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【エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング:シーズン1-5】人生を豊かにする「ゴールドビジョン」(前編)

(1)生きていくためには「欲」が必要

こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
 
今日のテーマは、書籍『CEOコーチング』の背骨にもなっている「ゴールドビジョン」。
とはいえ、「ゴールドビジョン」の全体系をお話しするとなると膨大な量になるため、今回はまず「ゴールドビジョン」の中核をなす「ゴール設定」についてお話ししたいと思います。
 
先日、ある経営者の方から、「久野さんが『ゴールドビジョン』でおっしゃっていることはよくわかります。私もゴールを持ってやってきましたし、いまも目標があります。ただ、ゴールとか夢というよりも、もっとシンプルに私は欲が強いと思っています。お金や食べ物への欲求、あるいは、褒めらたい、モテたい、尊敬されたいという欲が強いのです。これは『ゴールドビジョン』のゴールとは違うのでしょうか」というご質問をいただきました。
 
その方は、「ゴールドビジョン」の体系を理解したうえで、あえて質問したわけですが、実際のところ「欲が強いこと」と「ゴールドビジョンのゴール」に大きな違いありません。
 
「マズローの欲求5段階説」を持ち出すまでもなく、人間は「生理的欲求」という「ゴール」を満たさなければ、そもそも生きていけません。
 
生理的欲求というのは、食欲、睡眠欲、性欲などを含む、生きていくために必要な欲望のことを指しています。人間は誰しも、できるだけ長く、できるだけ有利な状態で生き延びたいという「ゴール」を多かれ少なかれ持っているものです。
 
では、さきほど質問された経営者の方が、その欲求だけを原動力にして成功してきたのかといえば、決してそうではなく、あえてそういう表現をされたということです。
 
ここでお伝えしたいのは、誰もが「おっ!」と思うような高尚なもの、「マズローの欲求5段階説」の最上位の自己実現的な欲求だけが「ゴール」ではないということです。そして、「ゴール」というのは、もっと重層的なものであり、「マズローの欲求5段階説」の下のほうの欲求、原始的な欲求を置き去りにして考えるわけにはいかないということです。原始的な欲求を無視してきれいな話だけをすると、どこかで無理が出てしまいます。
 
本人一人であれば、無理が出ても構わないのかもしれません。しかし、従業員やスタッフを抱えているなら、彼ら彼女らの生活を成り立たせることが大切です。そうでなければ、いくらビジョンがあったとしても、「この条件ではできません」と言われてしまい、共感どころではなくなってしまいます。経営者としては「なんでわかってくれないのか。この状況を乗り越えた先に未来があるんじゃないか!」と言いたくなる気持ちもわかるのですが、「CEOコーチング」の観点でいえば、経営者側がもっと従業員やスタッフのことを理解する必要があるわけです。

話を元に戻すと、「ゴール」というのは重層的なものであり、私に対して「欲が強い」と教えてくださった経営者も、従業員に対してはもっと上位の「ビジョン」や「ゴール」を語っていらっしゃいます。つまり、どちらも「ゴール」であり、両方存在しているからこそ、バランスがとれて、成長していけるのです。

(2)誰もが「ゴール」を設定してチャレンジしている

「ゴールドビジョン」のゴールを設定する際のポイントはいくつかありますが、まずは「できるだけ大きなゴールを持つ」ことを意識していただきたいと思います。
 
これは私の個人的な主張ではなく、認知科学の観点からの提案になります。
 
北海道には「少年よ、大志を抱け」という思いが込められたクラーク博士の像が建てられていますし、「大きなゴール、夢を持ったほういい」というのは、昔からよく言われてきたメッセージでもあります。
 
また、小学校の卒業文集で「僕は、私は、将来こうなります!」と書いたことが、10年後、15年後、20年後に実現して、世間の人が「おお!」と感嘆する事例は、スポーツの世界を中心によく目にするようになりました。
 
私は漫才が好きで、「M1グランプリ」などの番組をよく観ています。「将来、チャンピオンになる!」と宣言して努力したからこそ、実際にチャンピオンになったかどうかは別として、決勝に残ったとか、チャンピオンに一歩近づいたというような事例は少なからず存在しています。
 
また、私の息子が3年間お世話になった幼稚園の先生は「私は小学生のころから幼稚園の先生になると決めていました。そのためにずっと過ごしてきて、いまその夢が叶っています」と楽しそうに話していました。
 
幼稚園の先生、学校の先生になるのは簡単なことではありません。勉強して資格をとったとしても、希望の園、学校で働くためには、採用試験という狭き門を突破する必要があります。たとえ子どものころから目標にしてやってきたとしても、ライバルもたくさんいるわけですから、強い意志をもって本気で取り組まなければ、夢を叶えることは難しいでしょう。
 
「スポーツ選手になりたい」「お笑い業界のスターになりたい」といった華々しいゴールだけでなく、世界のあちこちでは、たくさんの人たちが心からやりたいと思うことにチャレンジして、その夢を現実のものとしています。
 
英単語の「goal」に「ed」という意味合いをプラスして「vision」をくっつけた造語「ゴールドビジョン」には、「すでに達成された、ゴールされた」という意味合いがあります。認知科学の理論上は、「ゴールがすでに実現しているかのように想像力を働かせられる状態」になる、つまり、臨場感、リアリティが高まっていくと、そのゴールが実現するように、脳が自分を動かしてくれたり、いろいろな情報を取り寄せてくれて、結果実現すると考えられるのです。「これが私のゴールドビジョンです」と言って、「ゴールドビジョン」を持つことができれば、理論的には、それは実現してしまうのです。
 
ただ、時間が足りなかったり、競争が生じることで、ビジョンには近づくけれど、最後の枠には入れなかったというケースはあります。ただし、それでも「チャンピオンにはなれなかったけれど、3位になった」というようなことは起こり得るということです。
 
だからこそ、PHP研究所にお世話になった『ゴールドビジョン』という書籍のヘッドタイトルには、「思い描いた未来が現実になる」とついています。これは私が言い始めたことではなく、何千年もの間、哲学や宗教の中でも語られてきたことです。そして、実際に、目標の大小はあるにしても、自分なりの「ゴールドビジョン」を成し遂げた人たちは山のように存在しています。
 
中には、「そんなに勉強は好きじゃなかったけれど、今度の中間試験はがんばろうと思ってがんばったらいい成績がとれた」という経験をした方もいるでしょう。その後、「成績がよかったのは1回だけだった。もっとしっかりと長期的なゴールを設定すればよかった」というような反省が生まれることがあったとしても、「ゴール」を設定して達成した経験であることに変わりはありません。ある人にとっては、勉強ではなく、「文化祭を成功させる」という「ゴール」かもしれませんが、ゴールを設定して、達成に向けて努力した経験は誰もが持っているものです。
 
とてつもなく大きなビジョンでなくても、自分の頭の中で、その完成形を感じられるくらいのイマジネーションを持って、それを思い描き、そこに向かって動き出すことができたものが、「ゴールドビジョン」なのです。
 
今回は、「ゴールドビジョン」の概要について扱ってきましたが、「ゴールドビジョン」を描いて達成することは、そんなに難しい話ではないことが伝わっていればうれしいです。
 
次回は「ゴールドビジョン」の3つの軸、条件についてお話しします。
また次回お会いできるのを楽しみにしています。

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