見出し画像

美容院における性癖バレリスクに関する考察


ボクは美容院を選ぶとき、なるべく「初めての店」に行くようにしている。

理由は2つ。

1. 初めての店だとホット◯ッパービューティの初回クーポンが使えるから
2. 美容師さんと初対面だから

前者は言わずもがなだろう。みんな使ってるでしょ? ホット◯ッパービューティ。
あの、新参者には割引価格で優しく、常連にはほぼ正規料金をとるシステムで有名な。
アレなんなの? ふつう逆じゃない? 常連さんにもっと優しくした方がよくない??

まあホットペッ○ービューティ運営側からしたら、サイト経由でいろんな美容院行ってくれた方が登録店から送客マージン取れるわけだろうし妥当なシステム……おっとこれ以上言うのはやめておこう。闇の組織により朝起きたら毛根全て死滅してるビームを受けるかもしれない。

今回話したいのはホットでビューティなほうじゃない。「美容師さんと初対面だから」のほうだ。


〜〜〜


ボクの地元は埼玉の中心にある。
中心と言っても「都会」って意味じゃない。文字通り中心、埼玉のど真ん中にある。「県外からもっともアクセスしにくい街ランキング」で見事1位を獲得している。外側よりも、中心部のアクセスがわるいのは自明の理であろう。シュークリームを食べるとき、なかなかクリーム部にたどり着かないのと一緒だ。

市町村の中でギリギリ「町」の地位を保っている地元は、80%以上が山と農地で埋め尽くされている。「SIMPLE2000シリーズ THE 田園風景」といった塩梅である。近年では過疎化が加速しており、ここ10年で小学校が3つ潰れた。


そんな地元には、行きつけの美容院があった。

田舎でも美容院は十数軒あったように思われるが、どれも白菜みたいな見た目の美容院ばかりだった。
そんな中、ボクが高校生の時に突如、ロマネスコが現れたのだ。
モダンでシンプル。都会を思わせる洗練された外観。美容院のマスターは過去に表参道で修行していたらしい。
高校生当時、東京に憧れを抱いていたボクは、開店してすぐに店の扉を叩いた。
(なお当時は「予約」という高度なシステムを知らず直接伺ったのだが、マスターは快く迎え入れてくれた)

この美容院はマスターと奥さん、2人だけでやってるらしい。
マスターは薄縁メガネと髭をたくわえた細身ダンディな方だった。
なぜかいつも帽子をかぶっていたため、マスター本人のヘアスタイルは不明だ。または闇の組織により朝起きたら毛根全て死滅してるビームを受けたのかもしれない。


マスターはダンディながらも気さくな方で、カット中にめちゃめちゃ話しかけてくる。

「何部なんですか?」
「バンドやってるんですね〜! じつは私も昔ギターやってて〜」
「当時は看護学校にいたんスけど、なかなかワルいやつらがたくさんいて〜」
「実はボクシングもやってたんスけど、喧嘩の時に間違って相手を骨折させちゃって……」

マスターめっちゃ自分のこと話すなあ。昔ワルやってましたタイプの人だ。
本来そういう人は苦手なのだが、冗談を交えながら軽快な口取りで話すのでこちらも楽しくなってくる。

で、マスターは男性なわけで、盛り上がってくるとエロの話もしだすわけで。

「ふだんどんなAV見てるんスか?」
「私は蒼井優似のこの子が推しで〜」
「こんな顔して喘ぎ声すごいんスよ! じきるうさんも見てください!」
「xvideoよりカリビアン.comのが過激なの出てて〜」
「カリビアンはいつか規制されると思ってますね」

美容院に来るたびに、なぜかマスターの性癖とエロ動画獲得テクニックに詳しくなる。
カリビアンは無◯正がすごいらしい(数年前の話なので今はわからない)。

「じきるうさんはどんなの見るんですか?」
「あっ、マジっすか! 虫姦、私もみたことありますよ!」
「いや〜、流石にアレはレベル高すぎですよねwww」
「時間停止? 私、あれの良さはそんなにわからなくて……」
「実際、動いてた方が良くないですか? 止まってると反応ないわけだし〜」

そんな感じでやいのやいのとエロ談義で盛り上がるうちに、カットは終了。
その後はシャンプータイムに入る。
なおボクはシャンプー中は話しかけられたくないタイプなので、徐々に会話をフェードアウトさせていく。エロで盛り上がったところ申し訳ないが、あの顔にかぶせるペラペラな紙に向かって話すと「いまボクは何に向かって話してるんだ……?」と虚しい気分になるのだ。


シャンプーの後はマスターの奥さんとバトンタッチ。奥さんが髭剃り、眉剃り、フェイスパックをしてくれる。
さっきのゲスい会話、聞かれてなければいいな。

フェイスパックの後は軽く肩をマッサージしてくれたのちに、髪を乾かしてセット、ターン終了である。
普段、会計時のマスターはものすごく紳士的になる。エロの要素はどこへやら、肩にコートをかけてくれたりする。キュン。


……のだが、この日はどうもエロマスターのエロ度がヒートアップしてたらしく、会計時になってエロ談義を再開してきた。奥さんが店の奥に引っ込んだからだろうか。

「そういえばこの間、じきるうさんのお父さんが来店したときに〜」

そうなのだ。
このお店は街で唯一のモダンでシンプルなロマネスコ。表参道修行上がりマスターという、田舎では到底考えられないようなスペックをもった美容院なのだ。
当然ボクだけでなく、他の町民もあつまってくる。実父だって例外じゃない。

「お父さんも蒼井優似の女優さん推してましたよ! やっぱり私らの世代にはああいうコが刺さるのかもしれませんねぇ〜!」


〜〜〜


いまボクは東京都中央区に住んでいる。
「1Kの家賃相場が高い区ランキング」で見事1位を獲得している、あの中央区だ。
たまたま会社が中央区だから近くに住んだだけなのだが、これは思わぬ誤算だ。家賃だけで生活費の大半が持っていかれる。
会社は埼玉の中心あたりに移転してほしい。

とはいえ、中央区にはそれなりに質の高い美容院がたくさんある。
表参道上がりの美容師さんもたくさんいるだろう。
ホットペッ◯ービューティで人気の高い美容院なら、たいていハズれない。


そう、いい美容院がたくさんあるなら、わざわざ行きつけを作る必要もない。
行きつけを作ると、マスターとボクが仲良くなりすぎてしまい、結果として共通の知人の性癖を知ってしまう恐れがあるのだ。
もちろん、逆に自分の性癖が流出する可能性もある。
自分のことを話した分だけ、情報流出のリスクは高まるのだ。

性癖バレを防ぐために、ボクは今日も初対面の美容師さんにお願いする。
仲良くなりすぎない程度に、エロ談義を楽しもう。
美容院って、エロ談義する場所だっけ?


▼運営メディア▼


いいなと思ったら応援しよう!

じきるう 編集者
宜しければサポートをお願いします。ご支援いただいたお金は『クレイジースタディ ( https://crazystudy.info/ ) 』の運営に使わせていただきます。 ※※スキを押すと「カニガチャ」が回せるよ!SSR排出率10%!※※

この記事が参加している募集