「使うのがもったいない!」と思ったら、すぐに使う。
さらに、新しい友だちの話は続きます。
友好の証としていただいた、彼女の“一軍”のお香。
今朝使ってみました。
実はしばらく使うつもりはなかったのです。
お香は火を付けたらなくなってしまう。
なんだかもったいないし、普段お香に馴染みはなく
箱から直接嗅ぐスタイルがいつでもどこでも手軽に楽しめて良いかなと思っていました。
しかし彼女から「ぜひ一本だけでも使ってみてください!」と強く勧められていて。
今朝はたまたまいつもより早く目が覚め、とても良い天気。
いつもより部屋に日差しが差し込み、明るく開放感が感じられ、
なんとなく、使うなら今かなと思いました。
教えてもらった通り
お家にあるお気に入りの平皿とライターを用意し、お香立てとお香をのせて、火を付けます。新しい体験に少し心が上向きながら。
スーっと白くて細い煙がでてきました。
なんだか水墨画の龍のよう。
きれいだったので、しばらく龍をながめることにしました。
龍は神秘的です。刻々と動きを変えて部屋の中に広がったと思えば消えてしまう。
とてもはかない。
つかめそうで、つかめない、白い龍を見ているうちに、
気づかないほど静かに、でも確実にお香が減っていることに気づきました。
消えてしまうからこそ、今この時間をたのしもう。
本当は他の作業をするつもりが、すべての手を止めて、
ただただ、龍を座って見つめて、澄んだ朝の穏やかさを感じていました。
このただ、“見つめている”という時間が、とても贅沢だと思いました。
朝は、今日やること、あと何をしなければいけないか、これができるようになろうなど、一日の“やる”ことを考えます。
そうすると朝から気負ったり、ちょっとズンと重くなってしまうときもあるのです。
でも朝なので、
そんなのがあってもなくても行くんだぞ!
一日の始まりこそ、明るくいかなきゃ!などと、気にしないようにしたり、そんなんじゃダメ!と思う自分がいました。
そういった、ぜんぶのことが、龍と一緒にサラサラ流れていく。
なにもできていない、そう思っていた自分が、実は毎日頑張っていたんだという気づきが、
漂う龍のようにふわっと訪れました。
もっと自分にやさしくしてあげたいと、思いやりの気持ちを思い出させてくれます。
おもしろいことに、悩みや気がかりなこと、アイデアといった頭に浮かんだものとリンクして、龍が動いているようにも見えます。
静かで新しい遊びに興じていると、途中でお香がポキッと折れました。それでも変わらず動きを止めないお香を見つめて思います。
ー時間は限られている。
私が焦ったって、頑張ったって、うまくいってもいかなくても、時間は流れていく。
私が何をしようと、ジタバタしようと、確実に命の火が消えていくのなら。
だったら、もっと自分が幸せを感じられるように楽しもうじゃないか。
そうして心から、ただ龍を見つめることを楽しんでいると
龍の終わりがみえてきました。
最後の龍は今までとは違います。
四方八方に、よりたくさん、力強く放たれていきます。
最後だからこそ、悔いのないように、エネルギーを出し切るかのよう。
部屋に充満して、見えなくてもここにいるんだよと、龍がふわっと大きく、そしてやさしく包み込んでくれる。
ー私はどれだけ時間を大切にできているか。
人とのご縁、今の仕事、趣味、健康、今私に命あること、すべては当たり前ではありません。
今、手に届く範囲にあるまわりのことは、今しか手に取れないもの。
終わりを感じるからこそ、大切にできる。
惜しむ気持ちが、より目の前の価値に気づかせてくれる。
龍が静かに、全て解き放たれたのを見届けると、私はすごくスッキリと晴れやかなきもちになった。
ーお香は火をつけてこそ。
彼女は香りアイテムではなく、“時間”や“体験”を私にプレゼントしてくれたのかもしれません。
今をたのしもう
もったいぶって、後回しにしていることはなんですか?
無くなるのが惜しい、使うのがもったいない、
そう思うなら、それほど大切に思っているということ。
素敵じゃないですか。
だからこそ一度、今すぐ思いきり、使ってみませんか。
全くちがった景色がみえるかもしれません。
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