昔々…
私は得意分野の仕事をしていた。
テレビ番組の音響系のエンジニアだった。
オーディオが好きだったので
ハードなシフトも苦にはならなかった。
そして、
何度も転職したが、
いつでも条件・待遇は良くなる一方だった。
それなりの収入を得ていたし、
それなりの休暇もとれていた。
その頃は
上ばかり見ていて気がつかなかったが
自分のやりたいことをやれるということは
とても幸福だったと思う。
しかし、
ある日、唐突に流れが変わる。
私は調子に乗りすぎていたのかも知れない。
大人の事情で
会社が消滅することになった。
業績が悪いとか、
そういうことではなく、
外資特有の判断で
新規参入した分野から撤退することになった。
そんな馬鹿な…。
想定外とも言える会社都合の退職。
ここから私の人生の躓きが始まる。