ドイの心と体が…折れる?
はやく終わってくれ…と念じている間に
ランニング教室は終了。
コーチ、写真撮って下さい!と息巻く参加者を尻目に、息も絶え絶えでその場を後にするドイ。
オデコとか膝とかから血が出てるけど、
それよりなにより腕が痛い。
痛すぎて呼吸が浅くなる。
これは、折れてる。
人生初の骨折しちゃった。
ドイは痛みで眠れぬ夜を過ごした。
翌日、包帯を使って自己流で腕をつって出勤するドイ。
同僚がギョッとしているが恥ずかしくもなんともない。
離婚をしたのでこれからは旧姓で呼んでください、と頼んだあの時に比べたら、
職場で恥ずかしいことなんてなにもない。
片手で仕事をこなすドイ。
終業後、病院へ行った。
2時間の待ち時間の間ドイは考えていた。
折れてるし、これは大変なことになるぞ。
何回通院するかな、ギブスって今日作れるのかな、あれ、内側痒くなるってほんとかな…
診察室に入ると、ドイのレントゲン写真を見ながらドクターは言った。
「折れてませんしヒビも入ってません」
折れてなかった。
隣の薬局に湿布をもらいに行きながら、ドイは思った。
折れてないのにこんなに痛いの?
じゃあ折れてたらどんなに痛いの?
…骨折したことあるひとリスペクト!!!
それからのドイは、同僚のお子さんが骨折したとかいう話を聞くと、
どんなに痛かっただろう…と
胸を痛められるようになった。
そしてもう一つ。
目の前で誰かが転んだら、大丈夫ですかと声をかけて手を差し伸べられる人でありたい。
そう思うようになった。
転んだことで、少し優しくなれたドイだった。
(そうでも思わないとつらいわ)