肉の気持ち

夕方スーパーで生肉を買って、さあ帰ろう、と思って出口まで行くと外は雷と雨で大変なことになっていた。

しかたなく、フードコートみたいなところで雷が落ち着くのを待つことにした。最初はよかったのだけれど、冷房が効いててだんだん寒くなってきた。そのとき思わず「ああ、売り場で冷やされてる肉たちってこんな気持ちなんだ」と思ってしまった。

みなさんも経験あると思う。スーパーの精肉コーナーってものすごく冷えてますよね?この季節は半袖のまま店内に入ってうっかり長居すると寒くなってきて、上着を羽織れば(持ってくれば)よかったって後悔する。少なくとも私にとってはあるあるである。

不幸にも今日は上着を持っていなかった。そのためガンガンの空調に長時間さらされた私の体は売り場のお肉と同じくらい冷え冷えになっていた。

たまらずその場をあとにして、しかしまだ雷は依然活発だったので、とりあえず二階にある百円ショップなどを見て回ることにした。そこも寒かったのだけれども、動き回ることで少しは暖が取れた。

そうこうしているとようやく雷が収まってきた。これを好機と急いで外に出て帰路についた。

こうして私は生肉と一緒に、この狭くて寒い監獄から脱出したのであった。

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