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夏に読みたい

小学生のとき、NHKの銀河テレビ小説で『八つ墓村』(1971年8月放送)を観た。
父の本棚に文庫本があったので原作のページをドキドキしながらめくった記憶がある。

キャストを調べると、辰弥役を山本耕一さん、美也子役を水野久美さんが演じていたようだ。  
なぜか、探偵役の金田一耕助は登場していなかった。

1977年の映画の方は、
辰弥を萩原健一さん、美也子を小川真由美さん、そして金田一耕助を演じたのは渥美清さんだった。(観ていませんが)

『八つ墓村』は、映画、テレビドラマなど、何度も映像化されている。

横溝正史作品では、『犬神家の一族』が最も有名だが、個人的にあまり好みではない。
ゴムの仮面も、「斧琴菊(よきこときく)」の呪いも、シンクロナイズドスイミングみたいな湖の逆さま足も、あまりに奇天烈過ぎる。


『八つ墓村』は、双子の老婆が不気味だった。
角川の横溝正史フェアの頃に改めてちゃんと読んだ。
血も凍る連続殺人事件は、
実際に起きた事件がヒントになっている。
横溝正史の代名詞、「おどろおどろしい」内容で、怪奇趣味的な要素もあるが、それだけではなく、小説らしいロマンも感じた。

鍾乳洞のシーンが多く、体の芯からひんやりする夏向きの小説だ。

実は詳細は、ほとんど記憶にない。
だからこれは、読書感想文ではない。

横溝作品では、『悪魔の手毬唄』や『獄門島』を推す人が多いけれど、わたしは断然『八つ墓村』が好きだ。

立秋を過ぎても尚暑い、この季節に再読したくなる小説である。


ヘッダー画像は紅葉さんにお借りしました。
ありがとうございます。