問題解決あるあるコラム#46:顧客はサプライヤーを信用していない
こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。
問題解決あるあるコラム第46回のテーマは、「顧客はサプライヤーを信用していない」です。顧客がサプライヤーを信用していなければ、ビジネスは成り立ちません。ビジネスはお互いの信頼関係があって始めて成立します。サプライヤーが居なければ、顧客は最終的なモノやサービスが消費者に提供できなくなり困ります。しかし、我々サプライヤーは「やらかし」続けます。そんな「信用ならない」サプライヤーを管理するために、顧客も考えます。色々と……。
サプライヤーはなんでも「出来る」と答える
ビジネスを獲得するために、サプライヤーは今までやったことがない事や、作ったことがない物でも「できます」と答えます。「できない」といったら商売が貰えないからです。わざわざ自分から「できない」と言って機会を失うようなことはしません。とにかく、話をもらったら迷うことなく「できます」と答えます。本当にできるかできないかは「後で考えれば良い」し「後でなんとでもなる」と思っているからです。
サプライヤーの「出来ます」は、「約束」ではなく「努力宣言」
頼んだ顧客側もこれまで何度も被害を被って来ているので、サプライヤーの「できます」を鵜呑みにはしていません。過去に「できる」と言うサプライヤーに仕事を頼んで、納期ギリギリになって「やっぱりできません」と言い出され困った経験が何度もあるからです。サプライヤーの言う「できます」は、「確実に達成します」という「約束」ではなく、「できる限りご要望を実現できるように、できる範囲で努力します」という努力宣言に過ぎません。
口で言うのは簡単
そう答えられたら、皆さんならどうやって本当に「できる」ことを確認しますか? 実際にモノができてくるまで待ちますか? 待てないですよね。ならば、まず「計画」を見て本当にできそうか「実現可能性」を確かめますよね? そこで、設計を開始してから無事製品を納入するまでの全体計画を提出するよう求めます。これが「APQP」ですね。ところが、コラム42でもお話しした通り、我々は計画を立てるのが苦手なので、なかなか計画も出てきません。出てきても、見事にこちらの要求に間に合うようになっている計画です。これって本当でしょうか?
証拠を耳揃えて持ってこい
ならば、それらが本当であることを知るためには、他のさまざまな証拠を見て、計画の「妥当性」を評価しなければなりません。「机上の空論」が、実際に実現された結果を見なければ、納得もできないし安心もできません。そこで、「納得」し「安心」できる為に必要な証拠をリストアップし、それら証拠をまとめて提出してもらいその中身が許容できるものであれば、生産準備が整ったものとして受け入れることにしたのが「PPAP」ですね。サプライヤーを信用するためには、「口=意見」ではなく「結果=事実」を確認しないことには「納得」も「安心」もできません。
頭の中を見せられても理解できない
そんなPPAPですが、ただ「これとこれとこれを持ってこい」と言っても、サプライヤーは1社だけではありません。そして、彼らは自由な集団です。「あれはここに書いてあります」「これはあそこに書いてあります」と三者三様に言われても、サプライヤー毎に情報の記載場所が異なっていたら、情報が足りているのか? 内容は許容できるのか? 等を確認するのに手間取ってしまいます。他人の頭の中をいくらみえる化されても、簡単には理解できません。そこで、情報を要求する側で記載テンプレートを準備し、そこに各自情報を記入していくよう求めたのです。これが「帳票類」ですね。サプライヤー側からしてみたら、顧客毎に体裁が違っていて書き分けるのが面倒、と思いますが、何十社、何百社を相手にしている顧客からしてみたら、何百通りの文書を読み解くことは不可能な作業です。見慣れた文書ならどこにどんな情報が記載されているのかもすぐに分かるし、足りない情報があればそれらにもすぐに気づけます。
信用を獲得する機会は与えられている
我々は自分の利益を優先する生き物なので、相手に信用して貰いたい時でさえも、自分の都合を優先してしまいます。自分が説明したい時に、したい方法で、説明の機会が与えられることを望みますが、先ずそれは叶いません。なので、相手から提供された機会に、相手が望む方法で、説明を行い「信用」を得る他ありません。それは「PPAP」だったり、「監査」の場かもしれません。機会をどう使うかは、我々にゆだねられています。
まとめ
いかがだったでしょうか? 色々文書を作らなくてはならず、面倒くさい「PPAP」も、あれこれ聞かれたくないことを聞かれる「監査」も、自分たちを「信用」してもらえるようになる絶好の「機会」です。「相手との信頼関係が築けずに苦労している」という方は、実は「相手が自分の言うことを聞いてくれない」のではなく、「相手が提供してくれた、聞いてくれる機会を自分が活かしてない」だけなのかもしれません。「Me first」から「Customer first」に、しっかり意識を切り替えないとなりませんね。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「サプライヤーは平均の話をし顧客はバラつきの話をする」です。
次回もお楽しみに!