問題解決あるあるコラム#43:ガントチャートってなにものなんだ?
こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。
問題解決あるあるコラム第43回のテーマは、「ガントチャートってなにものなんだ?」です。ガントチャートをご存知ですか? プロジェクトマネジメントではお馴染みのツールですね。縦軸にToDoアイテム、横軸に期間を取り、それぞれのアイテムがどれくらいの期間で実施されるのかを横棒や矢印で表記し、計画と実績を管理するツールです。今回は、前回の「計画するのが大嫌い」で考察した「リスク回避」を回避するツールとしての役割を考えていきたいと思います。
やっぱりガントチャートを作るのも面倒くさい?
人間は、基本的に計画を立てるのが嫌いなので、いくらツールがあったとしてもそれらを使おうとしません。今後の計画をあれこれ細かく立てるなんて面倒くさいの極致です。絶対に作りたくありません。しかし、品質マネジメントシステムではこれを必須文書として位置付けています。自動車業界でも顧客の発行する品質マニュアルで、作成・提出を義務付けています。こうなると、「面倒くさい」とか言っている場合ではありませんので作らざるを得ません。かといって、素直に作る訳もありません。だって、人間なのですから。
計画は最後に作る?
計画以外にも要求されているさまざまな文書は、量産準備資料として新製品導入プロセスの最後にまとめて提出しますので、予実含めた全ての記録が揃っていなければなりません。逆にいえば、それら文書は「提出直前に揃っていれば良い」ことになります。ということは……。後は想像にお任せしますが、提出されるガントチャートは大抵予実がキレイに揃った完璧な見た目をしています。不思議ですね。
ガントチャートは何のためにある?
そんな話はさておき、改めてガントチャートが何のためにあるのか考えてみましょう。もう一度、ガントチャートの構成を見てみます。縦軸にはこれから実施する、しなければならないタスクがずらっと並んでいます。そして、横軸は時間軸です。プロジェクトなら、そのプロジェクトの開始から終了までの期間が取られています。チャートの上方には、大きな節目=マイルストーンが記載され、各タスクで完了した成果物が次にどのタスクにインプットされるのか矢印で繋がれています。活動期間がバーで示され、その予実が記録されていきます。そうして活動の進捗を監視し、遅れの有り無しなど、現在の状態がひと目で分かるようになっています。
ガントチャートはPDCAの見える化ツールだった
もう気づきましたね。そう、ガントチャートは、「予め決められたことを(P)」「決められた通りに実行し(D)」「進捗を確認し(C)」「遅れなどがあればすぐに対処する(A)」ことができるようにするための、「PDCAをみえる化する」ためのツールなのです。これを見れば、そのプロジェクトがどのような経過を辿って進められてきたのかもひと目で分かります。顧客にとっては「安心」するための、サプライヤーにとっては自分たちがちゃんと出来ることを「証明」しつつ、遅れなどが生じた場合は、その理由を「ふり返り」、次の計画を立てる時に同じ失敗をしないようにするための「改善」ツールでもあるのです。
ガントチャートのもうひとつのメリット
進捗のみえる化は、全体の何%まで達成したかがひと目でわかり、我々人間の持つ「コンプリートしたくなる」性質をくすぐり、最後まで確実に完了させるモチベーションを生み出します。このように、ガントチャートは「PDCAサイクルの実装」と「計画を最後までやり遂げる環境を作り出す」ための、強力な支援ツールだったのです。
「面倒くさい」から「やってみたい」への変化
計画を立てることで生じる「責任」からの回避が、なりゆきの「結果オーライ」戦略を生み出してしまっていましたが、ガントチャートというツールが計画の実行を「サポート」し、自ら進捗を監視・記録することで前に進める「モチベーション」を生み出し、活動を成功に導く「手助け」をしてくれます。失敗するかもしれないという「不安」を、ツールが「好奇心」に変え、「やりたい」と思ったことを実現するための「サポーター」になってくれます。そうして、計画を達成したという「成功体験」を積み重ねていけば、人は今まで恐れていた「困難」にも勇気を持って立ち向かっていけるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 人間の持つ「リスク回避」を優先する性質も、「ツール」を活用することで「不安」に打ち勝つ「好奇心」に変え、「挑戦」できるようになります。「挑戦」した先には「成功体験」が待っており、それがまた次の「挑戦」へと後押しします。皆さんも、何かに取り組もうと思ったらガントチャートを作ってみるといいかもしれません。きっと心強いサポーターになってくれます。あ、ちなみにこのガントチャート、自動車業界では「APQP」って言われています。知ってました? ……よね?
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「失敗はふり返りたくない」です。
次回もお楽しみに!