『きみが来た場所』
喜多川 泰 作
あらすじ
誰もがうらやむ大手企業に勤めていた秀平だが、日本の未来を案じ、その根本にいる子供たちのための、生きる力を育てる塾を立ち上げるために辞めた秀平。
妻と娘の家族に加え、妻のお中には新たな命が宿っていた。家族を支えながらも点数を上げるだけの塾とは違う秀平の塾は経営がうまくいかず、経済的にもメンタル的にも不安な毎日を過ごしていた。
ある日、1つ食べると「自分のご先祖様の過去」が夢として見ることができる「ルーツキャンディ」(渡利製菓)を手に入れる。
1つずつキャンディを食べる中で、秀平は祖父たちの過ごした時代や生き様、決意、自分まで繋がれてきた命のリレーの奇跡を知り奮い立ち、「生きる力」伝える教育に邁進していく。
▼ハイライト
No. 911
欠点は周囲の人の才能に助けてもらえばいい。 でも、長所はお前だけのものではない。 母を助け、家族を助け、周囲の人を助けるために使いなさい。
No. 945
命を大切にするというのは、決してなくすのを恐れて臆病になることではなく、命をぶつけて真剣に生きようとすることなんだと、鏡に映った真剣な顔をした自分に教えられた気がした。
No. 1121
一日に集中して生きていると、そのときに感じているのは不安ではなく、希望だということがわかってきた。
No. 1413
自分の人生は、自分以外のものに生かされてきた歴史だ。 祖父の代が、命をかけてつないでくれた命を、両親がまた命をかけてつないでくれた。そして、それは子供たちのために自分の命をかける決意をしてくれた人たちの歴
史でもあった。
No. 1448
そこにいる人たちが大事にしないものを、他の人が大事にしたりはしないものだよ。
No. 1494
好きになるのは、そんなに難しいことじゃない。自分から大事にしようと思うことだよ。それだけで好きになれる。
No. 1651
「自分の人生に必要なものだけを持って生まれてきた......と」 「その通り。何もかも持って行くのは重いだけだ。逆に邪魔になる。君の人生の使命を果たすのに必要十分なものだけ持って行ければそれでいいだろ。
No. 1654
すべての人間に使命があり、それを果たすために必要なものはちゃんと持って生まれている。自分が持ってこなかったものを嘆く必要などない。それは、自分の使命を果たすために必要ないと自分で判断して置いてきたものだ
からね」
No. 1665
「すべての子供は、大人に自分の使命に気づかせるという使命を持っている」
No. 1682
「そう。他のどの時代でもなく、今の時代だからこそ君にできることがあると考えたからこそ、今の時代を選んだ
んじゃないのかね」
No. 1686
君が何を信じようと、君は今この時代に果たすべき使命を持って生まれたのだ」
No. 1699
その心を持ち続けたまま大人になれる人間がはたしてどれだけいるだろうか。 大人になると、失敗を恐れて挑戦
しなくなる人がほとんどだろう。失敗したら怒られるかなとか、笑われるかなと考えて、挑戦そのものをしなくな
るのは子供ではなく大人の方だ。そう考えると、本当は大人が子供から学ばなければならないということがわかる
だろ?」