黒川検事長辞任は壮大な検察庁の出来レース?

前回のエントリで、作家泣かせの展開となった黒川東京高検検事長の辞任。なぜこうなったのかは正直わかりません。でも疑問に思っていた点があります。

黒川氏が麻雀好きであることは知られていたようだが、なぜ、渦中の人にある折も折、ノコノコ麻雀に出かけていっ(て、そのうえ賭博罪にあたる賭け麻雀をし)たのか。

もし黒川氏の上昇志向が高く、検事総長になりたくて、そのために「官邸の守護神」と言われるまでに官邸に胡麻をすっていたとしたならば、過去のことはともかく、5月になって、この状況下、麻雀に出かけるという極めて高いリスクはとらないでしょう。

リスクテイクをする考え方としては、黒川氏が重度の麻雀依存症であるという可能性です。でも、これは検証しようがないので、横に置きます。

もう一つは、そこまでして新聞記者を籠絡しておく必要があったということですが、結果的に卓を囲んだことのある別の記者からも情報が漏れたことから、この線も薄そうです。

正直、まさにノコノコと出て行った理由が私には読めないのです。

そこに、示唆的な論評が出ました。THE STRAY TIMESの5月30日付「検察庁法改正でマスコミが報道しない「真実」」です。筆者の正体はわかりませんが、相当多方面にアンテナを張っている人物であり、信憑性はわかりませんが、考察の切り口は非常に参考になります。

黒川氏は司法試験を通って検事任官、検察庁よりは法務省官僚として長く活動し、官邸の覚えめでたくなったというのが、通り一遍のストーリーですが、上述の考察を読むと、実は黒川氏は、食えない古狸、二重スパイ的に行動していたのではないかと思えてくるのです。

安部一強が続くといっても、たかだか数年。もちろん、その間胡麻をすりまくってエラくなろうという考えもあるでしょう。しかし、官僚はより省益を大切にすると思います。安部長期政権下、様々な独立性の高い組織が「安部カラー」に塗り替えられました。最高裁判事も、過去の慣例を無視した構成にしたことを目の当たりにした検察は、危機感を持ったのではないかと思います。まして、途中で書き換えられたという、認証官の定年延長権を内閣が持つこと。これは、検察も壟断されると思ったのではないかと思います。

実は黒川氏もそう思ったと。エラくしてくれるのはありがたいが、禍根を残すようなことはしたくない。そのなかで、法務官僚が長いことを奇貨として、一芝居打ったのではないかという仮説です。

野党の追及にオロオロする法相や内閣府特命大臣、SNSで盛り上がりを見せた反対運動。下がるであろう内閣支持率に見切りをつけ、汚れ役になっても、自らが身を引いて、検察庁法改正にストップをかけようとした、麻雀で言うならば、責任打牌で打ち込んでいったのではないかと思えるのです。河井前法相・参院議員夫妻への捜査により、「あまり出すぎた真似をするんじゃねーぞ」と警告をしていた検察庁に対し、これを無視した官邸に、最後の切り札として、賭け麻雀で文春砲に撃たれようとしたのではないかと。

そう考えると、黒川氏がノコノコと麻雀に行き、週刊文春に抜かれるのは、「官邸の守護神」という片方のスパイのマスクを捨て、安倍政権への引導を渡す行為であり、検察庁が黒川氏を懲戒処分にしなかったことは、自らが「ヨゴレ」となって、検察庁を守ったという「ご褒美」であると。内閣が「検察庁の判断で(処分を)行った」というのは、実際の処分権者がそのとおりであり、検察の意趣返しに反論出来ないのはではないかと。

もちろん、妄想です。でもこれなら「全米がなく」かも(笑)。

最大の被害者は、首相でも黒川氏でも、法相でも官房長官でもなく、リャンピンの賭け麻雀で9,000円勝って捕まり、「麻雀は二度としません、賭けてもいい」との名言を残した、漫画家の蛭子能収さんも知れません。「なんでおれつかまったんだよー」と。

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