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コンフィデンスマンJPより見やすい爽快コンゲームアニメ。だが大切なケース4の騙しすぎは良くなかった。【「GREAT PRETENDER グレートプリテンダー」】
『GREAT PRETENDER』(グレートプリテンダー)は、WIT STUDIOが制作し、2020年にNetflixで先行配信、同年7月から12月までフジテレビの「+Ultra」枠で放送された日本のテレビアニメです。脚本とシリーズ構成を手掛けたのは、『リーガルハイ』や『コンフィデンスマンJP』で知られる古沢良太氏です。
あらすじ
自称・天才詐欺師の枝村真人、通称「エダマメ」は、日本で小規模な詐欺を行っていました。しかし、フランス人の信用詐欺師(コンフィデンスマン)であるローラン・ティエリーに騙され、彼の詐欺チームに加わることになります。物語は、エダマメがローランや仲間たちと共に、世界各地で大規模な詐欺計画に挑む姿を描いています。
CASE1~4のストーリーと詐欺の罪状
CASE1「ロサンゼルス・コネクション」
ストーリー: エダマメとローランは、ハリウッドの映画プロデューサーであり、裏で麻薬ビジネスを取り仕切るカッサーノに、最新の合成麻薬(実際は偽物)を高額で売りつける計画を立てます。
詐欺の罪状: 偽の麻薬を販売する行為は、詐欺罪や薬事法違反に該当します。
CASE2「シンガポール・スカイ」
ストーリー: チームは、シンガポールで開催される飛行機レースに目をつけ、不正を行っているレース主催者から大金を騙し取る計画を実行します。
詐欺の罪状: レース結果を操作し、賭博で利益を得る行為は、詐欺罪や賭博罪に該当します。
CASE3「スノー・オブ・ロンドン」
ストーリー: ロンドンを舞台に、チームは美術品の贋作を巡る詐欺計画を企て、贋作を本物としてオークションで高額販売しようとします。
詐欺の罪状: 贋作を本物と偽って販売する行為は、詐欺罪や著作権法違反に該当します。
CASE4「ウィザード・オブ・ファー・イースト」
ストーリー: 東京を舞台に、エダマメの過去に関わる人物が登場し、チームは人身売買に関与する組織を標的にした詐欺計画を実行します。
詐欺の罪状: 人身売買に関与する組織から金銭を騙し取る行為は、詐欺罪や人身売買に関する法律違反に該当します。
『コンフィデンスマンJP』との違いと『GREAT PRETENDER』の見どころ
同じく古沢良太氏が脚本を手掛けた『コンフィデンスマンJP』は、主に日本国内を舞台に、詐欺師たちが巧妙な手口でターゲットを騙すコメディドラマです。一方、『GREAT PRETENDER』は国際色豊かな舞台設定で、世界各地を巡る壮大なスケールが特徴です。また、アニメならではのスタイリッシュなビジュアルや、各キャラクターの深い背景描写が作品に独自性を与えています。さらに、詐欺の手口やターゲットも多様で、視聴者を飽きさせない工夫が随所に見られます。
『GREAT PRETENDER』は、巧妙なストーリー展開と魅力的なキャラクター、そして国際的な舞台設定が融合した作品であり、詐欺をテーマにしながらもエンターテインメント性に富んだアニメです。
感想
久しぶりに一気見できるシーズン全体で見せられるアニメだった。
ドラマのコンフィデンスマンは見てられないところはあったが、アニメだとコメディとしても絵としても見やすい。CASEを4つに分けて1個4話ほどの完結構成になっているが、テンポが早く、無駄なシーンもないので思ったより長さをかんじさせない作りに感じる。
勧善懲悪として見せられていくが、伏線がシンプルに全て繋がる仕掛けになっているので追いかけても気持ちよく、若者受けするのもこっちだろう。上手くいきすぎなところはあるが、その辺もアニメとして見れば許容できる。
前半から巧妙な詐欺過程を軸にしながら、チームメンバーの過去の話も同時に広げられていて1話の中でもいい緩急になっている。
打倒する相手は各メンバーの過去と因縁のある人物構成になっており、ケースごとにメンバーの誰かの過去の復讐心にまで繋がっていく仕掛けになっている。
CASE4では彼ら詐欺チームの核心にも迫る話にもなっていく。全てはリーダーローレンのある目的の画策に次ぐ画策でもあったわけだが、最後そこまで騙され続けていた主人公エダマメがあっけなく全てを許した話に終わらせたのは微妙だった。
ここまで全体の話は結局ローランが書いた復讐の設計地図だったわけだが、物語として唯一成長しようとしていたエダマメを何度も見せておいて結局チームのやり方だけに全て乗っかっていたというオチは少し冷める。
エダマメがローランの設計を覆そうと見せられる終盤も結局視聴者をも騙す仕掛けだけだったわけだが、ローランらが行っていた最後のケースは結局ドロシーを失った同じケースをやっていただけで過去の反省が何もなかったというチームの薄っぺらさが残ってしまう。
そこで新しい世代であるエダマメがローランらのやり方をも覆して終わっていく方をチームの成長物語としても期待させられたわけで、最後フェリーでそれまでの打倒相手とも笑いあってるのは気持ち悪かった。
あれではそれまで魅せられてきたエダマメの罪の意識や感情も結局冗談として見えてしまいがっかりする。父親への赦しの過程も大切な話だったと思うが結局全てを茶番で終わらしてしまい、「反抗期が終わった」と勝手に認識している父側も道理がよく分からない。
前半までのケースのドラマも上手かっただけに、大事な主人公の成長は最後に茶番で全て騙して終わらせてしまう感じは残念だったかな。そこはコメディでやってほしくはなかった。
全体的に面白かったが話題にならなかったのは結局配信媒体が絞られていた影響も大きかったと聞くと時代も感じる。
自分はアマプラで話題作のコーナーで見つけたがそれでも配信期限も短く、この感じだと「知る人ぞ知る作品」だけで終わる作品だろうなと思う。