【エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング:シーズン1-5】人生を豊かにする「ゴールドビジョン」(後編)
(1)「ゴール」は大きくなければならない!?(=「すごい軸」)
こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
前回に続いて、今回も「ゴールドビジョン」をテーマにお話ししたいと思います。
「ゴールドビジョン」には、最終的な結果に大きな違いをもたらす大事な軸がいくつかあります。
その1つが、「ゴールは大きくなければならない」ということです。
前回の記事を読んで下さった方は覚えていると思いますが、北海道大学に銅像が立っているクラーク博士の「少年よ、大志を抱け」というメッセージの話をしました。ただ、クラーク博士の言葉と、私がここでお伝えしている「ゴールは大きくなければならない」というメッセージは近いようで、実は完全に同じではありません。
認知科学をベースにした「ゴールドビジョン」では、「ゴールは大きいほうがいい」ではなく、「大きくなければならない」のです。ここが大変重要なポイントで、この条件を満たすか否かで、最終的な結果に大きな違いが出ることになります。
「現状維持バイアス」という言葉があります。
この言葉自体は私のコーチングの体系では使わないのですが、同じ意味としてこのように説明しています。
「人間には現状を維持したがる傾向がある」
このことが原因で、大きなゴールを設定しないと、脳は現状を大きく超えた働きをしてくれません。それどころか、現状を維持する力が非常に強いため、放っておくと現状にがんじがらめになってしまいます。
だからこそ、ゴールは「必ず」現状の外に設定しなければならないのです。
実は、“Boys, be ambitious.”ではなく、認知科学的には“Boys, must be ambitious.”でなければならないのです。こうすることではじめて、人間の脳は現状から抜け出すきっかけを得ることができます。
(2)ジョブズの金言(=「やりたい軸」)
2つ目に意識すべきポイントは、「心から望むことをゴールにする」という点です。
あのスティーブ・ジョブズも「金儲けのために会社をスタートさせて成功した人なんていない」という趣旨の発言をしています。これは私の大好きな名言の1つです。
ビジネスというのは “have to”ではなく、“want to”を起点にスタートするものであり、そのビジネスがうまくいってお金が儲かるかもしれないけれど、それはあくまでも結果であって、「何をやりたいかが大切だ」というメッセージだと私は理解しています。
もちろん、ビジネスにおいて「お金」は重要な要素です。
前回お話ししたように、ゴールというのは重層的なものですから、まずは生き延びるために必要な原始的な欲求は満たしていかなければなりません。そのうえで、個人として、あるいは会社として、どういうゴールを設定していくかを考える――。
まず自分の欲求からスタートするので構いませんが、より大きな“want to”もある、ということを意識していただきたいと思います。
また、他者の声を聞いて、自分のゴールを設定してしまう人も少なくないようです。「周りの人が言うから……」ではなく、本当に自分が望むもの、やりたいことを考える必要があるのは言うまでもありません。
そうでないとエネルギーが出ませんし、特に苦しい時に乗り越えられなくて逃げてしまうことになります。
(3)ゴールは1つではない(=「たくさん軸」)
3つ目のポイントは、「たくさんのゴールを持つ」こと。
「ゴール」と聞くと、仕事やキャリアの目標が思い浮かぶ方が多いと思いますが、仕事だけではなく、様々な分野でいろいろなものを追求することで、それぞれの人生がますます豊かなものになり、その結果として世界全体までもがますます良くなっていくと私は考えています。
ただし、自分がリーダーとして関与する場合には、チームメンバーがばらばらな方向を向いて仕事をするのはよくありません。そのため、メンバーそれぞれがチームで実現したいことをしっかりと聞いて、それぞれの気持ちに寄り添うことで、一緒にやる時間、空間の中でぐっと協力してやっていけるようになります。
「簿記を一生懸命勉強したので、そのスキルを活かしてキャリアを歩んでいきたい」という願望が強い人がいたら、営業部に配属するのではなく、経理部に配属したほうがいいに決まっています。もちろん、「我が社は、新入社員は全員営業を経験することになっている」ということであれば、しかるべきタイミングでチャンスをつくればいいだけの話です。
つまり、「自分はこの会社でこういうことを実現したい!」という思いを持っているメンバーがいるのなら、その思いを実現できる環境をつくればいいですし、絶対そうするのがいいということです。
先日、ある大きな会社で研修を担当した際、参加人数が奇数だったため、私も1対1のワークに参加しました。そのときに対話をした方は、「私は子ども時代を海外で過ごしました。この会社には海外事業部があるので、日本にあるものを海外に持っていって広める仕事をしたい」という思いを教えてくれました。
もし私に彼のような部下がいれば、「いま、あなたは国内営業をがんばっているけれど、こういう経験を重ねることができれば、会社としても海外で仕事をするチャンスを提供できる」といったコミュニケーションをとるでしょう。
チームメンバーと向き合いながら、会話しながら、その人が何を望んでいるのかをよく聞いて、その人がそれを実現するにはどうすればいいかを一緒に考えたり、協力していくのは、上司、リーダーの大事な役割です。
(4)3軸を意識して楽しみながら目標を達成する
今回は、「ゴール」を設定する際の3つのポイントについてお伝えしました。
・大きなゴールでなければならない=「すごい軸」
・心から望むものをゴールにする=「やりたい軸」
・たくさんのゴールを持つ=「たくさん軸」
この3つの軸を意識しながら、楽しみながら思い描いた未来を現実のものとしていただければと思います。
ちなみに、この記事では、「そうなったらいいな」というものを、「ゴール」と言ってみたり、「目標」と言ってみたり、「夢」と言ってみたりしています。私の先生であるルー・タイスさんがアメリカ人だったため、当初は“goal”というワードを使用していましたが、今現在はゴールも目標も夢も、すべて同じような意味合いで使っています。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回お会いできるのを楽しみにしています。
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