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Re:GENESYS - 感染症やバイオテロと闘う風変わりな研究者たち - 海外ドラマ

コロナ禍のお陰で、ココしばらくは医療モノというかバイオ関連のパニックモノについては、見るのも嫌という気持ちだったのですが、そろそろ世の中も落ち着き、ようやくその手のものを見ても辛くならなくなりました。初期の中国でのパンデミックや日本で最初に緊急事態宣言が出たときの頃は、実際に起っている出来事以上に恐怖が蔓延してリアルが空想を追い越してしまっていましたからね。

ということで、落ち着いてから見直したのが「Re:GENESYS」です。カナダで制作されたドラマで2004年から2008年にかけて4シーズン全52話が放送されました。日本ではテレ東でシーズン2まで放送されたので、その時に録画してあったのですが、あらためて調べると続きがあるということで配信やDVDなどを探したのですが、なかなか見つけることが出来ませんでした。中古市場まで探したのですが結局最終シーズンの日本語版を手に入れることはできず頑張って字幕無しで見終えました。

リ・ジェネシス バイオ犯罪捜査班

中心になるのはトロントにあるNorBACという架空の研究所です。トロントには行ったことはないのですが、なかなか素敵な街並みです。ここは北米三カ国を守備範囲とした研究施設であり、伝染病や新薬に対する問題を検討し関係機関に助言するという仕事をしているという設定です。

中心人物は、この研究所の主任研究者であるデビッド・サンドストロム(ピーター・アウターブリッジ)で、天才らしく自己中心的で少しばかり破綻した性格の人物で、特に女性関係が問題だらけです。自分で手を動かすよりも多くの情報から問題を解き明かし、その「天才的ひらめき」から解決を導くのが彼の役割です。この才能こそ彼を主任足らしめているもので、周りの研究者はもちろん政治家などの他の世界の人からも彼が信頼されている所以です。しかし彼のやることなすこと、なかなか常軌を逸しています。今の世の中、天才であっても独りで問題を解決することは難しく、チームで成果を得る必要があるので、それぞれに役割を与え悩みを聞き、一緒に問題に取り組むチーム愛は良く描かれています。

ピーター・アウターブリッジ

ストーリー全体の鍵を握る登場人物として、研究員のボブ・メルニコフがいます。アスペルガーを患っており抜群の集中力と記憶力を持つものの、周囲の人との距離感を理解できないあたり、なかなか良い模写がされています。シーズン2の最終話での事故がキッカケとなり、その治療がシーズン3以降の鍵になります。

そしてもうひとりの研究員でもありメンバー唯一の医師であるカルロス・セラーノがストーリーを締めます。メキシコ出身で冷静沈着なキャラであるものの熱い志を各所に見せます。これ以外にも多くの女性研究者も登場するのですが、最初はそんな片鱗を見せなかった人でも結局、デビットの牙にかかっていたというオチが続くのが困ったものです。

REGENESIS リ・ジェネシス

このドラマのキッカケとなったのは時期を考えるとやはり2003年に最初に報告されたSARSだっとのだと思います。このドラマの最初のシーズンでも取り上げられるスペイン風邪のような世界的な感染症の蔓延が危惧されるようになり、医療技術の発達により闘う武器が手に入ったのに、それをどう使えばよいのかという課題が社会に突きつけられたのが背景にあったのでしょう。実際、新型コロナを突きつけられた現実を見れば、専門家の知識と行政機関の対応をスムーズに連携させる方法が予め用意されている必要があったのは明らかです。

感染症対策には「時間」の制約が極めて大きく、取りうる行動に「正解」はありません。可能な選択肢の中で最も「妥当」と思われる対応を時間軸に合わせて出していく必要があります。この時間の制約こそドラマとしての醍醐味であり、不確かな根拠の中での選択が人間ドラマを作り出しているのでしょう。どんな病気であっても「すべての人」を救うことは出来ず、助からなかった人には人数という数字ではなくリアルな人生が詰まっている訳です。それでも「よりマシな」結果を導いていかなかればならない姿は清々しくもあります。

このドラマ、時間軸の扱いに特徴があり、実際にあったことと考えたことが区別せず同じようなシーンで表現され、敢えてでしょうが油断していると混乱することがあります。また同時進行しているシーンを扱うのに時間を巻き戻す表現をしていて、わかりやすくはありますが、ちょっとクドいところもあります。24とかの影響なんでしょうか。

最初のシーズンは全体をまとめるテーマがあるものの、一話完結に近く、毎話ひとつの事件が解決されていきます。そしてシーズン2では徐々に事件が伏線となっていき、より深い模写へと進化していきます。とはいえ徐々に展開に行き詰まりを見せ、内容的にはシーズン2で打ち切られたとしても不思議ではない終わり方となりました。シーズン3以降は制作陣の入れ替えも行われたようで、より大きなテーマを試みたようですが残念なことに少しばかり現実から離れすぎたようで、最後は残念な結末となってしまったようです。最終話は最低というのが私の評価です。

登場するバイオ技術は、見た目は良く出来ていますが、専門家ではない私の目から見ても、やはりドラマです。少なくとも当時はそんなに早く精度のある結果は出なかったと思いますし、出て来る機器も良く見るとお粗末です。分かりやすいのはインターネットで懐かしいブラウザの画面が登場しています。もっともこの時代から当然のようにテレビ会議や衛星電話を使う辺り、なかなか時代を先取りしていました。

いずれにせよ、扱っているバイオ関連の技術と社会との関係は、今でも変わらないと言うよりはより重要なものとなっています。もう20年近く経過しリアルな問題が発生した後であるのに、社会は充分な進歩をしたのか問いかけられている思いを新たにしました。

カナダの制作会社は配信プラットフォームに回らないようで、今から見るのにどうすればよいのかはわかりません。探せばDVDなどが見つかるかもしれませんが、日本語版を手に入れるのは難しそうです。アマプラとかで見られるようになると嬉しいのですけどね。控えめな表現ではあるもののどんな年齢制限になるのか見ものです。

ヘッダ画像は、以下のものを使わせていただきました。https://www.irasutoya.com/2015/03/blog-post_97.html

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