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お客さまから学び、躍動する組織をつくる人間観
企業の成長は、お客さまの声に耳を傾けることから始まります。
例えば、ジェフ・ベソスが創業したAmazonは、「地球上で最もお客さまを大切にする企業」という理念を掲げています。ベソスは、その理念に忠実に事業を発展させてきました。今では、あたり前になっている「カスタマーレビュー」も当初は、「お客さまからの不評の声まで載せたら売れなくなるに決まっている」と酷評されていたのです。
お客さまから学ぶ組織で働く喜び
私たちは、お客さまが何を求めているのか、素直に学び、商品・サービスとして提供しなければなりません。何より重要なことは、提供する立場の自分たちでは持ちえない視点をお客さまは持っているということです。その視点を取り入れることで、自分たちの「当たり前」を変えていくことが可能となります。
そのようにして、お客さまから学び、自分たちが変わってゆける実感が、働く喜びをもたらします。お客さまを求心力にして、チーム一丸となり、それぞれの多様な強みを活かすことに集中すれば、成果も得られ、メンバーは主体性を発揮し、働く喜びを得ることができます。
目標×関係性でマネジメントを見直す
そうした活き活きとした組織は「誰かの役に立ちたい」という根源的な欲求が原動力になっています。「誰かの役に立ちたい」という思いは、社員どうしでも同様です。経営者と社員の間でも同様でしょう。しかしながら、真に社員の役に立たちたいと考えている経営者はどれくらいいるでしょうか。
それを確認するために、ここでは「目標と関係性」という2軸からマネジメントを見なおすことを提案します。
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図1の縦軸は、「目標レベル」です。どのような目標を設定するかで原動力の大きさが変わります。例えば、自社の会議を思い出してください。どのような議論がなされているでしょうか。
〔発生型〕目の前に「発生」した問題の対処に追われていませんか?
〔設定型〕そもそもの「あるべき姿」を軸として問題を捉えていますか?
〔目的志向型〕お客さまにどのように役に立つか、その目的に立ち返ることを忘れていませんか?
また、解決に向けて、誰がリーダーシップを発揮しているでしょうか。「みんなの役に立ちたい」と社長も含めた組織全員が思えているでしょうか。横軸の「関係性」はそのレベルを表しています。
〔属人的〕特定の人だけがやっている
〔中央集権的〕一人の権威的リーダーの指示のもと動いている
〔自律分散的〕一人ひとりが自らの責任のもとリーダーシップを発揮している
時々、研修で、図1を示して、「御社はどこにあたりますか」とお聞きすることがあります。「いやあ、個人商店ですね」ということが多いです。そして「規則による管理」を目指すことになります。
ここに落とし穴があります。お客さまの方ではなく、権威のあるリーダー、つまり、社長の顔色を社員が伺うことが起きます。
時に「すべての組織が右上を目指すものでしょうか」という質問も受けます。この質問の前提は「自社のような業界では、何も考えずに作業をすることも必要だ」というものです。社員の多様性を受け入れることで起こる混乱を避けたいという気持ちが隠れているように思います。もっと平たくいえば、「いいから、私に従え」というのが本音ということです。
自分の人間観を省みる
社員それぞれの価値観や強みを活かすことは、ながく経営の課題として語られています。また、最近では「人的資本経営」という言葉が使われます。働く人々を人材(人的資源)と捉えるのか、人財(人的資本)と捉えるのかという議論です。
「資源」は、使うと目減りするものです。一方、「資本」は、活用次第で増減するものです。近視眼的な経営者は、目標達成のための手段として人という資源を消費します。当然ながら、それではうまくいきません。目の前の目標に追われ、社会やお客さまの役に立つという企業の目的を忘れてしまっています。
社員は、社会からお預かりした大切な資本です。誰かの役に立つという大きな目的のもと、創意工夫や努力を重ねる機会と向き合うことで、前向きな変化が生まれます。また、そのことによって社員は働きがいを得ることができます。
人はみな、お金のためだけに働くのではなく、誰かの役に立ちたいという欲求を持っています。経営者やリーダーに問われるのは、そうした人間観に立てているかどうかです。