ドイ、フルマラソン出場

とある地方の大型マラソン大会。
そのスタートラインの一番後ろのブロックに
ドイは立っていた。

怪我もなく、病気もなく、急用もなく、
無事にこの場に立てたことが嬉しくって
スタート前から感極まってしまうドイ。
遠くの前方でスタートの合図が鳴る。
大きなうねりのなかでドイは走り出した。

6時間後ーーーーーー
「時間切れでーす、バスに乗って下さーい。」

足を震わせながらバスに乗り込むドイ。
言葉少ないドイらを乗せて、長い長い時間をかけてバスはスタート地点に戻った。

すでにゴールをした人々が、首から完走メダルをかけて満足そうに会場を後にしている。

車窓から見えるその光景。
ドイは悔しかった。
悔しくて悔しくて、自分が情けなかった。
まだ辞められない。
完走するまで続けてやる。

生まれて初めての感情に驚きながら、
時間をかけてバスを降りたドイだった。

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