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足の腫れを1カ月放置したら、10日間入院することになった②

悶絶級の痛みと手のぬくもり

入院して4日目、熱は下がらず足の腫れも一向にひく気配がなかったため、超音波で患部を診ることになった。
夕方、超音波検査室に行きベッドに横たわると、主治医もやってきた。
腫れている患部は触っただけでも痛いことを検査技師の方に伝えると、痛くならないようにそっとエコーを当てるように検査を始めてくれた。

「よかった。そんなに痛い検査にならなさそうだ」と胸をなでおろしたのもつかの間、主治医と検査技師が何やら神妙な顔で話し始めた。
「ここ、何かありますよね」
「結構広い範囲ですね」
「液体のようにも見えますし、なんでしょうか」
エコーは私には見えない位置にあったのでよくわからなかったが、患部に何かがあるらしい。二人の会話の様子が徐々に深刻になっていく。

しばらく検査技師と相談をしていた主治医が私に言った。
「足の皮膚の下に何かがあるようですが、今の状態だとなにかがわからないので、これから超音波を当てながら針を刺して抜いてみます。もしかしたら何も出てこないかもしれないし、何か出てくるかもしれないけどそれは刺してみないとわかりません」

えええ、刺してみないとわからないけど刺すの?
触られるだけでも痛いのに??
針を刺すの??

不安しかない私をよそに、着々と準備が進められた。
「先生、痛いですか?」
「痛いと思います。でもやらないとわからないので」
先生痛いってわかっているんですね、でもやるんですね。

そんなことを思いながら、針が刺されるのを待った。主治医は検査技師がエコーを表示させるのを注意深く見ながら、その謎の塊の所へと針を刺した。
痛い。針が刺さる瞬間はもちろん、足の中のなにやら固い部分を通過する度に痛い。

でもこれはまだまだ序の口だった。

3回ほど針を刺して出てきたのは大量の膿。そして針を刺した穴からまだまだ流れ出てくる。
「まだ出てくるので押し出してみます」
主治医はそう言って、腫れあがっている患部を押し始めた。

痛いー-------------!!!!!
痛い、痛い!!めちゃくちゃ痛い!!!
もう、痛くて痛くて、全身硬直させてもまだ痛い。
あまりの痛みに涙と鼻水が止まらない。
出産を無痛分娩にせずに、通常分娩にしておけばもう少し痛みに耐えられたのだろうかと頭をよぎった。

どれだけ痛いと叫んだだろうか。
「先生、先生もう、勘弁してください」
ヘロヘロになりながら訴えて、やっと主治医の手は止まった。

「だいぶ出てきたんですが、まだ出てくるのでちょっと切ってみます」

切るんかーい!!

その後処置室に移され局所麻酔をして切開。生理食塩水で出てくる膿を洗い流されるのだが、これも痛い。
この拷問はどれだけ続くのかと頭がぼーっとしてきたところ、看護師さんがそっと手を取ってくれた。
人の手の温かさがこんなにも沁みたことがあっただろうか。

処置が終わり、すっかり腑抜けた状態になってしまった私は、そのままストレッチャーで部屋に戻った。
足に溜まっていた膿が出たおかげか、熱は下がり始め足の痛みも少し減っていった。
その夜は久しぶりにぐっすりと眠った。

面会日前日の転院騒動

次の日、傷口を見に来た主治医がガーゼをはがすと、膿がまだ流れ出てきた。再び膿を洗い流されるが、やはりまだまだ痛かった。
処置後、いったん退出した主治医は看護師長と何かを相談したようで、再び戻ってきて言った。
「明日から土日でお休みになるのですが、今の状態だと緊急で何かあった時にうちの病院では対応ができません(救急外来をやっていない病院だった)。今から救急対応できる病院で受け入れできるところを探すので、見つかったら転院して下さい」

転院?明日せっかく子どもたちと面会できる日なのに?転院するの?

そんなことを言えるわけもなく、なすがままに病院が見つかるのを待っていると、1件受け入れてくれる病院があったと主治医が戻ってきた。そこから代わる代わる看護師さんたちがやってきて、転院の準備が進められた。

薬を持ってきた薬剤師さんは
「昨日は痛そうでしたね。検査室の隣に薬局があるので、声が聞こえてきました」と声をかけてくれた。出産を通常分娩にすれば良かったかもしれないと思ったことを伝えると「私も出産が帝王切開だったんですが麻酔が効かなくて。まさに切腹状態だったんですよね」とおっしゃった。
麻酔無しでお腹を切ることを想像しただけで鳥肌が立ってしまった。上には上がいるものだ。

移動は救急車を探してくれたのだが、このご時世で見つからず介護タクシーを使うことになった。普通のタクシーではダメなのか聞いたところ、看護師長は「無理して万が一血液に細菌が回ってしまったら命に関わることになります。絶対に無理しちゃだめです」と真剣な顔をして言った。
その言葉に私は自分がただ事ではない状況にいることを知った。

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