【ありがとうのバトン#04】男子大学生、森の中でミュージカルを開催しました。
朝目覚めると、僕は森の中にいた。
どうしてこんなところにいるんだろう…
手がかりを見つけるため、辺りを見回してみるも、木、木、木。大自然が視界を覆い尽くし、どうしてよいのかわからない。
絶望にくれ、大自然のカーペットの上に大の字になると何やら愉快な音楽が聴こえてきた。
ルンルンルン〜♪
体を起こし、音楽のする方へ歩みを進めると、そこには小さな森の妖精たちが大きな輪を作り、色々な楽器を楽しそうに演奏する姿があった。小枝のフルートや葉っぱのトランペット、カラフルな花の太鼓など色とりどり個性豊かな楽器ばかりだ。
中心には緑のドレスを身に纏った女の子が立ち、美しい声で歌を歌っている。目を凝らしてみると、女の子の胸には『ゆき』と書かれている。どこかで聞いたことある名前なんだけどな…うまく思い出せないなぁ。
僕は心と目をキラキラさせながら、妖精や女の子に気付かれないようにして、少し離れた木々の隙間から演奏会を覗いていた。
本当に自由で楽しそうな演奏会だな〜
感動しすぎて、つい声が出てしまった。慌てて口を抑えるも、時すでにお寿司。女の子が歌うことを辞め、妖精たちがアワアワと周りを見渡し始める。僕は、力みすぎて靴下が破けてしまった。
あ、あそこに、変な男の人がいる!!
妖精の一人が声を張り上げると、次々と妖精たちがこちらを指差し始めた。ゆきもこちらに気がつき、近づいてきた。
あ、あ、その…決して怪しいものではなくて…
僕は両手をよろよろと揺らしながら、必死に弁明する。
私は、ゆき。今日は遊びに来てくれたのね。さあ、一緒に演奏会を楽しみましょう。
ゆきはにこっとしながら、僕の手を引っ張った。ゆき…やっぱり聞いたことある名前だ。誰だっけな。そんなことを考えているものの数秒で、気がつけば妖精たちに囲まれて演奏会の中心に立っている。
どうやら、この世界では人見知りも疑いの心も偏見の眼差しも何一つ存在しないらしい。スムーズすぎる展開に戸惑っている僕にゆきは言う。
さあ、あなたも、ここで自由に解き放たれましょう。リボーーーーーーーン!!
ゆきが声を出した瞬間、さっきまでの不安はどこへやら、緊張は驚きの速さでほぐれ、自然と殻にこもっていた僕の心のうちが解き放たれていっているみたいだ。
『僕は、迷っている〜この森の真ん中で〜♪』
口が勝手に動き出し、ミュージカルを始めた。妖精たちは何の戸惑いもなく演奏を再開させている。
『知らない道が多すぎる〜どうすれば良いのかわからない〜♪』
そんなことは関係ない〜ゴールの方角はたくさんあるよ〜
追って、ゆきがハモり始めた。まるで某夢の国の主人公になっているかのような気分になってくる。
『だからこそ不安だ〜どっちが正しいのか〜♪』
どんなことでも、一緒にやれば〜この世界でできないことなどないのよ〜♫
どんどん心がすっきりするにつれ、気持ちが良くなってくる。どんどん盛り上がってくる演奏会。周りには森の動物たちも集まってきた。もぐもぐお菓子をつまみながらノってくれているらしい。
『でも、森の基準から離れるのは怖い〜踏み出す勇気が欲しい〜♩』
好きや嫌いが芽生えたら〜もう前進してるのいつも〜
いよいよクライマックス。演奏会は最高の盛り上がりを見せている。ラストは、二人で声を合わせる。
『『理想を詰め込んだ自分になろう〜〜〜〜🎶』』
演奏会は盛大な拍手でフィナーレを迎えた。僕は今まで感じたことのないようなスッキリ感を味わった。
本当にありがとう、楽しかったよ。ゆきとどこかであったことあるような…
僕がそう言いかけた瞬間、眩い光に包まれた。
・・・・
リリリリリリ
馴染みの音で目を覚ます。
あれっ。演奏会は??
慌てて体を起こし周りを見渡したが、ゆきや妖精たちはおろか、緑一粒すら残っていなかった。開いたままのPC、コンセントにつながったままの携帯、読みっぱなしの大学のテキスト……。
なんだ夢だったのか……あーっnote開きすぎて、充電なくなってるやん。
パソコンの画面にはとあるnoterさんのホームページが映し出されている。
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このnoteはメアリとだり主催の【ありがとうのバトン】という企画に参加しているものです。noterさん同士、日頃のありがとうの気持ちを込めてバトンを繋ぐかのように、次から次へnoteで紹介していくとっても素敵な企画です。参加させてくれて、ありがとう。
走順:メアリ→だーりぃ→ワカさん→かねけん(今回のnote)→ゆき→まこと→えい→たまごまる→ゆず愛さん
(※それぞれ、名前を押すとその方のnoteに飛べます)
ゆき:紹介の仕方等で直して欲しいところがあれば言ってね。光速で対応させていただきます🙇♀️
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