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イベントの背景や主催者の意図を反映すると記録写真は素敵になる

こんにちは、フリーランスフォトグラファーのまちゃるです。

仕事の撮影の合間に、フォトウォークもたまに開催しています。来年からはもっと頻繁に企画出来たらなと思っているところです。

その中でよく聞かれるのが「自分の写真がありきたりな感じがするのですが、どうやったら良くなりますか?」という点です。

こちらは非常に難しい質問ですが、自分としては何かを記録として残す際には「その物事の背景や意図を理解し、それを記録に盛り込むこと」が大切だと考えています。


先日、金沢のひがし茶屋街近くで開催された「加賀鳶梯子登り」です。

ひがし茶屋街近くの浅野川大橋が100周年を迎えるということで企画されたイベントの一幕として梯子登りが行われました。

当日撮られた写真をSNSなどで見ていると、上のようなオーソドックスなものが多かったように感じました。
その中で自分はあえて後ろに象徴的な櫓(やぐら)が入るように構図を調整しています↓


梯子登りというのはかなり簡単に言えば「昔の消防隊(火消し)」です。火事の際に梯子を立てて、高所から周りの状況を把握して対応を指示することが由来とされています。
(少し前に人気漫画の「炎炎ノ消防隊」にも登場していましたね)

そしてこのひがし茶屋街周辺は木造の建物が密集する地域で、火事対策が必要であったことから「火の見櫓」というものが設置されていました。
(上の写真で木の後ろに櫓の跡が写っています)

この火の見櫓と梯子登りのコラボレーションは、イベント主催者の方が意図して配置されたのかは分かりませんが、写真の構図としても歴史的な背景から考えても、かなり貴重で画になる組み合わせです。

よって自分は櫓と梯子登りが重なる場所を撮影場所として定めていました。
火の見櫓があることは事前に調べてあったので、当日は梯子登りと櫓が重なり、かつバランスが良く見える場所を探して場所を微調整したという次第です。


上の写真は津幡町の倶利伽羅不動寺で例年開催されているアカリート(スカイランタン)というイベントです。
お寺の境内でランタンを空に向かって一斉に放つもので、夏のお盆の時期の万灯会(まんとうえ)と並んで有名なイベントとなってます。


通常は上の写真のようにランタンがぶれないように撮影されている方が多いのですが、自分は最初のようにわざとスローシャッターでランタンの軌跡が残るように撮影しました。

これはもともと時期的にお盆すぎあたりに開催されていたこともあり、寺院という開催場所と相まって、「鎮魂」や「ご供養」の意味を写真に込めたいという意図がありました。
(※現在はイベントが秋ごろに行われています)

ランタンが天に帰っていく魂のように感じ、その場でスローシャッターに設定することを思いつきました。



最後に自分がときどき訪れる金沢市の鈴木大拙館です。

こちらは禅の研究などで知られる鈴木大拙の活動や思想を知らせる施設となっています。

訪れて写真を撮る方は重厚感のある建物や鏡のように映る人工の池を撮ることが多いのですが、自分は池を眺めながら思索にふける来場者の姿をシルエットで撮影させていただくことが多いです。

座禅を組んでいるところまでは行きませんが、その様子が自己を省みる姿のように見えるからです。


このように3つほど自分の撮った写真を挙げながら「物事の背景や意図を理解し、それを記録に盛り込むこと」という意味について紹介させていただきました。

全てではないかもしれませんが、イベントを企画する方、施設を建てて管理する方はイベントや施設に何かしらの意図を込め、物語を設定されています。

それらをくみ取りながら、記録として表現していくと写真はより面白くなるし、厚みを増すのではないでしょうか?

イベントや有名スポットの撮影に行かれる際は、少しその背景や歴史を調べてみると写真の表現に役立つ面白いポイントが分かるかもしれません。

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Masaru Nakanishi @石川県金沢市のフォトグラファー&写真講師
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