物理の入り口 - ガモフ全集(4)原子の国のトムキンス
最近は老眼が進行したこともあって、なかなか読書がしんどくて、読むとしてもキンドルのお世話になることも多くなっています。そんなことを思いながら本棚ではなくて、仕舞い込んである本を片付けていると、とても懐かしい本が出てきて、思わず読み返してしまいました。
それはガモフ全集です。もともと父親の本棚にあったのですが、小学校も高学年になったあたりには、何とか読めそうな気がしたので、そのまま一揃い貰ってしまいました。今回、読み返したのは、その中の第4巻、原子の国のトムキンスです。
内容は前半に夢という形で、導入としての「おはなし」があり、後半に夢の内容に沿った講演内容ということになっています。
私が持っているのは
と書かれていたので、だいぶ経ってから買ったようなのですが、この本の初版は1950年で原著は訳者序文によると1944年に書かれたものです。まだ原爆投下より前なので、原子というと恐ろしいというニュアンスはなく、人類の未来にとっての輝かしい発見でした。石炭や石油を使っていたエネルギーは、いずれすべてが原子力に取って代わられるだろうと信じていた人も多くいたのは、もう少し後の時代にはなりますが鉄腕アトムを読んでいただければ想像できるのではとも思います。
分子や原子より微小な原子核については、まだ殆ど知られておらず、多くの人にわかりやすく説明するために苦労して書いたものだと思います。言葉遣いが少々、古めかしいものの、想像力を掻き立てられる挿絵も相まって、いかにして目で見ることのできない世界を日常生活の中で感じられるようにするか、楽しい「おはなし」で表現されています。
小学生であっても、何とか理解が追いつける書き方だったので、楽しく読むことが出来て、原子核、そして量子の世界への興味を強く持つようになりました。これらの概念を知ることで、SFだって楽しく読めるようになります。思い起こせばガモフで踏み入れた物理の世界がファインマンで仕上がったような気がします。著名な物理学者には変わった人が多いみたいですが、伝えたい気持ちがとても強いのは素晴らしいです。
もう表紙もだいぶ傷んでいて、いかにも古い本になってしまいました。今でも絶版にはなっていないようですが、中古で手に入れるのはちょっとばかり難しそうなので、読みたい人は図書館でも探してみてください。さすがにもう無いのかなぁ。
原子の国のトムキンス (ガモフ全集4)
ジョージ・ガモフ - ウクライナのオデーサ(オデッサ)の生まれなのは知りませんでした
ヘッダ写真は「マクスウェルの魔」の中の見開き