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表現や発声を改善するにはまず認識することが大事


表現や発声は具体的な指摘が難しい

表現や発声に限らずですが、第三者から改善すべき点を伝えられたときに、相手の言っている内容が理解できなかったり、伝えられた言葉の意味自体は理解できても、それが自分の行っていることとリンクせず実感ができない場合には改善を行うことができません。
改善すべき点を伝えられても結局どうしたら良いかが分からないからです。

表現や発声において難しいのは、改善すべき点が身体の内側で起こっていることに対するものが多いことです。

例えば、ダンスではフリが違っている場合には「そこで右手を挙げて」という風に相手と自分の認識があまりずれない形で改善点を伝えることができます。(もちろん場合にもよります)

それが表現の場合には、喜んでいる場面で「嬉しそうじゃないからもっと嬉しそうにして」と言われたときに、自分ではやっているつもりなのになぜそのように見えるのか、どんな部分が嬉しそうに見えないのかというのが分からない場合が多いのです。

発声についても「力んだような発声になっているから力を抜いて」と言われたときに、そもそも本人に力んでいる感覚がなかったり、どこに力が入っているか指摘した側もされた側も具体的な場所が分からないということも多いと思います。

これが表現や発声の上達を難しくしている要因の1つだと思います。

改善の第一歩は認識することだがそれが難しい

改善のためには具体的に問題を認識することが大事です。
ですが、これは本当に難しいことです。

先の例の「力んだような発声になっている」という指摘を受けたときに、喉周辺が力んでいるのか、首周辺が力んでいるのか、はたまた背中が力んでいるのか等大雑把な範囲で自覚することも難しい上、発声に関わる筋肉は小さいものが多く、知覚することは極めて難しいです。

感情についても、どの器官がどのように働いて身体的にどのような状態になるのかを説明することや実感を伴ってそれを理解することは非常に難しいです。

例えば嬉しいときにどんな状態になるのかと問われても、どこに力が入り、どこの力が抜け、どこに意識が向くのか等事細かに説明できる人は多くないはずです。(しかもこれは人や状況によって変わるものだと思います)

そうすると、過去の嬉しかったときの記憶を頼りに同じ感覚を再現したり、呼び起こそうとしたり、それでも足りないと感じればどこかに力を入れて嬉しい感情をなんとか引きずり出そうすることが多いと思います。

稀に感性が非常に優れていて、感情に対する身体感覚をありありと思い浮かべられる人もいます。
そういう方は表現もとても優れていることが多いと感じます。

まず何を認識すれば良いのか

まずは身体の力んでいる箇所が無いかを本気で観察してください。
これも簡単では無いと思いますが、努力すれば手が届く領域です。

喉周辺にある効率的で豊かな発声に必要な筋肉等は知覚することがほぼ不可能です。
逆に知覚できる力みがあるとすれば、それはほぼ確実に余計な力なので、その力を抜きながら発声できるようにするとより良い発声に近づくはずです。

この知覚できる力みは、本来効率的で豊かな発声を行うための筋肉が未発達であったり働いていない場合に、なんとかその動きを補おうとして働いていることが多いものです。

感情についても、力みながら感情を呼び起こすことは非常に難しいです。
実際に感情が動いているときに身体を観察してみるとどこにも力が入っていないことが分かると思います。

余計な力みを知覚する難しさ

もしかしたら人によっては力みを抜くことは簡単だと思われたり、それは既に出来ているという方もいらっしゃるかもしれません。
でも本当に力みが抜けている状態なのか改めて確認していただきたいと思っています。

力みの知覚が難しいことの代表例として、肩こりや腰の痛みがあります。
これは、普段の生活で余計な力みが原因となって発生することも多いです。
肩こりや腰の痛みがある方は、原因となっている力みはどこでどの程度の力みなのか認識することはできますか?

別の例として、マッサージを受けて、身体の力が抜けた感覚があったり、すっきりした感覚を覚えた経験がある方は、どこにそれまでのコリや力みがあったのかを認識することはできますか?

おそらくいずれもとても難しいのではないでしょうか。

そのため、まずは力みを知覚すること自体が難しく、全力で知覚しようと取り組む必要があると認識すべきだと考えます。

常に余計な力みを知覚しながら生活する

意識すれば力みの知覚が出来るようになったら、その意識を出来る限り24時間いつでも働かせられるようにするとより自分をコントロールしやすくなります。

これも非常に難しく、何か仕事や遊びに集中しているときや緊張しているとき等は、力みを知覚する意識はどこかに行ってしまいがちですし、力みを意識しようと思って表現をしてみても、発声の一文字目には話す内容に意識を集中してしまって力みを意識できないということが発生しやすいです。

力みを意識するということを無意識にでも行えるようになるまでは、気付いたら常に力みを意識するように習慣付けると良いと思います。
集中力をすごく使うので大変ですが、その価値はあると思います。

力みを知覚出来たら力を抜く意識を持つ

知覚が出来たら次は改善です。
おそらく余計な力みは不快な感覚があると思いますので気持ちよく表現を行うために、力を抜くことが目標です。

ただ、やはりこれも簡単ではありません。
力の抜き方がよく分からなかったり、一瞬力が抜けたと思ったら次の瞬間にはまた力んでいるという経験をしたことがある方もいると思います。

コツを知ってなるべく早く力みを取りたいと考える方も多いと思いますが、多くの方が改善までに時間がかかるものと思います。

劇的な改善まではある程度時間がかかることは認識した上で、丁寧に取り組んでいけば少しずつですが1週間単位で、着実な進歩が感じられるはずです。

大事なので何度でも言いたいのですが、雑にならずに丁寧に集中して取り組むことが望む姿になるために本当に大事です。

最後に

抽象的な内容となりましたが、これは私が上達のために様々な失敗を経て、大事だと実感したことです。

この内容に対してあまり重要ではないと考える方、もっと別に考えるべきこと、やるべきことがあると考える方ももちろんいると思います。
そして、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、その感覚はとても重要なものです。
なぜなら、本当に自分に必要で大事なことだと思わないことはなかなか真剣に取り組めないからです。

そういった方も、もし、時間が経って今回の内容が重要だと感じたらその時に取り組んでいただくのが良いと思います。

今回の内容に少しでも納得できるところがあればぜひ取り組んでいただければと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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