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問題解決あるあるコラム#41:地域のお祭りはいざという時のための備え

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

問題解決あるあるコラム第41回のテーマは、「地域のお祭りはいざという時のための備え」です。日本には全国各地津々浦々、その地域で受け継がれてきているお祭りがあります。日本が八百万神信仰であったことにより、ありとあらゆる場所でさまざまな神様をその地域地域でお祀りし、自分たちを守ってくれていることに対して感謝の意を表す行事として行われています。では、このお祭りがなぜ「いざという時のための備え」なのでしょうか? 今回もマネジメントシステム視点で考えていきましょう。


お祭りには組織マネジメントの全てが集約されている

どんなお祭りでも、それを実施・維持していくには役割分担が欠かせません。その地域毎のしきたりや慣習が脈々と受け継がれ、どんなに世代が移り変わろうともその形が守られていきます。当然、指揮命令系統も整備されており、若年者は年長者に従いその振る舞いを見て学び、自分が年長者になった時には後進の指導的役割を果たします。そうして、組織の管理体制維持と新陳代謝が確実に行われ、お祭りが守られていきます。まさにSustainabilityですね。会社組織も、この運用維持体制を学ぶべきでしょう。

なぜ会社組織で再現性が出ないのか?

このような「お祭り組織」を運用維持することができる人々が、なぜ? 会社組織だとその能力を活かすことができないのでしょうか? それはやはり、所属する組織への「帰属意識」の差なのではないかと考えられます。生まれ育った地域への愛着は我々人間のDNAに刷り込まれ、そこで行われている活動を「維持し後世に伝えたい」という欲求が行動を促しているのでしょう。そう思うと、大人になってから初めて所属する会社組織に対して同じような感情を生み出させるのは、なかなかハードルが高そうです。

なぜ集団で集まる事が許されたのか?

こんな強力な帰属意識を持つ人々が集まって集団行動することを、昔々の政府はなぜ許してきたのでしょう? 政府の方針に異を唱える反乱分子としての結束力を高められたら、脅威以外の何物でもありあません。それなのに、時の政府はむしろお祭りなどの行事を奨励しています。これは、「敢えてお祭りなどの行事に集中させることで、反乱などの余計な思想を抱かせないようにするための予防措置でもあった」とも考えることができます。

恐るべし祭りの効果

人間はマルチタスクではないので、ひとつのことに集中させておけば余計なことは考えないばかりか、お祭りなどの身体を動かして大騒ぎする活動はストレス発散にもなり、偏った思考も生まれにくいです。祭りをやり終えた達成感、満足感は自己肯定感や集団の結束を補強し、次の機会へのモチベーションも生み出します。なにより、定期的にやってくるお祭りは、農作業などの年間計画と比較しながらの「ヒト・モノ・カネ・時間」のリソース配分計画が必須で、人々のプロジェクトマネジメント能力を開発します。

組織マネジメントがそのまま戦に使える

そして何よりも、これら組織が持っている「指揮命令系統」が「戦」の時にそのまま使えます。「いざ合戦!」となった時に、末端の現場の組織構築や指揮命令系統のアサインなどに時間を割いている暇は武将たちにはありません。そんな時、普段から機能している指揮命令系統があれば、即座にその組織を動かすことができます。指示される方も、「役割分担を与えられその役割を果たす」という活動を毎年くり返し練習しているので混乱も少なくて済みます。組織の長の命令が速やかに組織全体に展開され、ひとつの目的に向かって、分割されたいくつもの組織がそれぞれの役割を果たすべく迷いなく動く。こんな理想的な組織、一朝一夕には作り上げられません。

お祭りは「緊急事態対応計画」のひとつ

そう、地域のお祭りは「いざ」という時の備えだったのです。そのために、祭りを奨励することで余計な反乱分子の出現を極力抑えつつ、組織マネジメントシステムを維持し、世代が変わろうともいつでもすぐに起動させることができ、しかも、強制されなくても自分たちで継続維持しようとする、非の打ちどころのない「緊急事態対応計画」のひとつだったのです。

現代の戦は災害対応

では、戦国時代のような「戦」がなくなった現代では、これら組織マネジメントをどこで活用すれば良いのでしょうか? それは、「災害時」です。一瞬で日常生活が奪われサバイバル状態に陥った時、頼りになるのは組織の力です。消防団、自衛隊、ボランティアなど、支援してくれる組織はいくつもありますが、その支援が届くまでには必ず時差があります。そんな時、常に起動できる状態で維持されている「お祭り組織」は、何ものにも代え難い「緊急事態マネジメントシステム」の最前線部隊なのです。戦国の世が終わった後も、途絶えることなく脈々と受け継がれてきたお祭りこそが、我々が窮地に追い込まれた「いざ」という時に活躍する「備え」なのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか? 組織の長なら誰もが望む「組織マネジメントシステム」が日本各地に既に「導入・運用・維持」されています。しかし、会社組織と決定的に違うのは、組織=地域への「帰属意識」です。だから会社では、従業員やその家族の絆を深め、共に組織を守るための「帰属意識」を醸成しようと努めます。なぜなら、これら「マネジメントシステム」は、その組織に所属する人々の「自発的な」行動に支えられているからです。人と人とのつながりが希薄になってきたと言われる現代、「会社のイベントって面倒だよな」と思っている方々も多いと思います。が、それを主催する経営者たちの思いを知ってみると、参加する時の気持ちも少し変わるかもしれません。会社が窮地に陥った時、活躍するのは皆さんの「結束力」なのです。その結束力が、最終的には皆さん自身の身を守ってくれるのです。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「計画するのが大嫌い」です。
次回もお楽しみに!

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