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問題解決あるあるコラム#48:ニーズこそがプロセスのインプット

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

問題解決あるあるコラム第48回のテーマは、「ニーズこそがプロセスのインプット」です。プロセスを起動させるインプットは「ニーズ」です。この「ニーズ」を適切に取り込まないと、プロセスは「自己満足プロセス」に陥ってしまいます。今回は、間違ったインプットを元にプロセスを開始するとどんなことが起こってしまうのか? について考えていきたいと思います。


「プロセスのアウトプットは次のプロセスのインプット」ではない

ISO 9001に取り組もうとすると、プロセスの「インプットとアウトプット」を規定することが求められます。その際、「あるプロセスのアウトプットは、次のプロセスのインプットである」と教わる場合があります。そうして「インプットとアウトプットが繋がっていき、最終的な成果物が生まれる」という訳です。確かにこれは間違ってはいません。ただし、この流れの中でインプットとアウトプットを具体的な「物」、例えば「部品」や「書類」としてしまうと、後工程のことを配慮しない「自己満足」なアウトプットを生み出してしまう可能性が高まります。なぜなら、そこにはプロセスを運用する人々の「意志」が反映されていないからです。

プロセスのインプットは「ニーズ」

人々の「意志」が反映されていないと、「作ればいいでしょ」「書いてあればいいでしょ」といった、自己満足の「現状肯定」が生まれやすくなってしまいます。そのプロセスの「利害関係者たちの思い」=「ニーズ」が取り込めていないと、自分たちで作り出したアウトプットが「利害関係者たち」を「満足」させているか? という評価が生まれないためです。そうならないためには、プロセスを開始する前に確実に「ニーズ」を取り込む必要があります。そうして、その「ニーズ」を満足するためにはどんなことをしなければならないのか? を考えなければなりません。

ジュースの自販機に学ぶインプットとしての「ニーズ」

皆さんはジュースの自販機を利用したことがありますか? 殆どの人がありますよね。では、この自販機の「インプット」と「アウトプット」を答えられますか? 多くの人が「お金(コイン)がインプット」で「ジュースがアウトプット」と答えると思います。確かに間違いではありません。お金を自販機に投入して、欲しい商品のボタンを押せばその商品が出てきます。でも、実はこのインプットとアウトプットはまだプロセスの内側の話なのです。タートル図でいえばまだ胴体の中の話で頭と尻尾に届いていません。

自販機が応えている「ニーズ」は「ジュースが飲みたい」

そもそも自販機が達成しようとしているのは、我々がそれを求める「動機」=「喉が乾いたので喉を潤したい」という「ニーズ」です。その「ニーズ」に応えるために自販機を設置し、「お金」と「ジュース」という「手段」を通じて「喉を潤せた」という「満足」を達成しているのです。そう、これがタートル図の「頭と尻尾」です。「お金とジュース」だけだと、本当の「ニーズ」は満たされていないのです。

人のニーズは多種多様

例えば、あなたが真夏の暑い日に外で活動をしていて喉がカラカラになり「冷たい炭酸飲料」が飲みたくなったとします。そこで、道端にある自販機を見つけジュースを買おうと思ったら、熱々のホットコーヒーしかなかったらどうですか? あなたのニーズは満たされますか? 次に、隣にあった自販機には冷たいジュースがありました、ホッとしてコインを入れたらそのままお釣りの返却口からコインが戻ってきてしまい何度投入してもコインが認識されません。あなたはどう思いますか? 

自販機は多種多様なニーズを満足させる究極の「顧客指向プロセス」

皆さんご存知のように、自販機は季節毎に商品が「Hot」や「Cold」と入れ替わったり、新商品や売れ筋商品がラインナップされていたり、我々消費者のニーズを満たそうと常にアップデートされています。また、可能な限りコインの検出感度を調整し、磨耗した硬貨をできる限り許容しつつ偽造硬貨を利用させないように設計されています。どこに許容値を設定するかはメーカーが決めていると思いますが、市場からのフィードバックも参考にアップデートしているでしょう。最近では、電子マネーに対応した自販機も増えてきています。このように、自販機は我々消費者の「いつでもどこでも、飲みたいと思った時に飲み物を手に入れたい」という「ニーズ」を満足させようとしている究極の「顧客指向プロセス」を実現しているのです。

「ニーズ」を取り込まないと寒い冬に「キンキンに冷えたジュース」を渡して満足してしまう

「自販機」プロセスを「お金」が「インプット」で「ジュース」が「アウトプット」と考えてしまうと、凍えるような寒さの日に「キンキンに冷えた炭酸飲料」を「これ美味しいですよ」と相手に手渡し、「相手はジュースが飲めて喜んでいるはず」という「自己満足」なアウトプットを生み出してしまいます。都度生まれる「ニーズ」を「敏感」に、そして「確実」に取り込むことが「利害関係者の満足」という「アウトプット」を生むための「インプット」になります。

まとめ

いかがでしたか? 我々は、ついつい「手段」に視点がいってしまい「手段を実行すること」こそが「目的」となってしまうことで、「手段」を生むきっかけとなった「ニーズ」を見落としてしまい勝ちです。「ニーズ」を見失ったプロセスは「自己満足」を生み出し、違う意味で「自工程完結」を達成してしまいます。正しく「ニーズ」を取り込むにはSWOT分析などのツールが効果的です。その活用方法についてはまた次回に。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「ニーズの検出率と取り込み率の比がプロセスのパフォーマンス」です。
次回もお楽しみに!

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