(笑)
薫堂:もうみんなひっくり返りましたもんね。喜びを通り越えてひっくり返りましたから。
柳井:そうなるとまた今回も楽しみですよね。
薫堂:来年の会議はもう当然既に始まっている?
三谷:はい、今まさにその会議を昨日の夜中までずっと。
薫堂:それはやっぱりコロナを乗り切る社会の勇気のタネになるような。
三谷:まさに!まさにそうですね。自然といろいろ情報を集めていても、自然とコロナに関係するものが多くなってくるんですけども、やはりここはひとつコロナを乗り越えていくというトレンドを発信したいなと思っております。
柳井:楽しみにしています!
薫堂:我々も『FUTURESCAPE』という番組、未来しか見てないんですよ我々も。
薫堂・柳井:(笑)
柳井:そうね。過去の話しても覚えてなくて何度もしちゃうからね(笑)お互いに未来を見据えながら。
薫堂:(ランキングが)発表されたらすぐこの番組でもフォローしますんで。
三谷:ありがとうございます!では情報もすぐお送りしますので、注目してくださったら嬉しいです。
薫堂・柳井:ぜひお願いします!
柳井:ぜひみなさんラジオをもっと深く、これすごく面白い!ラジオをやっている人間が読んで、すごい発見がいっぱいあって。勉強になります。
薫堂:ぜひみなさんこれを読んで、この番組より面白そうな番組いっぱいありますから(笑)
柳井:いっぱいあるからね(笑)。ほんとほんと。聴いてみて(笑)。ラジオ自体が面白くなると思うので。ぜひお手にとってみてください。
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ラジオについて、常々言われてきた部分もあり、今後の可能性について新たに知ったこともあり。本当に面白い放送でした。
放送を聴くと、3人の話しぶりからもっと内容を深められる部分があると思います。(9:30頃からこのトーク部分になります)
この後は、購入した『日経トレンディ』を実際に読んで、ラジオの今、そしてこれからをもっと知り、深めていこうかと。
今から読むのが楽しみです。