やさしい日本語!日本に住む外国人とコミュニケーションをとる方法
最近は小さな町でも外国人を目にすることが多くなりました。
ただ、外国人と日本人の距離が縮まったかと聞かれれば、答えはNOといえるのではないでしょうか?
「近くに住む外国人に生活のルールを教えたいけれど、言葉が伝わらない」
「困っている外国人を見かけて、声をかけたいけれど英語が話せないので声をかけられない」
そんな思いをしたことはありませんか?
私は来日したばかりの外国人が宿泊する施設で、外国人のサポートをしています。
この記事では、その経験もふまえて「外国人に伝わる日本語」を話すコツをお伝えします。
どうして日本語が伝わらないのか
世界の共通言語は英語です。
ただ、日本に住んでいる外国人で英語が分からない人も数多くいます。
むしろ、英語よりも日本語が通じる時のほうが多いでしょう。
それなら、子供に話すような日本語を使えばいいかといえば、そうではありません。
外国人と日本語で話すには、いくつかコツがあります。
それは「やさしい日本語」を使うということです。
やさしい日本語とは
「やさしい日本語」とは、1995年の阪神淡路大震災を機に考え出されました。
日本語も英語も分からない外国人にとって、災害時に情報を得ることはとても困難なことです。
だからといって、自治体が発信する情報をすべての言語で対応することは難しいのではないでしょうか?
そこで考えだされたのが「やさしい日本語」です。
「やさしい日本語」は簡単な文の構造と表現でできています。
日本語を覚えたての外国人にとって「やさしい日本語」は、理解しやすく誤解をまねきにくい表現です。
この表現のコツをつかめば、今まで伝わらなかった日本語もグッと伝わりやすくなります。
ここでは、「話すときのコツ」「文の構成のコツ」「文章を作るときのコツ」「外国人と話すときの心構え」の四つを説明していきます。
話すときのコツ
まず話すときのコツとして「大きな声でゆっくり話す」「語尾をハッキリ言う」ということが大切です。
日本語は、語尾までしっかり話さないと「肯定」なのか「否定」なのかわかりづらいので、うやむやに発声しないよう気をつけましょう。
さらに、表情を豊かにしたりジェスチャーを取り入れたりすると、より伝わりやすくなります。
文の構成のコツ
話し方だけでなく、どういった構成で話すかで伝わり方が変わってきます。
まず、テーマと要点がいくつあるのかを話しましょう。
例えば、
「今から”ゴミ”について話します。私は、三つ話します。」
というように、「何について」「いくつ話すか」を最初に伝えると、聞く方も準備ができます。
次に、それをしたらどういう状況になるかをハッキリと言うのが大事です。
日本は察しの文化であるため、日本人同士だと濁しても理解されますが、外国人にはハッキリ言わないと伝わりません。
そして、情報として必要のないことは思いきって省きます。
あれもこれも話すと、結局何が言いたいのか伝わらなくなってしまうためです。
そして、最後にもう一度復習して理解できているかを確認します。
そのときに「わかりましたか?」とは聞かないでください。
YESやNOをハッキリ言う外国人であっても、「わかりません」とは言いにくいものです。
相手の反応を見て、伝わっていないようなら別の言い方を試してみましょう。
文章を作るときのコツ
次に、文章を作るときのコツを四つ説明します。
1. 「~です」「~ます」の形で話す
外国人が日本語学校で初めて習う語尾は「です」「ます」の形です。
尊敬語、謙譲語は初心者には難しいため、「です」「ます」を使うようにしましょう。
この時、日本人にとっては不自然な日本語に感じるかもしれませんが、外国人にとっては分かりやすい文章になります。
また、子供や友達に話すような話し方、方言は、日本語を覚えたての方には伝わらないので気を付けてください。
私たちが英語を聞いたとき、英語の先生の言っていることは分かっても、小さい子供の話す英語やスラング、方言の強い方の英語が理解できなかったのと同じです。
2. 一文を短くする
次に気をつけるのが、一つの文に一つの意味で話すということです。
もし長くなってしまうようなら、二つに分けます。
二重否定は使わず、ストレートに話しましょう。
二重否定というのは、
「このボタンを押さないと、印刷されません」
といった、二重に否定する文のことをいいます。
この場合は、
「このボタンを押すと、印刷します」
というように、ストレートに伝えましょう。
3. 難しい言葉を簡単な言葉に言い換える
日本語は漢語のように中国から伝来した言葉があり、外国人にとって非常に難解です。
例えば「収集」は「集めます」というように、なるべく簡単な表現に言いかえると伝わりやすくなります。
4. 具体的に話す
話すとき、具体的に話すとより伝わりやすくなります。
例えば「小売店」というよりも、「スーパー」「ドラッグストア」と言った方が、よりイメージしてもらいやすいのではないでしょうか?
こうしたちょっとした言い換えだけで伝わりやすくなりますので、話すときはぜひ意識してみてください。
外国人と話すときの心構え
最後に、外国人と話すときの心構えをお伝えします。
日本語をまだ覚えたての外国人は、子供のように見えてしまうことがあるかもしれません。
しかし、言葉がたどたどしいだけで立派な一人の大人です。
子供扱いしないよう、注意しましょう。
「目は口ほどにものをいう」という言葉がありますが、言葉が通じなくてもこちらの気持ちがどことなく通じています。
私たちが相手の話を理解しようと努力すれば、相手にもその気持ちが伝わります。
技術だけでなく気持ちが大切だということを忘れないでください。
あまりにも日本語が通じないと、途中で諦めたくなることもありますが、粘り強く伝える努力をしてください。
まとめ
・「やさしい日本語」を使えば、外国人に日本語が伝わりやすくなる
・話すときのコツは「大きな声でゆっくり話す」「語尾をハッキリ言う」
・構成のコツは、テーマと要点がいくつあるかを最初に言う
・文章を作るときのコツは四つある
1. 語尾は「です」「ます」で終わる
2. 一文を短くする
3. 難しい言葉を簡単な言葉に言い換える
4. 具体的に話す
・外国人を一人の大人として扱い、理解するよう努力する
試していただければ、少しのコツで外国人に日本語がグッと伝わりやすくなると実感していただけるのではないでしょうか?
困っている外国人がいたら勇気をだして「やさしい日本語」で話しかけてみてください。
日本が外国人にとって住みやすい国になることを祈っています。
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