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お蔭さま

この世はお蔭さま。
持ちつ持たれつで回っている。

わたしは他人に無関心な人間で、自分さえよければ…とまではいわないが、人にはなるべく関わりたくなかった。

元来、世話好きでもお節介でもない。
誰かの役に立ちたいなどと思うような殊勝な人間ではない。
ボランティア精神もなく、市の子育てサポートも、近場で出来るアルバイトを探していて登録を決めた。

お子さんが小さいうちは、お風呂のサポートなどで頻繁に呼ばれていたお宅も、成長するに従って卒業となり、たまに土日にお預かりをしたりと、サポートの内容も変化する。
一方で、新しい依頼もポツポツと入る。

先週も新規顔合わせが1件あった。
依頼される方の目的やご希望は様々で、各家庭にいろいろな事情がある。
そこに人間ドラマが垣間見えるときもある。
新しい出会いを大切にしたいと思った。

わたしたちの世代なら、子育て支援のシステムもなかったし、子育ては自分たちで頑張るしかなかった。
最近の子育ては恵まれているなぁ、と思う。

この仕事を始めて、自分の中で、「誰かを助けたい」という気持ちが芽生えた。
わたしが本当に支援したいのは本当に困っている人。

新規のサポートは、いつも緊張感がある。
お子さんとも親御さんとも相性がよければいいな。
張り切り過ぎて空回りしないように。
淡々と…と、自分に言い聞かせる。

こういった仕事を気軽に引き受けることが出来るのも、孫たちの世話が出来るのも、母が老人ホームにお世話になっていればこそ。
母の施設は、昨年12月後半からコロナ感染者が次々と出て面会禁止となった。
隔離期間が明け、ようやく面会が出来るようになったのは年明けの1月5日のことだった。
この間、玄関先での差し入れしかできなかった。
どんな様子が気がかりだったけれど、半月ぶりに会う母はとても元気だった。
年末年始、スタッフさんには大変お世話になった。
介護のお仕事には盆も正月もない。
お蔭さまを実感する。
わたしも微力ながら誰かを支える人になりたい。
わたしの孫たちも今日も誰かのお世話になっている。
元気でいてくれる夫にも感謝だ。