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お父さん、ありがとう
今日は亡き父の誕生日。
生きていれば、94歳。
脳梗塞、大腸がんと闘病生活が続き、本人の希望でがんの手術は受けず、余命わずかと知りながら、父はサービス付き高齢者向け住宅という施設に母と二人で入居した。
両親を施設に預けることに関しては、迷いに迷った。
わたしは 、父の入院、腰痛で起きられなくなっていた母の介護で帰省していて、3ヶ月間、身動きが取れなかった。
そんな中、孫たちの出産予定日がどんどん近づいていた。
孫たちの面倒は、この先いくらでも見ることができる。
しかし、父には先がない。
「孫の出産を最優先するように」と父が何度もいってくれたお蔭で、決断できた。
孫たちは3週間違いで8月と9月に生まれた。
娘は里帰り出産し、近くに住む息子の方は、上の子の面倒も見た。
人生で最高に忙しく、賑やかな夏だった。
当時は新型コロナウィルスが最盛期だった。
12月にPCR検査を受けて、両親の部屋に泊まり込み、父の誕生日を祝い、新年を迎えた。
父と過ごした最後のお正月だった。
父はそのときはもう腸管が塞がり、点滴のみで生きていたが、意識ははっきりしていた。
曾孫の写真をパジャマの懐に入れて、よく眺めていた。
その孫たちも今は4歳。
今月、園でお遊戯会があり、動画が送られてきた。
ひとりは『三びきのやぎのがらがらどん』のトロル役。
もうひとりは、『どんないろがすき』を、緑のクレヨンの衣装を着て歌った。
お父さん、あのとき生まれた二人がこんなに大きくなりました。