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「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」川内有緒: 読書感想

とても評価が高く、本屋ノンフィクション大賞も受賞している本です。
ですが、かなりネガティブな個人的な感想となっています。読みたくないなと思われる方はスルーしてください。

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この本のタイトルを見て、読んでみたいと思った理由が2つあります。

ちなみに、私自身は感音性聴覚障がい者です。

1つめの理由は、障害の種類に限らずディスアビリティがある人のことをよく知りたいと常に思っているので、この本に興味が湧きました。

2つめの理由は、アートの鑑賞の仕方です。私は目が見えますが、アート鑑賞はよくわからず、モヤモヤがあります。著者はギャラリーも経営されているので、それのヒントがあるのではないかと思ったことです。

この二つの掛け算のノンフィクションなら読んで得られるものが多いのではないかと思いました。

映画化はされてますが、私はみていません。

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結論から言うと、24時間テレビを見た時の、なんだかなあ…というような気分になりました。

多分、わたしの性格がひねくれているんだと思います。

初めの方は興味深く読めました。そんなふうに鑑賞するのかと斬新で気づきもありました。

鑑賞の合間に挟んでくる白鳥さん目線の話や経験などもとても興味深かったです。

無意識の偏見について触れられている箇所もあり、これをどんなふうに深掘りしていくのかなあと期待してました。私自身がこの無意識の偏見に思うところがあったので。でもサラッと撫でられただけでした。

読んでいくうちに、いきなり優生思想や人種差別という重めの話が出てきたりします。

それはそれでいいのですが、そういったテーマに触れるわりには、当たり前のことしか書かれてなくて。著者の「お気持ち」が読みたいわけではなかったので肩透かしでした。

テーマもあっちこっちに散らばってるし、どこかで読んだような意見しか書かれてなくて最後まで読むのがしんどかったです。

「この世界で、笑いたんですよ」

一緒に作品を見る行為の先にあるものは、作品がよく見えるとか、発見があるとか、目が見えないひとの感覚や頭の中を想像したいからではなかった。ただ一緒にいて、笑っていられればそれでよかった。


着地点はそこ?と思いました。

ただ一緒にいて、笑っていられればそれでよかった、にはまったく共感できませんでした。綺麗すぎます。

本のタイトルから期待しすぎたんだと思います。どなたかも書いていらっしゃいましたが、ノンフィクションというよりエッセイ本としてならまだ読めたかもなと思いました。

障害を持つ人に限らず、メンタルやジェンダーにおいてもディスアビィリティを抱える方がいます。

マイノリティや本当の多様性についてや、マジョリティの側の人たちの内省とマインドセットについて語られている東京大学の星加教授の対談にとても感銘を受けたあとに、この本を読んだので余計そう思ったのかもしれません。

星加教授と成田先生の対談、ぜひご覧になってください。


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