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生き物たちの暮す森|No.012「イヌセンボン岳?」

タマムシが一生懸命、朽ちた切株を這い上がり、白い小さなキノコに辿り着いたがまだまだ登っていく。

イヌセンボンダケ

キノコはイヌセンボンダケという種類で、表面が滑るのか、鉤爪がついたタマムシの足でも何度も滑っては地面に落下する。それでもタマムシは諦めずに何度も白いキノコの壁を這い上がっていく。

イヌセンボンダケの頂に何かあるのか?

それとも飛び立つ為に出来るだけ高い所に行きたいのか?

僕はタマムシの行動をじっくり観察し続けた。

這い上がる姿をローアングルで見上げた瞬間…‼︎

なんてこった…⁉︎

タマムシはこんなに凹凸だらけの斜面を這い上がっていたのか‼︎とイヌセンボンダケの大群が巨大な険しい山岳に見えた。

「もうコレは、イヌセンボン岳だ…」と声が漏れたのを今でも鮮明に覚えているし、これが虫目線で現場を観ると言うことかと僕はこの時に学んだ…。

結局タマムシの目的はイヌセンボンダケの頂ではなく、食べごろのキノコを探していたみたい。

お目当てのキノコが見つかると夢中になって食べていました。

ヤマトタマムシ

数日後、同じ場所に行くとイヌセンボンダケは焼け焦げたように全て枯れていました。あれから毎年同じ時期になるとこの場所を通りイヌセンボンダケが生えていた切株を確認していますが、あの時以来イヌセンボン岳は見ていません。

出会いは一期一会と言いますが、春日山原始林にいると本当にそう思わせてくれます。

他にも色んな出会いや体験があるので、引き続き回想にふけながらゆっくりと紹介していきます。

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