【エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング:シーズン1-8】未来へ誘う力 ‐ フィードフォワード(前編)
(1)質問によって相手を「未来」へ誘う
こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
今回のテーマである「未来に誘う力」(フィードフォワード)は、「ゴールドビジョン」や「CEOコーチング」と比べても、エントリーとして取り組みやすい内容に設計してあるため、2時間程度の研修でもかなりの程度お伝えすることができるようになっています。
また、「フィードフォワード」について一緒に学んで実践するオンラインサロンを3年間続けていることもあり、事例はとてもたくさんあります。大げさに聞こえるかもしれませんが、仕事や人生がダイナミックによい方向に変化した例は数多くありますし、多くの方が早期にその効果を実感しています。
実は、「フィードフォワード」という言葉は私が考えたわけではなく、元々は機械工学や身体の動きを表現する際にも使われていたもので、イメージとしては、物事を順に前に送っていく意味合いの言葉として使われているようです。
「『フィードフォワード』は聞いたことはないけれど、『フィードバック』なら聞いたことがある方もいらっしゃることと思います。ビジネスの現場では、「上司が部下にフィードバックする」「今日のプレゼンについてフィードバックする」というように、「(必ずしも強くではないがある程度)打ち返す」的なニュアンスで使われています。
私は、「過去の出来事に対するコメント」である「フィードバック」の大事さは理解しています、「フィードフォワード」のほうが力があると感じたため、自らのコーチングの体系の中で定義づけをして、書籍で発表し、商標登録もしています。
ですから、日本のコーチングの世界では「フィードフォワードは久野が言い始めた」とおっしゃってくださる方も多いのですが、私としては権利を主張したいわけではなく、多少違う文脈であってもこの概念をみなさんにどんどん使っていただきたいと考えています。
「質問によって相手を未来に導く」ことを私はフィードフォワードと呼んでいます。ポジティブシンキングとも違いますので、単に前向きな思考ということでもありません。フィードフォワードはもう少し広い考え方です。
(2)人は押し付けられるのが嫌い
質問、そしてそれに対するリアクションによって「会話全体が未来に飛ばされる」――。
単純化すると、「これからどうしたいですか?」という質問からはじまる一連のやりとりがフィードフォワードです。
多くの方は「これからどうしたいですか?」と聞かれたら、「これから? どんなこれからですか? 今日? 明日? 1週間後、それとも1年後?」と戸惑いながらも、「どんなこれからでもいいんですよ。思いついた『これから』でいいんです」とお伝えすると、「これからどうしたらいいかな」と考え始めます。
「これから」のことを考え始めると、脳は自ずと「未来のこと」をイメージするようになります。結果、意識そのものが未来志向になっていくのです。なかには「悲劇的な未来」を考える方もいるかもしれませんが、たいていは「明るい未来」を考えます。
人は押し付けられるのを嫌いますから、「前向きに考えよう」と強く言われると、反動で逆にネガティブなことが頭に浮かんでしまうこともありますが、「これからどうしたいですか?」と聞かれると、「そうですね……」となって、ふわっと前向きになっていく。
こうした、1つの質問が起点となってはじまる一連のコミュニケーション、発想のことを、私は「フィードフォワード」と呼んでいるのです。
フィードフォワードを実践する際、1つだけがんばっていただきたいことがあります。
それは、よい反応を得られなくても、続けてほしいということです。これまでの実例でも、最初はうまくいかなくても、1日2回、あるいは3回と続けていくうちに、ポジティブな言葉が出てきたり、「ちょっとやってみようかな」という気持ちになったりと、少しずつ変わっていったケースはたくさんあります。
「複利」の効果をイメージするとわかりやすいかもしれません。回数を重ねていくうちに、だんだんと大きくなって、「未来のことを考えていいんだ!」となって、コミュニケーションが円滑になっていくものですので、あきらめずに続けていただきたいと思います。
(3)部下が上司に行なってもいい
「CEOコーチング」の一部である「フィードフォワード」は「コーチングの一部」だと捉えることができます。「コーチング」というのは、一般的には上司が部下にするもの、先輩が後輩にするものと考えられています。
しかし、対話という側面のある「フィードフォワード」は違います。聞き方を工夫する必要はありますが、相手が誰であっても効果を発揮します。
つまり、部下が上司に対して行なってもいいのです。
たとえば、部下が上司に「夏休みはどうされるんですか?」とか「このプロジェクトはどう進んでいくのでしょうか?」と質問するのも「フィードフォワード」なのです。
「夏休みの予定」も「プロジェクトの進行」も「未来」ですから、上司としては「未来」の話をせざるを得なくなります。
私が研修を担当した企業の方は「私がフィードフォワードすることで上司も前向きになって、そのあと、私に対しても前向きなフィードフォワードをしてくれました」とおっしゃっていました。
フィードフォワードをしてもらうことで、人は前向きになれるわけですから、ある種の「ギフト」だと捉えることもできます。プレゼントをもらったらお返しをするように、誰かにフィードフォワードをすると、それが自分にも返ってくる。
ただの言葉のやりとりにもかかわらず、結果、お互いに未来志向になっていく。
そんなメカニズムを内包したメソッドが「フィードフォワード」なのです。
書籍『フィードフォワード』(ソフトカバー、kindle)
↓ ↓ ↓
書籍『フィードフォワード全技術』(ペーパーバック、kindle)
↓ ↓ ↓
書籍『ゴールドビジョン』(ソフトカバー、kindle)
↓ ↓ ↓
書籍『CEOコーチング』(ソフトカバー、kindle)
↓ ↓ ↓
久野和禎のサイトはこちら
コノウェイ株式会社のサイトはこちら
Conoway Inc. のサイトはこちら
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?