問題解決あるあるコラム#40:3つの「ム」は品質マネジメントシステムの真理だった
こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。
問題解決あるあるコラム第40回のテーマは、「3つの『ム』は品質マネジメントシステムの真理だった」です。前回の「5S」に引き続き、今回は「3つのム」です。これ、言えますか? 2つは言えても最後の3つ目が思いつかない、という方も結構おられます。では、今回も順番に見ていきましょう。
現場は「3ム」主義
現場で作業を始めるようになると、職長さんから3つの「ム」をなくせと教えられます。お馴染み「ムリ」「ムダ」「ムラ」ですね。その言葉の通り、「無理な作業をやらない」「手戻りなどの無駄を極力減らす」「人や日による作業のバラツキをなくす」といった「効率」のお話のようです。現場はとにかくこの3つの「ム」の撲滅を目指します。が、実際のところはどうなのでしょう?
無理が通れば道理引っ込む?
現場での「ムリ」ってどういうことでしょう? 例えば、「径の違うネジを無理矢理ねじ込もうとする」「到底処理できない量の仕事を受けてしまう」「納期ギリギリで徹夜で作業をする」等々。「ムリ」は作業方法の時もあるし、量の時もあるし、時間の時もあります。これらの状況を正当化しようとする時は、「気合い」という言葉で片付けられることが多いようです。いずれにせよ、こうした「ムリ」な作業は「ミス」を誘発し、結果として納入品質も納入品数もお客様の要求を満足できない結果を生む原因となります。
無駄は生活の彩り?
「ムダ」は「7つのムダ」等とも言われる通り、さまざまな「非効率的」な行いのことです。これら「ムダ」な作業をしている間は「付加価値」を生んでいません。それどころか「ヒト・モノ・カネ・時間」を余計に使い、企業の収益性に悪影響を与えます。「ムダ」な時間を「生活の彩り」として楽しむのは、プライベートな時間にだけ許されるのかもしれません。
斑は味わいを生む?
「ムラ」は人毎、日毎、設備毎などで毎回結果が異なる、という状態です。いわゆる「バラツキ」ですね。結果がバラつくと、仕様の適合範囲から外れた不適合品が生まれ、それらを選り分けたり手なおししたり再検査したりなどの「追加仕事」が生まれます。場合によっては、「ロット丸々不適合」なんて場合も考えられます。気分のムラや入力のムラで、意図せず芸術性が上がる場合がありますが、工業製品に「ムラ」は御法度です。
3つの「ム」は監視対象
このように、3つの「ム」は、製品品質、納入品質、企業の収益性に大きな悪影響を与える、いわば「悪の根源」になり得るため、現場では常にその発生状況を見張り撲滅を目指しているのです。そのため、これら3つの「ム」は次のような方法で厳しく管理されています。
「ムリ」は、計画のことなので予実管理
「ムダ」は、効率のことなので直行率管理
「ムラ」は、バラツキのことなので工程能力管理
「ムリ」「ムダ」「ムラ」の撲滅は品質マネジメントシステムそのもの
こうして考え直してみると、この3項目は品質マネジメントシステムで管理しようとしているもの「そのもの」であることに気づきます。IATF 16949は、その到達目標を「不具合の予防」と「ばらつき及び無駄の削減」と謳っています。この、なんともわかりにくい品質規格が、たった3つの言葉「ムリ」「ムダ」「ムラ」で言い換えられてしまうのです。製造業、特に自動車産業の現場を支えて来てくれた諸先輩方が辿りついた「3つの『ム』の撲滅」は、品質マネジメントシステムの真理だったのです。恐るべし「現場力」。
まとめ
いかがだったでしょうか? 前回の「5S」に引き続き、今回の「3ム」も、これまでの経験則から生まれた仕事の基本の「キ」であり、「真理」でもあったのです。そして、今回はっきりとは登場しませんでしたが、バラツキ管理の基本「4M」もあります。どれもふわ~っと覚えていて、正確に口に出せない方が相当数おられると思いますが、今一度初心に戻り、じっくり言葉の意味を噛み締めてみてください。「3つのム」に「4つのM」そして「5S」と、仕事の基本「3、4、5」をしっかり理解しましょう。そして、これらの言葉を口に馴染むまで何度も何度も声に出して言ってみてください。スラスラ言えるようになった頃には、皆さんの行動も変わっているはずです。言葉と身体は連動しています。「言葉」の力を是非ご自身でも体感してみてください!
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「地域のお祭りはいざという時のための備え」です。
次回もお楽しみに!