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【エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング:シーズン1-9】実行する力 ‐ エグゼキューション(後編)

(1)無計画な旅行を楽しむ


こんにちは。

エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。

 

前回、「実行する」にあたっては、「とりあえずやってみよう精神」が大切だということをお伝えしました。

今回は、「実行する力」に必要な3つの力についてお話ししていきたいと思います。

 

1つ目は、「計画する力」です。

「計画」の重要性を否定する人はあまり多くはないと思いますが、私たちはしばしば計画せずに行動します。

 

それはなぜでしょうか。面倒だからでしょうか。

 

それもあるとは思いますが、「行き当たりばったり」の楽しさがあるからではないでしょうか。

私自身、計画することの大切さを知りながらも、行き当たりばったりでやってみることも大いに必要だと考えています。

 

旅行を例に考えてみましょう。

ツアー旅行のようにしっかりと計画されたものがある一方で、行く途中で考える、現地に着いてから考える旅も楽しいですよね?

ひと昔前であれば、事前に調べておかないと、現地で困ってしまったかもしれませんが、いまはスマートフォンがあれば、たいていのことは調べられますから、そんなに心配することもありません。


(2)誰かと旅をするなら、集合場所を決めなければならない


では、なぜ私は「計画する力」が重要だと言っているのでしょうか。
「CEOコーチング」は、会社のリーダーがどうやって組織を率いていくか、リーダーシップを発揮していくかにフォーカスしたコンセプトです。
つまり、舞台は「組織」であり、人と動くからこそ「計画」が必要になるのです。
 
組織で動く場合、つまりチームで動く場合には「計画」を決めておかないと、フラストレーションがたまってしまう人がいるはずです。
組織を率いているリーダーは、メンバーの顔を一人ひとり思い浮かべながら「計画していく」ことが求められます。
 
旅行の場合でも、誰かと一緒に行くなら、集合場所を決めますよね?「何時発の新幹線に乗るのか」「飛行機のどの便に乗るのか」くらいは教えておいてほしいですよね?
 
裏を返せば、一人で動くのなら、大雑把なプランでも構わないということになります。
認知科学的に考えるなら、脳は自分に必要なものを見せてくれます。ですので、たとえ大雑把でも、本当に困ることにはならないのです。
旅行の場合は好みの問題でもありますから、計画を立てることを否定するつもりはありませんが、大雑把なプランしかなくても、「これを見にいけばいいんじゃないか」という形で脳が必要なものを見せてくれますので、綿密な計画を立てる必要は必ずしもないのです。

(3)経営は困難の連続である


2つ目は、「困難を乗り越える力」(オーバーリープ)。

「オーバーリープ」には、「乗り越える」「飛び越える」という意味合いがあります。

 

拙書『CEOコーチング』、あるいは「CEOコーチング」というコンセプトそのものは、基本的には、経営者やリーダーを想定した内容となっています。

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そのため、過度に恐れたり、過度に強調する必要はありませんが、「経営は困難の連続である」ことを大前提としています。これは、経営者、リーダーのポジションに就いたことがある方であれば、誰もが当然のように体感していることです。

 

経営者、リーダーのポジションを経験したことがない方は、アップダウンがあって苦労が多いけれど、やりがいもあるのが経営者やリーダーというポジションだということを念頭に置いてお読みいただければと思います。

 

この記事のベースとなっている音声は、コロナ禍真っ只中に収録しました。5年後に読んでいる方でれば、「あのころは大変だった」という過去の話になっているかもしれませんが、本当にさまざまなことが起きました。

 

たとえば、ビジネスの環境変化でいうと、物流が滞ってしまい、いろいろなものがこれまでのようには流れなくなりました。トイレットペーパーが不足しているといった話からはじまり、半導体不足が世界的なレベルで発生したりと、大きな混乱が生じてしまったのです。

また、2022年2月には、ロシアによるウクライナ侵攻がはじまり、いまなお戦闘が続いています。原油の高騰・物価の上昇など、その影響は全世界のビジネス、人々の生活にまで及んでいます。 

 

たとえば、建設関係の方は、「木材に関しては国内から調達できるけれど、ドアのパーツ、電球といった一つひとつの部品が届かないということが山のように起きている」とおっしゃっていました。結果、住宅の完成はどんどん遅れ、同時にコストも上がっていったので、利益が出なくなってしまったそうです。

 

また、原油価格の上昇は、燃料費の高騰に直結します。運送業の方は「これまでのように、低い価格で仕事を引き受けてしまうと、利益が出ないばかりか、赤字になってしまう」とおっしゃっていました。

 

ここではコロナ禍を例に挙げましたが、自分ではコントロールできない不可抗力によって、困難、修羅場に直面することは、リーダーシップ、経営そのものだったりするのです。

 

「修羅場」には、「血みどろの戦いが行なわれる場」というような意味合いがあります。21世紀のいま、ビジネスで血が流れることはそうそうないでしょう。それでも、本当に厳しい状況に追い込まれる……。そんな経験を何度もして、その度に乗り越えていく。「場数」を踏むことで、リーダーは強くなっていきます。

 

現時点で「修羅場を経験したことがない」という方は、ラッキーです。でも、この先、いま以上に大きな挑戦をしていくのなら、修羅場を乗り越えた経験がある人とない人ではどうしても差が出てしまうのも事実です。これは仕事に限った話ではありません。

 

ですから、組織の場合でいえば、部下や後輩に成長してもらうために、困難な状況を意識的につくったり、経験してもらうといった環境づくりは必ず行なうべきです。

 

また、個人の場合でも、自分から修羅場に飛び込んでいったほうがいいと私は考えています。「フィードフォワード」では、通常、過去のことはあまりお聞きしませんが、大変な事態に直面して、それを乗り越えていくことで強くなった経験は、誰にでも1つや2つはあるはずです。

 

修羅場に飛び込むのに年齢は関係ありません。20代、30代であろうと、40代、50代、60代であろうと、修羅場に飛び込んでいったほうがいい。「楽をして生きていたい」という気持ちもわからなくはありませんが、とくに若い方は意識的に「やります!」と自ら手を挙げて飛び込むことをおすすめします。5年後、10年後、20年後には、修羅場に飛び込んでいない人と比べて、きっと大きな違いを生むことになるはずです。

(4)地道に続ける力


3つ目は「地道に続ける力」(ステディネス)。
「ステディネス」には、「安定的な」「安定して」という意味合いがあります。
 
「地道に続ける力」は地味な力ではありますが、もし、あなたがリーダーの立場にあるなら、「地道に続ける」ことを賞賛する文化を組織に根付かせていただきたいと思います。派手な成果を上げる人、目立つ人にだけ拍手するのではなく、コツコツ続けている人にも同時にスポットライトを当たるような発想、仕組みをつくることをおすすめします。
 
今回は、「実行する力」(エグゼキューション)に必要な3つの力についてお話ししました、
また次回お会いできるのを楽しみにしています。

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