得たもの
本当に、ほんとーに、
苦しかった日々が終わろうとしている。
12月の結婚記念日前日に倒れた旦那君の元に
1月17日まで毎日通い、
心細いながらも寄り添うことで何とか気持ちを繋いだ日々。
1月17日、いつものように病室に行くと、
「明日から面会できなくなるので」
と、看護師さんに告げられた。
毎日面会に来ることだけが、
暗い毎日に小さな希望を見せてくれていたし、
毎日少しでも話しかけたり身体をさすったりすることで、何とか力を尽くしたいと思っていた。
治したい、という希望のためなら、
どんな努力もできる。
というか、
治すための努力がしたいのだ。
それなら何だってできると思っていた。
それが、できなくなる。
患者の回復には、
家族の力はとてつもなく大きい筈だ。
それが、急に『ゼロ』になる。
患者はどうなるんだろう。
家族はどうしたらいいんだろう。
感染のリスクを無くすために、
面会禁止は仕方がないと思う。
しかし、心も軽視できない筈だ。
私は、夜中に目が覚めるようになった。
指がこわばって、違和感を感じるようになり、
病院に通うようになった。
以前より数値の高かったリウマチ因子がストレスにより症状として表れたらしい。
母にあたり、妹に喋り、伯母に相談し、
心配して心配して、我慢できずに病院に電話し、また心配して心配して…。
カセットテープに声を録音して届けたこともある。
家族写真をプリントアウトして持って行ったことも。
好きなCDをかけてもらうように届けたり。
よく考えれば、
もっと不安だったのは夫の方だ。
苦しい毎日を、1人で過ごす日々。
ついさっき、毎日「面会禁止です」と知らせていたホームページを何の期待も無しに見ると、「面会を再開します」の文字。
何という2か月だったんだろう。
何という苦しい2か月だったんだろう。
もっと他に方法はありませんでしたか?
医療の力はとてつもなく大きい。
それでも、
心を決して軽視してはいけないと思う。
感染予防での面会禁止。
これからもきっと起きること。
だったら、何らか手立ては必要。
オンライン面会、という病院もあるらしい。
毎日、なんて言わない。
様子を聞けるだけでもいい。
面会できなくても、直に話ができなくても。
この苦しい2か月から得たものは、
「苦しさ」「辛さ」を味わったということだ。
それしか、無い。