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問題解決あるあるコラム#50:標準化は気づきの宝庫

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

問題解決あるあるコラム第50回のテーマは、「標準化は気づきの宝庫」です。このコラムにここまでお付き合い頂いてきた皆さんならもうお気づきですね。「標準化」は組織としての「再現性」を出すための重要な手段です。そして、「くり返し」による「安定化」は「異常」にいち早く気づける「メリット」があります。今回は、その関係について考えていきましょう。


「標準化」はプロセスの言語化の最初の一歩

「標準化」というと皆さんは何を一番に思い浮かべますか? 多くの人が「作業手順書」を思い浮かべると思います。作業を進めるために必要な準備や順序を書き記した文書です。この手順書を見ながら作業をすれば、誰もが「意図した結果」を生み出すことができるように過不足なく情報を記載します。ここで重要なことは、「記載された『言葉』を読んで迷いなく『行動』が想起できること」です。曖昧な表現は書き手の意図とは違う「行動」を生み、違う「結果」を生んでしまいます。

「言語化」は意外と難しい

第三者に起こして欲しい「行動」を伝える時、「言葉」だけでは意図した通り上手く伝わらないことを多くの人が経験していると思います。「行動」や「動作」のコツは感覚的に身につけている場合が多く、これを的確な「言語」に変換して伝えることはかなりの労力を要します。そこで、手順書には言葉だけでなく、図や絵、写真などを利用し少しでも意図が伝わるように工夫がされています。最近では動画も活用されていますね。それでも、それを見た全員が「意図した通り」に「行動」してくれるわけではありません。

「行動」のコピーは不可能

これまでのコラムでもお話ししてきた通り、我々人間は「相手の行動」を自分が思う様に正そうとする性質があります。SWOTをやれば周りの人々の「行動」を評価し、自分が思う「あるべき姿」に従わせようとします。この時点ですでに無理筋な取り組みなのに、「標準化」でも同じことをしようとします。確かに、ある程度の行動の同一化は必要ですが、骨格や経験に個人差のある複数の人々に「全く同じ行動」をさせることは不可能です。「行動」のコピーは不可能なのです。

伝えるべきは「目的」

現場で作成されている数多くの「標準書」や「手順書」を見ると、圧倒的に欠けているのがその作業を通じて「達成しようとしていること」を説明した記述です。そう、この「目的=Why」を伝えずして「作業=How」ばかりを伝えても伝え手の意図した結果は生まれません。「作業」の延長線上に「結果」があるのではなくて「目的」を達成することで「結果」が生まれるのであって、「作業」はその「目的」を達成するための「手段」なのです。作業者に「目的」が伝わっていれば、それを達成するために「自分にとってより実現可能な方法」で目的を達成しようとします。

「標準化」は「確率論」

「目的」が伝われば、あれこれこと細かく行動を制限して従わせるよりも「意図した」結果が生まれやすくなります。かといって、完全「フリースタイル」では成功する確率が低いので、可能な限り成功率を高めるために一定の「動作の同一化」は必要です。つまり、「標準化」は再現性を出すための「確率」を上げるための「手段」であり、「再現性」を目指しているのは「行動」ではなく「結果」であるはずです。が、これがいつの間にか「行動」を揃えることが「目的」になってしまっているのです。

「確率」を上げようとすると「気づき」が生まれる

このように、「行動の再現性」を「目的」にしてしまうと「違い=バラつき」を排除しようとしてしまいますが、「結果の再現性」を目的にすると「違い=バラつき」は確率を上げるための「きっかけ=気づき」になります。「なぜここがバラつくのだろう?」「このバラつきを抑制できれば、より安定させることができるのでは?」と、新たな「気づき」が生まれます。この「気づき」は「ノウハウ」となり、「再現性」出現の確率を高める要素となります。現場が嫌う「バラつき」が、実は再現性の確率を高める「気づき」になるのです。

「標準化」は「バラつき」も武器にする

行動に何も制約をかけずに自由にすると「再現性」の出現は「運任せ」になりますが、「標準化」をすることで「再現性」を得られる確率が高まります。しかも、この「標準化」の凄い所は「平準化」の敵であるはずの「バラつき」を味方にして「自分たちの『再現性』の確率を高めることに使える」という点です。今感じている「脅威」も見方を変えれば「機会」に変えることができるのです。見つけた「機会」を「強み」に変えられれば「自分」も「組織」も成長していくことができます。

まとめ

いかがでしたか? 「標準化」は「作業」をコピーするのではなく、「再現性」の出現確率を高める「気づき」を生むための手段です。「バラつき」は「平準化」を目指すためには邪魔者ですが、「再現性」の確率を高めるためには重要な「気づき」になります。ポイントは「結果の再現性」を達成することを意識することです。「手段」を「目的」にしてしまうと、貴重な「気づき」の素である「バラつき」もただの「阻害要素」になってしまうのです。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「共通言語の力」です。
次回もお楽しみに!

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