感情の教習所①「気を逸らす」
前回は「感情の免許を取得しよう」と題して、「感情がなぜ大切か」ということと「感情の基本的なシステム」についてお伝えしてきた
今回から、この感情の免許を取得するにあたって「感情の教習所」と題して、具体的な感情の扱い方についてお伝えしていく
本題に入る前に軽く前回のおさらいから
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感情とは、思考のインジケーター
(ガソリンメーターのようなもの)
本来の自分らしい思考→ポジティブな感情
本来の自分らしくない思考→ネガティブな感情
として教えてくれる
つまり、感情は思考の結果なので、自分の感情を変えたければ、自分の思考を変えればいい
自分の思考を変えられるのは自分だけなので、自分の機嫌は自分にしかとれない
(※詳細は前回の記事をご参照)
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それでは、ここから本題
今回、第1回目の教習の内容は、タイトルに書いた通り「気を逸らす」について
この「気を逸らす」は、自分の機嫌を自分でとるための基本となるテクニックで、使い方は簡単なんだけど、めちゃくちゃ実践的で実用的で効果バツグン
コツコツ使っていくと確実に思考の癖が変わり、人によっては性格まで変わっていく
でも、実はこのテクニック、本当は改めて伝える必要もないくらい多くの人が既に知っている方法で、無意識で使ってる人も多い
特に小さいお子さんの面倒を見たことのある人は、間違いなく使ったことがある
一体、それは、どんなテクニックなのか?
理論を説明した後に、具体的な使い方をお伝えしていく
それでは最初に、理論から
ここではまず、2〜3歳くらいの子供が泣き出しそうになっているシーンを思い浮かべてみてほしい
(自分で面倒を見たことがない人は、他の人が子供の面倒を見てるシーンを思い出して)
さて、その子供が何かの拍子に泣き出しそうになった瞬間、大人は一体なにをするだろう?
「〇〇ちゃん、あ!!あれ見て!!」
…と、子供が泣き出しそうな様子に気づいたら、別のものに意識を向けさせていないだろうか?
これこそが、今回お伝えする「気を逸らす」というテクニックだ
つまり、子供をあやすときに使ったテクニックを自分自身に使ってあげるというのが今回のお話
このテクニック、子供の場合は泣き出しそうになったときに使った
では、大人はどんなときに使うかというと、それはネガティブな感情が湧いたとき
そして、実際に使うときの最も大切なポイントが、ネガティブな感情に気づいたらできるだけ早く気を逸らすこと
この「できるだけ早く」というのがキーで、具体的には、ネガティブな感情に気づいたら15秒以内に気を逸らすのがベター
15秒以内に気を逸らすことができると、ネガティブな感情は止まりやすい
子供が泣きはじめたら気を逸らせなくなるのと一緒で、大人も時間が経てば経つほど、ネガティブな感情を逸らすことはできなくなる
急な坂道の上から転がるボールも、転がり出してすぐなら止めやすいけど、時間が経って勢いがつくと止めるのが難しくなるのと一緒
ネガティブな感情という坂道を転がるボールも、時間が経つほど(具体的には1分以上経つと)、止めることは難しくなる
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ここまでで「気を逸らす」の理論については、理解してもらえたかと思う
では次に、その具体的な使い方について
子供に使う場合は、目に映る別のものに意識を向けさせたが、自分自身の「気を逸らす」にはどうすればいいのか?
それは「呪文を唱える」こと
どんな呪文を唱えるのか?
正直、これはなんでもいい
うどん好きなら、うどん
まんじゅう好きなら、まんじゅう
カレーライス好きなら、カレーライス
好きな食べ物でも何でもいいので、とりあえず、言葉を決める(2〜3文字で連呼しやすいものがオススメ)
決まっただろうか?
それでは、実際に使うシーンを想定して、現実で嫌な気分になったことをイメージしてみる
ここでは、運転中に急な割り込みがあったことを例に考える
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あなたは会社への通勤中、いつも通りの道を通って会社に向かっている
なんだかいつもより道が混んでいて、心なしか焦って運転してる人が多い気がする
そんな中、少し前の車と車間距離を取った瞬間、左の車線からウィンカーもなしで、急に車が割り込んできた!
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ネガティブな感情になったのが、イメージできただろうか?
ここで、ネガティブな感情になった自分に気づいたらすぐ(できれば15秒以内)に、さっき決めた呪文を唱える
「うどんうどんうどんうどんうどんうどん…」
(自分で決めた言葉を唱える)
うまくいけば、さっきまであったネガティブな感情が止まっていることに気づく
うまく気を逸らせた後は、気分の良くなる思考に意識を向け直す
気持ちのいい快晴の青空、流れている音楽、今日のお昼ご飯のこと…etc.
これもまた、気分が良くなるものであれば、何に意識を向けてもいい
車のギアが、バックギア(後退)からドライブ(前進)に入れられないように、いきなり、ネガティブな感情をポジティブな感情に変えるのは難しい
でも、車のギアが、バックギア→ニュートラル→ドライブと1度ニュートラルを経由すると進行方向を変えられるように
ネガティブ→呪文(ニュートラル)→ポジティブ
という流れを通ることで、ネガティブな感情をポジティブな感情に変えることができる
人は不快な感覚に敏感なので、体の不快感はもちろん、精神的な不快感も、すぐに感じとることができる
つまり、ネガティブな感情が湧いたときも、すぐに自覚することができる
この「不快さに敏感」という人間の性質をうまく使って、自分の思考をコントロールするのが、この「気を逸らす」というテクニックの真髄だ
実際にこのテクニックを使いはじめると
現実に何か起こる
→ネガティブな感情になる
→呪文(=ニュートラルにする)
→ポジティブな感情になる思考を選ぶ
という流れを繰り返すことになる
これによってネガティブな感情でいる時間が減り、ポジティブな感情でいられる時間が増える
言い換えると、幸せな気分で過ごせる時間が増える
ただそれと同時に「一体私は1日に何回うどんって唱えてるんだ!?」とも感じるようになる
でも、それは正しい感覚
今までは鈍感すぎて気づいてなかった自分のネガティブな感情の状態が、このテクニックを使うことで、ネガティブな感情になった回数が可視化されるためにそう感じるようになる
そして、その次に何が起こるかというと
「そもそも、気を逸らす以前に、ネガティブな感情になる思考を自分で選ぶのをやめられるのでは?」
という考えが出てくる
なぜなら
現実に何か起こる
→ネガティブな感情になる思考を自ら選ぶ
→自ら呪文を唱えてニュートラルに戻す
→ポジティブな感情になる思考を自ら選ぶ
…という、マッチポンプな作業を「自ら」やってることに気づくから
そして、そこに気づけるようになると、無意識でネガティブな感情になる思考を選ぶ癖が、少しずつ手放せるようになっていく
現実に何か起きたとき、どんな思考を選ぶのかは、これまでの習慣(癖)で無意識に選んでいる
…が、実際の感覚としては、あまりにも無意識で自動的な選択なので、選んでいる意識すらない
ただ、習慣や癖は意識すれば必ず変えられる
右足から靴を履く癖の人も、意識すれば必ず左足から履けるようになる
正直、いきなりネガティブな思考を選ぶ癖を手放すのはハードルが高い
でも、今回紹介した「気を逸らす」というテクニックをコツコツ実践していくと、無理なく、ポジティブな感情になる思考(=本来の自分らしい思考)を選ぶ癖づけがされていく
ちなみに、この思考の癖が変わっていくのは、このテクニックを使い続けただいぶ先の話
まずはぜひ、このテクニックを使って「自分の思考や意識の向ける方向を変えると、自然と感情は変わる」ということを体感してみてほしい
「感情は思考の結果」という言葉の意味が、身をもって理解できるはず
それから、ネガティブな感情になったとき、毎回すぐに気づいて気を逸らせればいいけど、いきなり100%うまくいかないことも覚悟しておくこと
以前も書いたように、右利きを左利きに変えるようなものなので、失敗はつきもの
うまく気を逸らせずに1分以上経ち、ネガティブな感情が止まらなくなることもあると思うので、念のために、そのときの対策もお伝えしておく
それは「寝る」こと
寝ると感情はリセットされる
ただ注意点としては、起きてから寝る前に考えてた、ネガティブな感情になる思考をことを思い出さないこと
寝てリセットした後は、ポジティブな感情になる思考に意識を向ければ、ポジティブな気分からリスタートできる
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それでは最後に、今回の「気を逸らす」についてのまとめ
①ネガティブな感情になったら15秒以内に呪文を唱えて、気を逸らす(=感情をニュートラルに戻す)
②気を逸らすのに失敗したら、寝てリセット
いきなりうまくできなくてもいい
少しずつ、ネガティブな感情でいる時間を減らしていき、本来のあなたらしい状態、ポジティブな感情の状態でいられる時間を増やしていく
このテクニックを使いながら、自分の機嫌を自分でとる感覚を磨いていこう