問題解決あるあるコラム#29:インプットよりアウトプット
こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。
問題解決あるあるコラム第29回のテーマは、「インプットよりアウトプット」です。何かを学ぶ時、まず情報をインプットすることはとても重要です。インプット情報なしには何も始められません。インプット情報があって初めてプロセスは起動し、活動の結果としてアウトプットが生まれます。このように、何かを始めるのにインプットはとても重要です。しかし、物事を深く理解するためには、インプット以上にアウトプットが重要です。今回は、その理由を考えていきたいと思います。
インプット情報は抱えきれない
我々は、子供の頃から学校でさまざまな分野の学問を学びます。その形態は基本「授業」です。情報の受け手に回って、耳から入ってくる言語情報や、黒板や教科書に書いてある文字などの視覚情報を次々とインプットしていきます。見て聞いたことを長期間記憶の中に留めておくことはできないので、リアルタイムでノートに記録していきます。これは、インプットされた情報を、自らの手を動かし文字や記号、図形などに変換していくので、アウトプットと定義できます。
ノートを取ることは記憶の定着にはならない
このように、学校の授業ではインプットとアウトプットの組み合わせで、得た情報を個人の保有財産に変換します。この時点では、ほとんどの人がまだすぐに忘れてしまう「短期記憶」の棚に情報が置かれた状態です。これら情報を「長期記憶」に移し替えるには、その後の作業が必要になります。みんなの嫌いな「復習」です。ノートを読み返し、もう一度整理してノートに情報を書き加えるなどの作業をして記憶を定着させます。が、この時のプロセスが実はあまり効率的ではありません。
記憶の定着率はアウトプットが断然有利
得られた情報の理解率には次のような序列があるそうです。
聞く 5%
読む 10%
書く 20%
それについて考える 40%
実際に体験する 50%
人に教える 70%
つまり、授業で聞いて読んでノートを取るだけでは、インプットされた情報の20%しか理解できていないことになります。家に帰って復習しても、この低い割合を繰り返しているだけなので、理解を深めるには相当の努力が必要です。声に出して読んで再度耳から情報を聞きながら自分で工夫して別のノートに情報を書き写すと、「考える」ことになるので、理解度が40%まで向上します。が、この辺りが限界でしょう。さらに深い理解を得るためには次の「実際に体験する」ことが必要です。これは、理科の実験や技術家庭の実習、体育などが当てはまります。では、その他の教科はどうしたらいいでしょう? これらは「テスト」を受けることで、情報を利用する「体験」ができます。
情報は一度でも使うと「必要な情報」に分類される
インプットした後にその情報を利用して体験することで、その情報は自分にとって「必要な情報だ」と脳内で分類され、またいつでも使えるように短期記憶の棚から長期記憶の棚に移動されるそうです。逆に、使わないと要らない情報に分類され、次に入ってくる新しい情報のスペースを空けるため、短期記憶の棚から消去されてしまうそうです。なので、入手した情報は少しでも早く「使う」ことが大事になります。そして、その最も有効な「利用方法」が「人に教える」ことです。
人に教えると理解が一気に深まる
人に何かを教えようとすると、自分が説明しやすいように、かつ相手が理解しやすいように「言語化」しなければなりません。その際、伝える情報の背景や前後関係、影響度などをよく理解しておかないと正しく情報を伝えることができません。伝えた情報は伝えた相手にも利用してもらわないと価値が生まれません。そのために、一人で考えていた時以上にあれこれ考えることで、その情報に対する理解が一気に深まり、超重要な情報として記憶棚の一等地に保管されます。
アウトプットし続けると気づきが生まれる
このように、人に何かを教えるという行動は、記憶を定着させ理解を深めるために最も効果的かつ効率的な手段となります。そうして、体験や人に教えることをくり返していると、ある日今まで思いもしなかったことに気づくことが出来ます。これこそがアウトプットの醍醐味です。「人に話を聞いてもらってたら解決策が思いついた」とか「ずっと練習していたら急にコツがつかめた」など、気づきの瞬間はアウトプット中にやってきます。
アウトプットは成長の場
学校や会社などでも、先輩が後輩の指導をすることは、人に教えながら実は自身の理解を深め成長する機会でもあるのです。「後輩の指導なんて面倒くさいしやりたくない」と思ったあなた、それは自身の成長の機会を捨てていることと同じです。皆さんが退屈だと思っている学校の授業で(思ってないですか? 笑)実は一番成長しているのは教壇に立っている先生なのかもしれません。
まとめ
記憶の定着や理解の深化はアウトプットによって達成されます。小さい子供たちが、今日あったことをつたない言葉で一生懸命両親や祖父母に伝えているのは、実は自分の記憶を定着させるための仕上げ作業なのかもしれません。我々大人も、アウトプットすることで知識も理解も深めることができます。説教や愚痴は、他人を使ったただのストレス解消ですが、知識・経験を伝えることは、自らの理解をさらに深め、新たな気づきを生む機会となります。周りの人たちだけでなく、自身の成長のためにもアウトプットを心がけたいですね。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「くり返しは安心を生む」です。
次回もお楽しみに!