「友情のかべ新聞」ふり返り
単元の終盤、どのように学習のまとめを行うか。「まとめ」という言い方はどこか曖昧なので、ふり返りという言い方をすることが多いです。
「かべ新聞」がテーマの物語なので、ふり返りも「新聞作り」で行うことにしました。
ふり返りにおける観点
10年程前は、物語のふり返りで新聞を作ることが多かったです。「わらぐつの中の神様」「海の命」「やまなし」を読んだ後も、新聞を作っていました。
ふり返りの新聞作りでは、観点を示すことが重要だと考えています。(新聞作りに限らず、ふり返りの観点を示すか子どもが決めるかは、単元ごとに迷うところです)
「初読の感想と今の感想の比較」「自分が考えた問いと、その問いに対する考え」「問いを追究してみて」
今回は、以上の3つを必須の観点としました。
が、子どもの中では、西君や東君のように自分の好きなテーマで書きたいと思っていたようでした。また、物語の最後に今度二人がかべ新聞を作ったらどんな物になるかと、語り手である「ぼく」が言っている場面があります。それを読んで、じゃあ今度二人が作ったことを想定した新聞を作りたいという声もありました。
確かにそれもありかなと思いつつ、ふり返りも外せないなと葛藤した単元の終末でした。
実際に子どもが書いた新聞の内容(の一部)
〇初読の感想と今の感想の比較
初読:ケンカ中や物の取り合い中、二人は何を思っているんだろう?
今:色々な人の意見を聞いて、西君や東君も大事だけど、中井先生がいなかったりかべ新聞がなかったりしたら物語が成り立たない。
この物語における重要人物・または重要な物について考える視点は、4月当初の「白いぼうし」から続いています。重要だと考える基準は、「いなくても、または無くても物語が成立するかどうか」と考えているようです。重要人物や物は、一読すればすぐ分かることもあります。しかし、「その人物や物が物語にどのような影響を与えているのか」を考えることは、物語全体を読み深めることにもつながると考えられます。
〇「友情のかべ新聞を読んで思ったことなど」
・好きなものが正反対で気持ちなども反対だと思ったけど、気持ちはにているところあると思う。
・西君と東君、本当はさいしょから仲がよいと思う。
これも多く出た意見でした。「そもそも西君と東君は最初から仲が良かったのでは?」「ただ張り合っていただけなんじゃないか」という考えです。おそらく、読み手である自分たちの経験からこのように考えたのでしょう。6年生の教科書にある「帰り道」もそうですが、どこか自分たちも経験したことのあるような出来事や感情が表現されています。そのため、子どもが興味をもって読めるのだと考えられます。
〇問いを追究してみて
・「西君と東君がまた新聞を作ったら、どのような新聞になったのか」
Aさんと二人で追究してみて、教科書から読んだり、東君と西君の好きな〇〇からランキングを書いたりしました。自分のなぞがとけたり、考えて書いたりして、とてもやりがいがあった問いでした。
問いの追究
問いの追究を続けてきて、以前追究したときの視点を生かしている姿も見られるようになってきました。
国語は系統性が見えづらいと言われています。それでも、既習の学びを活用することは、国語の時間としても大事です。
今年度、重点的に実践しているのは、「子どもたち自身で問いの要件を導き出すこと」です。どういう問いだったら読み深まるのか、ということについて4月から考えてきました。
「問いづくりをしよう」と教師から投げかけなくても、初読の感想の中に自然と「みんなで考えてみたいこと」を書くようになりました。
「子どもが問いを作る」というけれど、子どもに任せていいものか…という意見を聞きます。全てを子どもに任せるわけでなく、その単元における指導事項やその物語で立ち止まって考えたい表現を、教師自身が考えておくことが必要です。
また、以前学習したことを今回も生かすことができた、学びがつながったという手応えは、学びに向かう力にもつながっていくと、子どもたちが実感できるようにしていきたいです。