不妊治療退職の後悔から 私は声を上げ続ける #未来のためにできること
不妊治療と仕事の両立に悩み、不妊治療に専念するために前職を退職して今年の7月で13年が経った。
最初はよかった。
「これでようやく不妊治療に専念できる、職場に気を遣わずに病院へ通院できる」そんな気持ちでいっぱいだった。
そして不妊治療退職から約半年後、私は子どもを授かった。ここだけ見れば不妊治療退職の選択は間違っていなかったように見える。実際多くの人に「仕事を辞めてよかったね」と言われた。
ただ、この言葉が私を苦しめたのだ。
行政の子育て支援の場にいくと、決まって話題にあがるのは育休復帰後の話。その輪に入れない自分がみじめで仕方なかった
「社会に私の居場所はない」そんな現実を何度も突き付けられたのだ。
「本当に不妊治療退職という選択肢は正しかったのだろうか?」「働き続ける選択肢はなかったのだろうか?」そんな気持ちが芽生えてきた。
でも、「正しい選択だった」と思わないとやっていけない。自分で自分の選択を否定したら、自分を支えているものが崩れてしまう。
そんなモヤモヤした気持ちと共に何年も過ごしてきた。
「不妊治療と仕事の両立支援」のために声を上げ続けていることは、私と同じ思いをする人を一人でも減らしたいという思いからだ。
2018年に国が「不妊治療と仕事の両立支援」の取り組みのひとつとして、不妊治療連絡カードを作成し、各企業へも理解を求めてきた。
あれから6年、この社会はどれだけ変わったのだろうか?
様々なアンケート結果でも9割近い人が不妊治療と仕事の両立に悩んでいるという結果が出ている。
それにも拘わらず、この問題に真剣に取り組んでいる企業や自治体はどれだけあるのだろうか?
そもそも不妊治療と仕事の両立の実態について把握していない企業も少なくない。
「悩んでいる、困っているという声が聞こえない。わが社には困っている人はいない」そんな声も聞こえる。
ただ不妊治療は非常にセンシテイブな問題。「誰にも知られたくない、自分からは声をあげたくない…」そういう人も多くいる。
先日行った不妊治療と仕事の両立に関するアンケートからも、そのような声が多くみられた。
だからこそ、私は自分から声を上げづらい人の思いを聞いて、声を上げ続けたい。それが、不妊治療と仕事の両立しやすい社会をつくりあげ、未来へつながると思うから…