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生き物たちの暮す森|No004「モリアオガエル」

皆さんは、木にぶら下がっている小さな風船のような大きさの白い泡状の不思議なモノを目にしたことがありますか?

それは「 モリアオガエルの卵 」なんです。

モリアオガエルの産卵

モリアオガエルは、奈良県版レッドデータブックでは絶滅危惧種の1つ上のランクで、絶滅寸前種に指定されている珍しいカエルなんです。

実は僕、カエル(両生類)や爬虫類が苦手(触れない)、それでもモリアオガエルを撮影したくて、2020年4月下旬頃から何度も何度も森に通い、水辺を探し回ったのを覚えています。

-----------------------------------------------------------------------------※注意
以下からは色々と思い出し過ぎて、回想シーンにのめり込みますので、多少手荒な文章になります 。
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モリアオガエルは日中、2〜3mの高さの木の上で過ごしているという情報を頭に入れ、とにかく木の枝や葉を重点的にくまなく探す。

すると…  いた!!

3mくらいの高さの葉っぱの上にいた!

葉っぱの緑と同化してあんなの普通わからんてっ!ってくらい、わかりにくい所にペタッと隠れていた。

モリアオガエル

どうやってあの高さまで登ったんやと驚きつつ証拠を撮影。このまま待てば産卵シーンも撮れるんじゃないかと思い待機することに…

日も暮れて、森の中は真っ暗。

肉眼では視界が無くなったその時…

「 ボテッ! 」 「 ガサッ 」 「 ドスンッ! 」と森の中で何やら音が鳴り出した。

ん? え?? まさか?! 

木から落ちたん!?

いや、木から地面に飛び降りてるのか!!

すると、どんどんあちこちから地面への着地音が聴こえる。

辺りをヘッドライトで照らしてみると、地面を跳ねるモリアオガエルが沢山いる!

オレンジ色の目をこちらに向けてカエル座りしているのもいる!

モリアオガエル

あっちこっちからピョンピョンと水辺に向かってくる!もうモリアオガエルの大フィーバーやー!

ザッと数えても20匹以上はいる!

こんな数どこにいたんや?

ほんまに絶滅寸前種かいな!?と

テンションが上がったことを今でも鮮明に覚えている。

でもその夜は産卵シーンは見れず、水辺の木にモリアオガエルが集まることを先に知っていたヤマカガシが木の上で待ち構えており、モリアオガエルたちが水辺に辿り着く瞬間、スルッと僕の目の前を落下し、モリアオガエルを捕食するシーンだけが撮れた。

ヤマカガシ
(赤、黄、黒の斑紋があるのが特徴的で主にカエルを食べるヘビの一種)

弱肉強食たるものを目の当たりにした瞬間だった。

何度も通ううちに、産卵は夜22:00〜朝方までの間にすることが分かってきた。

とにかく良い産卵シーンが撮りたい、その気持ちだけで5月中旬から6月中旬まで夜中の森に足を運ぶ日々。

たまに、アオバズクの鳴き声に引き寄せられて、よそ見をすることも多々あったが、何とか狙っていた丁度良い高さの枝での産卵シーンを撮影することに成功した。

産卵シーンで驚いたことが、モリアオガエルのメスが想像以上に大きかったこと。

オスでさえシュレーゲルアオガエルにくらべたら2倍は大きいのに、メスは更にその倍!

たらふく水を飲み、膨れた身体で木を登っていく。

2mくらいの高さまで登り、木に絡みついた藤の枝先に筋肉質の腕でぶら下がるメス。そこに我先にとオスが群がり、メスの身体にへばり付いてくる、その数8匹!

その光景を目の前にして僕は口が開いてしまった。

モリアオガエルの産卵

それでも、メスが踏ん張りながら産卵し、オスたちが足でコネコネする動きと小さな卵を間近で見て感動的だったのは言うまでもない。

カエルが苦手で全く興味が無かった僕が言うんだから本当です。(足繁く通ったからこその感動もあったのかもしれないけど。笑)

この頃から僕の中で被写体に対する苦手意識というか、何かが変わり始めていた気がする。

その後、カエル以上に苦手なベビを撮影していくことになり、数年かけて本州にいるヘビ8種類全ての撮影も春日山原始林で成し遂げていくのでした。

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