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ネットワークビジネスにハマって一家離散した話⑭ ~現実は小説より奇なり~

この物語はフィクションだったと願いたい作者の記憶をここに綴る2015年の物語である。

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~同居~

二人でアパートを借りるというが全てを相手に出させる…。
しかも借金を抱えたまま…。
何とも情けない話ではあるが一切情けないと思っていないのか…。
世代が違うのか…。
にわかには信じられないし、成功のビジョンが見えないものの、おめでたい両親は手放しで喜んでいる。
決して厄介払いが出来たという喜びではなく真剣に喜んでいるようだ。
おめでたいのは本人だけではないようだ…。

良手放しで喜んでいる両親に変わり重要な事項を確認するのはやはり私の役割なのだろう?

「相手方の両親は二人で暮らすことを了承しているのか?」
「借金をしている事は同居相手、相手方の両親は知っているのか?」
「敷金礼金及びガス、電気開通の初期投資、家具家財や電化製品の費用を軽く見積もっても20~30万円ほどかかる。仙台のどこに住むかによっては跳ね上がる事は分かっているのか?」
「引っ越ししてから働くあてはあるのか?」
「引っ越し費用の他に、働いて給料が入るまでの生活費及び固定費の蓄えが相手にあるのか?」

こんな当たり前のことを聞くが、全ての答えはノー、またはわからないだった。

こんな大前提もクリアしていないのであれば今までの話は全て夢物語を聞かされただけである…。

子供が宇宙飛行士になりたいと言いながらペットボトルを眺めている段階で、ペットボトルロケットを作ってすらいない状況とさして変わらない…。

それでも弟は続ける
「それでも来週から一緒に住みたいと思っている。物件も目星をつけている。」

もう海外をグーグルマップを見ながらパスポートも無いのに旅行に行きたいと思っているのとほとんど変わらない…。

素直に世の中の仕組みを教える。
ある程度の資金や就労先が決まっていない限り、保証会社が家賃保証をしてくれないからアパートを借りれない事。
審査や手続きを含め、来週からという発想自体がほぼ不可能であること。

保証会社の他に保証人を立てる必要がある場合も往々にしてあること。
実家で保証人になれるのは長男しかいないという事。

相手の名義で借りるのに、長男が保証人になるのは保証会社が許してくれるかどうかも微妙である事。

懇切丁寧に説明するも全くどこ吹く風である。

もう深夜でこちらも長時間の運転をした後で疲弊している。
理論的な話をすることがもう限界である。
弟も時間とスマホをずっと気にしている。

毎晩電話をしているというのはあながち嘘ではないのだろう。

「今日は私も疲れたから寝るけど電話で今言われたことを確認して、もう一度考えて答えを出しなさい。」

そういって、私は布団へと滑り込むのである。

~夜明け~

実家ほど落ち着かない場所は無い。
もう実家を出て何年も経っているというのに今でも鮮明に思い出す。
寝つきがいいわけもなく、両親のいった通り一晩中話し声が聞こえ、余計に私の感情を高ぶらせる。
ただただ夜明けを待つだけの時間はつらくて仕方がない。

休んだ気など微塵も感じられないが、一長一短で転居が決まるわけはない。
また日常の日々へ戻ると思っていた。
次は年末だろうか…?
そんなことが頭をよぎると増々一刻も早くこの場から去りたい気持ちしかない。

~食卓~


今時、不祝儀の日程はコンパクトだ。
次々に悲しむ間もなく儀式が終わっていく。
今日の火葬が終われば私も日常に戻っていく。また長距離を運転して帰るのかとやや嫌気が指す中ではあるが車で来た以上、帰りの運転は避けられない。
そんなことをぼんやり考えていると両親がやってきた。
『せっかくだから家で食事してから帰らないか?』
そんな気は微塵もない私は即座に断りを入れる。
それを気軽にできたらわざわざ実家に帰っているのにホテルなど借りることもない。

だが、引かない…。
何とか食事を家でと粘る両親には何か魂胆があるのは見え見えだ。
核心を突くまでのらりくらりと話を引き延ばされても面倒だ…。

いったい何を企んでいるんだ?
ストレートな問いかけに鳩が豆鉄砲を食ったような表情だが、すぐに両親は諦めて本心を語り始める。
初めからそうしてくれた方が時間が短くて済むというのに…
『弟が昨日、引っ越しが決まった。来月には出ていくと言っているから一緒に話を聞いてくれないか?』

もうこれ以上巻き込まないでと他人だったら突き放せる…。
こんな帰り際に言われるような事じゃない…。
都合よく使われているのは百も承知だが、断り切れない理由なのだからのらりくらり適当な言い訳をせずに話をすればいいと若干の苛立ちを覚えながらしぶしぶ了承する。

そんな議題であれば、食事をとりながらするものでもないし、長引けば私の帰りが深夜になる。
むしろもう深夜になる事が確定したようなものだ…。

~出会い~

実家に帰るなり本題へ取り掛かる。
「で、どうすることにしたの?」
もう遠回りで話する余裕はない。
「その子が来週あいさつに来ます。来月には引っ越そうと思う。」
相手方の両親に承諾は取ったのか?引っ越し資金はあるのか?借金まみれなことは伝えているのか?単刀直入に聞く…。
「一緒に住む子は借金があるのは知ってるけど、金額は知らない。引っ越し費用はあっちが出してくれる。あっちの親は借金している事は知らない。」

つまり状況は何も変わっていないという事だ。
借金まみれのクズと一緒に住むアパートの保証人になる親はいないだろう…。

「じゃあ結局何にも進んでないって事でしょ?相手方の親に話を通してからにしなさい。」

無駄な時間をすごしただけになった。



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