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昔の人

昔の人は偉い。

文明の上に胡座をかいている現代人は、人間力で圧倒的に負けていると思う。

冒険心、探究心

未知の物を味わってみよう

未知の場所に出掛けてみよう

ガイドブックもインターネットもないのに。

全ての体験が、
一か八かの人体実験。

毒キノコを食べて犠牲になった人。
フグの毒に中って命を落とした人。

最初にタコやナマコを食べてみようと思った勇気ある人。

秋の味覚、冬の味覚、さまざまな珍味を、思う存分堪能できるのも、先人の体を張ったチャレンジ精神の賜だ。

中でも、一番凄いと思うのは、大抵のところに歩いて行っていたということ。

社会科で習った五街道を
笠を被り、手甲脚絆、足袋に草鞋という旅装で、テクテク歩く人を想像してみる。
肩には振り分け荷物。
山道も悪路もある。

東海道五十三次は
弥次さん喜多さん

奥の細道は松尾芭蕉

下にぃ下にぃの
大名行列

籠や馬に乗れるのは、
ごく限られた人。


以前読んだ新聞記事で
大名行列についての詳しい記述があった。

江戸時代の参勤交代は、随行する人数が石高に比例していたそうで、
加賀百万石の前田家では4000人という記録があるらしい。

団体旅行というにはあまりの大人数。

本陣と周辺の旅籠を借り上げて随行の者を分散させ、それでも賄えない分は、野営もあった。

もちろん長旅の荷物、江戸や領地で使う家財道具も持ち歩くから、想像を絶する大移動である。

そしてこの団体客は沿道の宿場ではあまり歓迎されなかったという。

なぜなら、酔って騒ぐ、暴れる。
宿代や茶代を値切る大名家もあったとか。

因みに加賀藩では、今の貨幣価値に換算すれば2、3億の支出があったということだから、値切りたくなる気持ちもわかる。

そして、この大名行列は1日に大体
8里程度進んだそうである。

約32km/日

信じられますか。

真似しろといわれてもできません。

江戸時代の人々より、栄養価の高いものを食べ、体格も格段に向上している筈なのに。
歩きやすいシューズもあるのに。

元気、やる気の差でしょうか。
現代人はなぜこんなにひ弱になったのでしょうか。

まぁ参勤交代なんて、そもそも無駄遣いをさせるための政策ですから、
現代人は無駄のない、効率的な暮らしをしているともいえます。

飛行機や車、鉄道など文明の利器に頼れば体力を温存しつつ移動できるので、他のことに時間を振り向けることができます。

家事も仕事も電化が進み、
時間は有り余るほどあるはず。

それにしては、毎日大したこともしてないのに、なぜかバタバタ忙しく、夜は疲れ切っているわたし。

元気があれば、何でもできる

といった人がいます。

令和の世まで生き延びた強い遺伝子を持つわたしたちなら、大抵のことは乗り越えられそうな気がします。


最後に長年の素朴な疑問。

永谷園のお茶漬け海苔には
なぜ東海道五拾三次カードが付いているのでしょうか。

このカードをコレクションしているという話もあまり聞かないのですが。


※2022.8.31 日本経済新聞夕刊を
 参考にさせていただきました。
 ヘッダー写真 河鍋暁斎
 「御上洛東海道 高輪牛ご屋」